会社の破産が管財事件となるケース

この記事で分かること
  1. 「管財」とは、財産を管理すること
  2. 管財事件とは、残った財産を破産管財人が整理する破産手続のこと
  3. 破産の際にかかる費用は、弁護士に相談することで抑えることができる

破産手続と一口にいっても、管財事件と同時廃止の2種類があります。いったいどのような場合に、管財事件になるのでしょうか。以下では、管財事件とはなにか、管財事件となったらどのようなものを処分されるのか、処分されたものはどのように分配されるのかなどを見ていきます。

管財事件とは

「管財」とは、「財産を管理すること」を意味しています。もし破産の申請をした際に、何らかの財産や不動産がある場合、裁判所は破産管財人を選任して、残った財産の換価や配当の手続きを行います。事件と聞くと大げさに聞こえますが、管財事件とは、破産手続の際に破産管財人が選任される場合のことをいいます。いずれにせよ破産に関わる事柄になります。

破産手続きの種類と管財事件の流れ

債務者は、破産をすることで借金から解放されますが、そのためには破産手続の他に免責手続が必要になります。これらの手続きを行うためには、まず管轄の地方裁判所に破産手続開始の申し立てをしなければなりません。その後、所定の審査を受けた後で、支払能力がないことが認められると破産手続開始が決定されます。その際にある程度の財産があれば管財事件に、そうでなければ同時廃止になります。

管財事件と同時廃止~管財事件になるケース~

破産管財人の役割は、残った財産を債権者に公平に分配することにあります。もしめぼしい財産がない場合は、破産手続の開始と同時に破産が決定する同時廃止になりますが、財産がある場合は、管財事件として処理されることになります。個人の自己破産の場合は同時廃止となることも多いですが、会社の場合は、ほどんどが管財事件となります。

管財事件の流れ

  1. 破産管財人の選任
  2. 債権届出期間の決定
  3. 債権調査手続
  4. 破産財団の換価・配当

破産管財人の選任

まず財産があり、管財事件になると判断されると、裁判所は破産管財人を選任します。この際、破産管財人として選任されるのは、弁護士です。破産管財人が選任されると、財産を管理・処分する権限は、この管財人が有することになります。

債権届出期間の決定

債権者は、この期間に自分が債権者であることを名乗り出なければなりません。名乗り出ることによって、破産債権者となり、債権者集会で議決権を得ることができます。債権者集会とは、破産手続きに債権者の意見を取り入れることができるように、裁判所の管理下で行われる集会のことです。債権者が名乗り出る必要のある期間が、債権届出期間と言います。また裁判所は、同時に債権者集会の期日を決定し、集会を開きます。

債権調査手続

上記の債権届出期間の間に届出があると、届け出があった債権の債権額や順位を調査する必要が出てきます。これには一般調査と特別調査があり、通常は一般調査ですが、届出期間後に発覚した債権に関しての調査を特別調査といいます。

破産財団の換価・配当

債権の届出があると、管財人はそれを調査し、財団の分配の割合を決めていきます。「財団」とは、通常「財団法人」の略として認識されることが多いですが、正確には財産の集合体のことを意味しています。この場合の破産財団の換価・配当とは、つまり残った財産を換金し、公平な分配を行うことを意味しています。分配が終了すれば、破産手続も終了ということになります。

少額管財制度について

通常破産手続をする際には、予納金を支払うことが求められます。予納金とは、管財事件の手続にかかる様々な費用を支払う費用のことです。この費用は50万円から150万円程度だと言われていますが、手続きを簡略化することで、安く抑える少額管財という制度があります。少額管財の予納金は約20万円程度だと言われており、また手続も迅速に行われるので、通常より早く終わらせることができます。少額管財は、手続が簡略化できると判断された場合に利用することができるので、個人の場合だけではなく、中小企業や小規模企業の場合も適応する場合が多いと聞きます。

ワンポイントアドバイス
弁護士が代理人として破産手続を行う場合は、手続きが通常よりも簡略化できると考えられます。そのため、少額管財を利用しやすくなります。会社の破産手続を行う際は、弁護士に介入してもらうことを検討してみましょう。

管財事件で破産財団の換価はどのように行われるか

管財事件が終了するためには、破産財団を分配できる形に換金し、公平に配当する必要がります。会社の倒産の場合、管財事件になることがほとんどだと考えられますが、換価の対象となるものはどのようなものでしょうか。

換価の対象になるもの

個人の場合、生活必需品等は換価の対象になりませんが、法人や会社の財産はすべて換価の対象となります。例えば在庫の商品、工場の機械、不動産、自動車、保険の解約金などは、すべて財団に組み込まれ、現金化されてしまいます。ただし、現金化する際の手数料の方が高くつくといった場合には、対象から外されることもあります。

