IT弁護士とは?IT弁護士ならではの強みと良いIT弁護士の選び方

この記事で分かること
  1. IT弁護士とは、インターネット上の「情報」に関する問題の専門家のこと
  2. IT弁護士は、IT関連の専門的な知識も把握しているので、安心して相談できる
  3. IT弁護士を選ぶ際は「専門性」「費用」「実績」に注目するとよい

現代では、インターネットを介した情報のやりとりを抜きに生活することが困難になっています。このような状況の中で、時代に求められて生まれたのがIT弁護士です。IT弁護士とはどんな人たちか、良いIT弁護士の選び方はどうすればよいかについて見ていきましょう。

IT弁護士とは

ITは、「情報技術(Information Technology)」の略です。情報技術とは、その名の通り情報に関する技術のことを指していますが、一般的には、インターネット上における情報関連サービス全般を漠然と指す言葉として用いられています。IT弁護士とはつまり、インターネット上の「情報」に関する問題に対処する専門家のことです。

なぜIT弁護士が必要なのか

旧来の社会とくらべ、現代社会にはインターネットが欠かせません。インターネットによって、世界中の人々と繋がれ、身近な人々とも手軽に通信できるようになったという利点は、今や誰もが理解していることでしょう。しかし一方で、以前は仲間内で完結していた悪口や内緒話がおおやけのものになってしまうことで、たとえ冗談だとしても、多くの人に影響を与えるといったことが起こるようになってしまいました。IT弁護士とは、こうした新しい情報のやりとりに関する問題に対応する法律家として誕生しました。

IT関連技術の発達によって出てきた問題の具体例

IT弁護士に多い相談は、プライバシーの侵害や名誉棄損に関する相談のようです。インターネット上の知識は、閲覧が容易な一方で、その知識がどこで、誰によって保存されているのかがわかりにくい性質があります。また、データで個人情報を管理するために、なりすましによる被害もあります。

インターネット上の被害といっても、あまりイメージがわかないかもしれません。具体的な事例を見てみましょう。

  • 不正アクセス
  • 企業秘密の流出
  • 個人に対する誹謗中傷
  • コンピューター・ウイルス

不正アクセス

通称「不正アクセス禁止法」という言葉を聞いたことがありますか?今日では、他人の情報を利用してアクセス制限を侵害する行為は、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」で刑事罰の対象となっています。過去には、他者のIDとパスワードを不正に使用し、ネットオークション運営管理会社のサーバーにアクセスし、虚偽の情報発信等をしたとして、懲役1年4ヵ月の刑に処されたといった事例があります(大阪高裁2007年3月27日)。

企業秘密の流出

インターネットの発達によって、各企業は自社の情報をどのように守るかを大きな課題の一つとしています。実際にサーバーから企業の情報を不正に取得したり、企業の管理下にあるデータベースの情報を他社に譲渡したとして、懲役5年、罰金300万の刑を受けたという事例があります(東京地裁2015年3月9日)。情報の不正取得は、企業間の問題だけではなく、学校から学生の情報を盗んだとして17歳の少年が逮捕されたという事例もあるようです。

個人に対する誹謗中傷

従来では仲間内の話で終わったことでも、ネットに書き込んでしまったことによって問題が大きくなってしまったという例があります。近年では、某プロ野球選手が、匿名掲示板上で配偶者が誹謗中傷されたとして、裁判を起こしたのが話題になりました。書き込んだ本人は匿名で安心していたようですが、弁護士を通して身元を特定されてしまい、200万円近い請求が届いたということが報道されました。中には、企業から裁判を起こされる例も少なくないようです。

コンピューター・ウイルス

現在では、コンピューター・ウイルスの作成自体も違法になっています。ウイルスの作成には外国籍の方が関わっている場合も多いですが、近年では「おまえはいつでも殺せる」という脅迫文を掲示板に勝手に書き込ませるウイルスを作成したとして、大阪地裁が懲役3年の刑を下したという例があります。

契約書や利用規約の作成

また上とは別に、IT弁護士が活躍する場所は、インターネット上の犯罪に対する対処だけではないことを覚えておきましょう。アフィリエイトの契約書や、様々なサービスの利用規約の作成など、トラブルを未然に防ぐ文章の作成を行うこともあります。

ワンポイントアドバイス
インターネット上の犯罪は多様化しており、法律も未整備な場合が多いことから、対応が難しい場合があります。しかし近年では、インターネットをめぐる法律上の問題や犯罪に対する多くの実績が積み重ねられ、IT弁護士の活躍の機会が増えていることが考えられます。もしこういった問題に頭を抱えている場合は、一度、ITを専門とした弁護士に相談することをおすすめします。

IT弁護士の強み

一言でいえば、IT弁護士の強みは、上記のような問題に対処できるということがあげられます。しかし、そのためには、IT技術に関する最近の動向の理解や、アプリ等の開発の現場や営業形態の把握、また、著作権等の知的財産権への習熟が必要になってきます。また、場合によっては国内だけではなく、外国企業とのやりとりが必要になってくること、また全世界向けのサービスを展開するといったことがあるため、外国語に長けていることもあります。IT弁護士の強みに関して、簡単に見ていきましょう。

