閉じる

2,405view

顧問弁護士を探す前に、弁護士費用の相場を知っておこう!

この記事で分かること

  • 顧問弁護士とは、企業に代わって様々なリーガルリスクに対応してくれる存在
  • かかる顧問料は、何をどれだけお願いするかで変わる
  • 顧問契約を結んでおくと、代理人費用が割引になって相対的に弁護士費用が安くすむ

顧問弁護士はいわば「法務部門のアウトソーシング」。法的トラブルの対処を顧問弁護士にまかせることで社員の業務負担も減り、人件費の削減にもつながります。また、日常的に法律相談が気軽にできることも、経営者にとって大きなメリットです。

顧問弁護士とは何をする人? 

企業活動を行っていると、多かれ少なかれ法律にかかわるトラブルに直面することがあります。そんなときに、トラブルが起こってから対応してくれる弁護士を探そうとすると対応が後手後手に回ってしまい、トラブルがより大きくなることも起こりえます。

顧問弁護士とは

そのような事態になる前に助けてくれるのが、顧問弁護士です。弁護士と顧問契約を結んでおけば、いざというときに迅速にトラブルを処理することができます。顧問弁護士であれば、自社の事情にも精通しているので、一から十まで状況を説明する手間も省けます。

顧問弁護士はかかりつけの法律相談役

わたしたちが「どこか身体の調子が悪いな」と思ったときにはかかりつけ医にかかるように、企業の経営者が経営に関して「何かがおかしい」と思ったときにすぐ相談できる相手が顧問弁護士です。顧問弁護士は、企業にとって「かかりつけの法律相談役」であると言えるでしょう。

顧問弁護士の仕事内容とは

顧問弁護士の仕事は、以下のように多岐にわたっています。これらをすべて社内で処理するのは困難ですが、顧問弁護士がいればこれらすべてをアウトソーシングできるため、その分社員をほかの業務に専念させることができます。

  • 日常的なリーガルアドバイス
  • 契約書の作成・リーガルチェック
  • 紛争の予防
  • 裁判・調停などへの対応
  • 紛争の事後処理
  • コンプライアンス教育などの社内研修
  • 会社設立の手続き
  • M&Aへの対応
  • 税理士、司法書士など他の専門家の紹介
  • 知的財産権取得のための出願手続き 等

なぜ顧問弁護士を雇う必要があるのか

職場いじめやパワハラ、過重労働、残業代・賃金未払いなど、現在労働環境をとりまく問題が数々浮上しています。顧問弁護士と契約を結び、日ごろから信頼関係を構築していれば、ちょっとした問題が大きな紛争に発展する前に問題解決を図れるケースもあります。

法務部門のアウトソーシングになる

特に中小企業の場合、法務部門を持つ余裕のないところが多いのではないでしょうか。規模の大小にかかわらず、企業活動をする上で法律にかかわるトラブルは起こるものです。そんなときに、顧問弁護士がいれば余計な人件費などのコストをかけずに法的問題に対処することができます。

法的問題に素早く対応することができる

また、ちょっとした問題でも、対応の遅れが大きな紛争につながることがあります。いったん紛争が起きれば、裁判沙汰になるなどして莫大な手間とコストがかかることになりますが、顧問弁護士がいればそのような事態を回避し、被害を最小限に食い止めることが可能です。

相手へのけん制にもなる

さらに、社外の取引先などとトラブルになったときに、顧問弁護士がいればリーガルリスクをぐっと減らすことができます。また、顧問弁護士がバックについていることを明示すれば、相手に「下手なことはできない」と思わせてけん制できる効果もあります。

ワンポイントアドバイス
顧問弁護士とはかかりつけの法律相談役。顧問契約を結んでおけば、いざというときに弁護士を探す手間が省ける上に、弁護士が優先的に自社のトラブルに対応してくれるので安心です。

顧問弁護士と契約する場合、費用の相場

企業にとっていざというときに頼れる心強い味方である顧問弁護士ですが、顧問契約を結ぶと毎月一定額の顧問料がかかってきます。では、具体的にどれくらいの費用になると考えればよいのでしょうか。

顧問料の相場はケースバイケース

顧問料の相場は、法律事務所や弁護士によってまちまちです。一律で一定額を定めているケースもあれば、必要に応じてプランをカスタマイズするため、同じ法律事務所・弁護士でも顧問先によって費用が変わるケースもあります。

一律の場合

顧問料を一律にしている法律事務所では、旧弁護士報酬基準に準じているところが多く見受けられます。そのため、顧問料は月額3~5万円がスタンダードとなっています。

さまざまなプランが用意されている場合

必要に応じてプランがいろいろ組めるような法律事務所では、およそ月額1万円~20万円までと、価格設定の幅が広くなっています。高い料金を支払えば、法律相談も無制限、英文契約書など難易度の高い契約書も料金内で対応してもらえます。また、高い顧問料を払えば、その分いざというときの代理人費用の割引率がアップするところも多いです。