個人の財産

会社や法人の破産によって、代表者等の個人の財産が換価の対象になることはあまりありませんが、産業廃棄物等の処理費を追加で求められたり、個人の資産から支払うように求められる場合もあります。

換価の例:商品

商品や在庫がある場合は、破産者が行っていた事業の中で換価する方が効率がよいため、破産者の事業を利用して換価されることが多いようです。ただし、人気のない商品などは、思うように売却できないため、買取業者等を利用することもあります。換価の対象は、あくまで破産者に所有権があるものですので、まだ支払いを済ませていない場合には換価の対象にならない場合もあります。

換価の例:工場の機械

工場の機械などは、同業他社への売却などで換価されます。商品もそうですが、工場が賃貸の場合には、機械がおいてある限り賃料が発生してしまうため、比較的早い段階で現金化されてしまうでしょう。

換価の例:不動産

不動産業者を介入させて売却するのが一般的です。担保権がついていると、売れなかったり値切られたりしてしまいます。その場合は、無理に換価しようとするとコストがかかってしまうので、換価の対象から外されることもあります。

ワンポイントアドバイス
財産を隠したりすると、詐欺罪に問われ、懲役と罰金の両方が科せられる場合もあります。破産手続の際に予納金を支払う必要があることを見てきましたが、予納金の支払いの際に、消費者金融から借金をする場合も、詐欺に問われかねません。破産の際には、財産を隠さず、予納金が支払えない場合は身内に頼るのが一番よいかもしれません。

管財事件での配当の優先順位について

財産を現金化すると、管財人はそれを配当に回します。しかし、この配当には優先順位があり、上位の債権者に配当が支払われ、余剰があれば下位の債権者に配当がされるという形になります。

配当の優先順位

  1. 財団債権
  2. 優先的破産債権
  3. 一般債権
  4. 劣後的破産債権
  5. 約定劣後破産債権

財団債権

財団債権には、管財人の報酬や、納期限から一年以内の税金などが含まれます。財産債権に配当がなされると、優先的破産債権に配当が回されます。

優先的破産債権

優先的破産債権には、破産財団に該当しない税金や従業員の未払賃金等が含まれます。従業員への未払賃金は、優先順位が高く、心情的にも最も優先されるべきものだと思いますが、一番というわけではないことに注意です。

一般債権

買掛金や、金融機関の借金、家賃等が含まれます。

劣後的破産債権

税金を少なく申告していたり、嘘がばれた時に課される追徴税(加算税や加算金)等。

約定劣後破産債権

意味としては、債権者と債務者の間で、劣後的破産債権より下位に位置づけられることが合意された債権のことを意味します。しかし、優先順位は最下位であり、破産者には支払う余力がないことが大半です。

ワンポイントアドバイス
優先順位を誤ると、責任が問われかねません。たとえば、従業員の賃金は真に重要ですが、最優先して支払った場合、一部の債権者を優遇したとして偏頗弁済だと受け取られることもあります。偏頗弁済だとされると、破産管財人はその支払いを無効にし、支払ったお金を取り戻すということもできます。このようなことがないように、自分の判断で支払う際には一度弁護士に相談したほうがよいかもしれません。未払賃金があるまま破産する場合は、最高8割を立替てくれる未払い賃金立替制度を利用することもできます。支払いが難しい場合は、労働基準監督署に問い合わせてもらうよう伝えましょう。

管財事件にかかわることは弁護士に相談

管財事件とは、破産手続の際に破産管財人が選任される場合のことをいいます。換価すべき財産があると判断されると、この破産管財人が選任されます。簡単に言えば、管財事件の流れは、債権者の届出をうけて、破産管財人が公正な分配を行って終了になります。破産すると借金から逃れることができますが、破産手続には様々な費用がかかるため、お金がないと行うことができません。特に中小・小規模企業の場合、弁護士に相談することで、この費用を抑えることができます。破産手続の際は、弁護士に一度相談して見ることをおすすめします。

弁護士に相談するだけなら1時間で5000円~1万円程度で行うことができますが、破産手続そのものを代理してもらう場合は、より費用が高くなる傾向があります。場合によっては、予納金と同等かそれ以上の金額を払わなければならいかもしれません。しかしそれでも、少額管財にしてもらえる場合があることに加え、依頼された弁護士が、破産を知って怒りを抱いている債権者の対応を代理で行ってくれるという利点があります。破産した際に、社長や代表者が債権者を個別に対応し、勢いに負けて口約束等をしてしまうと、後で問題となることがあります。弁護士に対応してもらえば、こういったトラブルを避けることができるでしょう。

破産手続の際は、弁護士に一度相談して見ることをおすすめします。

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