ブログ、匿名掲示板、SNSなどに習熟している

IT関連の法務には、どのような媒体で情報が共有されているかに関する知識が欠かせません。通常弁護士というと、身近なツールに関する知識が乏しいといったイメージがあるかもしれませんが、IT弁護士はこれらの媒体に関して、通常の弁護士よりも習熟しています。また、それらの削除ガイドラインや書き込みのルールなどの知識を有している場合も多いです。

IT関連の技術用語に詳しい

IPアドレス、サーバー、ドメイン、プロバイダ、プロトコル、トラックバック、プロキシ、ミラーサイト、Tor、といった言葉をご存知でしょうか。知っていても、説明するのが苦手ということもあるかもしれません。IT弁護士は、通常これらの用語を説明できるだけの知識を持っています。その他の弁護士が知らなそうな言葉でも、すぐ理解してもらえるでしょう。

IT関連の技術を駆使した調査能力

また、ITを駆使して調査する能力にも長けています。たとえば誹謗中傷などで書き込んだ人を訴えたいとなった場合、サーバー管理人を特定し、書き込んだ人物の個人情報を開示するように法的な処置をとることが必要になってきます。暗号化された匿名のアクセスに対しても、専門的な知識を用いて対処することができます。

IT関連の法律用語に詳しい

IT関連の法律は近年急速に整備されており、技術も次々生み出されていることから、新しく用語を習得する必要が他の分野よりも多い傾向にあります。著作権法や特定商取引法など、一般の弁護士にもなじみのある法律に加え、リベンジポルノ防止法、迷惑メール防止法、不正アクセス禁止法、プロバイダ責任制限法などにも習熟しています。IT弁護士は、IT関連の問題に対処する、様々な法律について知って対処に備えています。

ワンポイントアドバイス
新しい法律が次々と生み出されていることから、素人目には犯罪に問えないことでも、訴えることができるかもしれません。何か不快感や問題を感じた場合に、法的に対処できるかを知るためにも、一度ITを専門とした弁護士に相談することをおすすめします。

IT弁護士の選び方

IT弁護士を選ぶ際も、通常の弁護士選びと同様に、「専門性」「費用」「実績」が重要になってくることは変わりありません。しかし、一般にIT専門の弁護士事務所は、事務所設立からの年数が短い傾向があります。そのため、どんな仕事を請け負ってきたか、また解決してきたかが重要になります。

専門から絞り込む

弁護士と一概にいっても、それぞれ専門としている分野が違うことは、すでに多くの方が知っているかもしれません。自分がどのような弁護士に依頼したいかをしるためには、まず自分がどのような問題を抱えているかを明確にする必要があります。IT弁護士の多くは独自のホームページを設けていますので、自分の問題をキーワードに、扱っている事例や費用に関して検索してみましょう。

費用の目安

費用に関しては、事務所ごとに設定していることが多いため、ここではだいたいの目安を記しておきます。

  • 相談料(相談にかかるお金):1時間5,000円から2万円程度
  • 着手金(依頼する際に支払うお金):5万円から
  • 報酬金(交渉が成功した時に支払うお金):0から50万円程度
  • 顧問料(顧問契約を結んだ場合に支払うお金):月5万円から

費用に関しては、事務所や交渉の相手によって変化するところがあるので、明言することはできません。一般に、海外の企業やサイト運営者と交渉する必要がある場合は、国内より高くなります。また、記事が転用されたりして複数のサイト運営者との交渉が必要な場合、やはり費用が高くなってしまいます。

IT弁護の実績をチェック

総合的な観点からは一概に言えないかもしれませんが、これまでどのような裁判で勝利を収めているかを知っておくことは、弁護士の実力を測る上で重要なことになってきます。経験者だからといってよい弁護士とは限りませんが、実績のある弁護士に頼めば、状況を理解してもらうのが早く、対応もしっかりしている確立が高くなるでしょう。IT関連は法律や技術の革新が速いため、最近のIT関連の法務の有無も確認した方がよいでしょう。

電話やメールで連絡をとってみる

これらを把握したうえで、適切だと考えられる弁護士を見つけ、電話やメールで連絡を取ってみましょう。インターネット上の問題とはいえ、面談が必要な場合が多いですが、場合によってはチャットや電話だけで対応してもらえることもあるようです。一般に弁護士と相談する場合は、一時間ごとに相談料を支払う場合が多いため、メールやチャットで相談する場合でも、問題となるサイトのURLや、具体的な目的等を明確にしてから相談しましょう。

ワンポイントアドバイス
法人であれば、IT専門の弁護士と顧問契約を結ぶことも検討してもよいかもしれません。定期的にネット上で誹謗中傷される場合や、ネット広告の契約書やネット事業の展開など、法律上の問題が関わる場面は、ますます増えていっています。法律に則って、速やかに事業を展開するためには、顧問弁護士がいると便利です。

ネット関連のトラブルはIT弁護士に相談を

現代では、気軽に情報を発信できる一方で、それによって思わぬ被害を被ってしまうことがあります。また、知らぬ間に、情報を盗まれたり、遠隔操作されたりして犯罪に巻き込まれることもあります。その一方で、インターネットやアプリケーションなどを利用することが、事業拡大の鍵でもあります。このような情報過多の世の中で、その利点を上手に生かし、心地よく生活を送るためには、IT弁護士の存在が不可欠です。何かIT関連の問題があれば、まずは専門家の意見を聞いてみてはいかがでしょうか。

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