顧問料に含まれるもの・含まないもの

顧問料に含まれるものは、あまり手間暇がかからないちょっとした相談や書類のチェックなど軽微なものの処理が中心です。相手方とのやりとりが生じたり、きちんとしたリサーチが必要なものについては、別途費用を請求するところが多くなっています。

顧問料に含まれるもの

顧問料に含まれるものは以下の通りです。

  • 法律相談(関連会社や経営者・従業員の個人的な相談含む)
  • 契約書の内容チェック
  • 簡単な書類の作成(覚書、確認書、内容証明など。一部契約書含む)
  • 税理士など他の専門家の紹介
  • 数時間程度のリーガルリサーチ・アドバイス
  • 顧問弁護士名の会社概要資料やHPへの記載

顧問料に含まないもの

顧問料に含まないものは以下の通りです。難易度が高かったり、時間や手間がかかるものが中心となっています。

  • 難易度の比較的高い契約書の作成
  • 代理人費用(示談交渉・訴訟)
  • 裁判手続き時にかかる実費・日当など
ワンポイントアドバイス
弁護士と顧問契約を結ぶときの顧問料は、弁護士にどんな業務をどれだけしてもらうかによって異なります。高い費用を支払えば、そのぶん手厚いサポートが受けられる上に、裁判などでかかる弁護士費用の割引率もアップする特典も期待できるでしょう。

顧問契約の有無による弁護士費用の相場の差とは

一般的に、弁護士と顧問契約を結んでおくと、顧問料に含まない契約書の作成にかかる費用や示談交渉・訴訟のときの代理人費用が割引になります。割引の幅は支払う顧問料によって異なりますが、おおむね10~30%程度です。

労働紛争事件を例に弁護士費用の差を見てみよう

顧問契約がある場合のほうが着手金も報酬金も安くなる傾向がありますが、事件の難易度や裁判などの手続きにかかる労力や回収した金額により実際にかかる費用は異なります。実際どれくらいの費用になるのかについては、事前に顧問弁護士によく確認しておきましょう。

事例

10年間30万円の月給で雇用していた労働者を懲戒解雇したところ、労働者が会社を相手取り懲戒解雇無効を理由として労働仮処分手続の申立てをした。その後会社側は懲戒解雇を撤回し、労働者は任意退職。会社都合を理由に退職金200万円と解決金200万円を支払った。

着手金

顧問契約なしの場合は30万円前後が最多なのに対し、顧問契約ありの場合は20万円~30万円前後が多くなっており、顧問契約ありのほうが若干安くなっていることがわかります。

顧問契約あり 問契約なし
10万円前後 15.1% 3.6%
20万円前後 31.3% 11.2%
30万円前後 31.9% 46.1%
40万円前後 3.3% 9.5%
50万円前後 5.3% 18.8%
その他 1.0% 1.0%

報酬金

報酬金についても、顧問契約なしの場合は50万円前後が最多になっているのに対し、顧問契約ありの場合は20万円~30万円前後が多くなっています。やはりこちらも顧問契約ありのほうが費用が低く抑えられる計算になります。

顧問契約あり 問契約なし
20万円前後 31.9% 18.1%
30万円前後 28.6% 25.0%
50万円前後 19.1% 33.2%
70万円前後 2.6% 6.9%
90万円前後 1.0% 3.3%
その他 3.0% 0.7%
ワンポイントアドバイス
この事例については、顧問契約を結んでいるほうが着手金が10万円程度、報酬金が20~30万円程度安くなっています。しかし、事例によって費用は変わるため、実際かかる費用については個々のケースで弁護士にその都度確認したほうがよいでしょう。

明朗会計な顧問弁護士契約を相場を踏めて考えよう

顧問弁護士と契約を結ぶときは、顧問料に含むものと含まないものは何なのか、顧問料に含まないものについては何にどれくらいの費用がかかるのかを事前によく確認しておきましょう。お金のことは少額でも信頼関係の構築に影響するものです。お互いに末永いお付き合いができるように、費用の面については弁護士としっかり話し合いをすることが大切です。

企業の法的対応は弁護士に相談を
法的リスクを低減し、安定したビジネス運用を実現
  • ライバル企業や顧客から訴訟を起こされた
  • 取引の中で法令違反が発覚した
  • 契約書作成時の法務チェック
  • ネット上での風評被害・誹謗中傷
  • M&A・事業展開・リストラ時の法的リスクの確認
上記に当てはまるなら弁護士に相談