会社の解散と清算に必要なことは?手続きをスムーズに進めるには?

この記事で分かること
  1. 解散は法人格を消滅させる手続き、清算は債権・債務を整理する手続き
  2. 解散手続きに始まり、清算が完了するまでには様々な工程が必要
  3. 解散をする前に弁護士などに相談の上事前準備をすると手続きがスムーズに

会社の解散と清算は、会社をたたむ上で必要となる一連の手続きです。手続きは最短でも2か月、長ければ1年以上にもなるため、ある程度長丁場になることを覚悟しておきましょう。

会社の解散と清算は似ているようで異なる

「会社の解散」と「会社の清算」は一見似ているように見えます。しかし、「会社の解散」は法人としての活動を終わらせるためだけの手続きであり、「会社の清算」は解散に伴って生じる法律的・経済的な関係を整理するための手続きである点に、両者の違いがあります。

解散とは会社の法人格を消滅させる手続き

会社の解散とは、一定の事由が発生したときにそれまで行っていた営業活動を終了して会社の法人格を消滅させ、清算に移行するための手続きのことを言います。

解散には任意解散・強制解散・みなし解散の3種類がありますが、それぞれに該当する発生事由は以下の通りです。

解散の種類 発生事由
任意解散 定款で定めた存続期間の終了
定款に定めた解散事由の発生
株主総会の特別決議
合併(吸収合併)
強制解散 破産手続開始の決定
解散を命ずる裁判
休眠会社のみなし解散
特別法(銀行法、保険業法)上の解散原因の発生
みなし解散 最終登記日から12年経過している休眠会社

これらの事由が発生すると解散の手続きに入ります。株主総会の2週間前に取締役会を開いて株主総会開催の決議を行い、株主総会の招集通知の発送を行います。解散の手続きが終われば、会社は清算期に移行します。

清算とは会社の債権・債務を整理する手続き

解散の手続きが終わったら、次は清算の手続きに入ります。清算とは、会社の解散に伴って会社の債権や債務を整理する手続きのことです。具体的には、会社の財産を調査した上で、会社を解散するまでの企業活動で生じた債権の取り立てや債務の弁済を行います。清算が終了した後で残余財産が発生するようであれば、各株主に保有する株式数に応じて分配されます。

清算には、任意清算と法定清算の2つの種類があります。両者の違いは以下の通りです。

任意清算 合名会社や合資会社のみに認められている方法。
定款の定めや社員全員の合意によって財産を自由に処分できるもの。
法定清算 株式会社が取らなければならないとされている方法。
法律で規定された手続き方法に従って財産整理を進めるもので、裁判所を介さず清算人が清算手続きを行う「通常清算」と、特別な事情がある場合に裁判所を介して行う「特別清算」がある。

なお、清算中の会社は以下のことができないため注意が必要です。

  • 営業活動(売掛金の回収を除く)
  • 資金調達活動
  • 自己株式の取得(無償で取得する場合など一定の場合を除く)
  • 資本金の額その他貸借対照表上の計数の変更
  • 剰余金の配当
  • 合併の存続会社または吸収分割の承継会社になること
  • 株式交換または株式移転
ワンポイントアドバイス
会社の解散と清算は一見同じであるように見えますが、手続きの中で行うことは全然違っています。この両者の違いについて、しっかり理解しておきましょう。

会社の解散から清算完了までの流れ

次に、会社の解散から清算手続きが完了するまで、何がどのように行われるのかについて見ていきましょう。清算が完了するまではさまざまな工程を経なければなりません。

解散の手続きを経て清算の手続きを行う

解散はまず株主総会で決議を行うところからスタートします。実際に清算に関する諸手続きが完了するまでは長い道のりで、さまざまな書類の準備も必要となるため、弁護士などの専門家に相談の上、協力してもらうとスムーズです。

  1. 株主総会の開催
  2. 解散・清算人選任の登記申請
  3. 財産目録や貸借対照表の作成・株主総会での承認
  4. 官報への公告・債権者への個別通知
  5. 残余財産確定・株主に分配
  6. 決算報告書の作成・株主総会での承認
  7. 清算結了の登記

株主総会の開催

解散の決議を行うとともに、清算人の選任を行います。解散は会社にとって非常に重要なことなので、普通決議ではなく、議決権の過半数を有する株主が出席して出席株主の議決権の2/3以上の多数の賛成が必要となる特別決議によって行われます。

解散・清算人選任の登記申請

解散後、清算人は2週間以内に法務局に出向き、解散と清算人選任の登記を行います。このとき必要となる書類は以下の通りです。

  • 株主総会議事録
  • 定款
  • 就任承諾書
  • 印鑑届書
  • 清算人の印鑑証明書 など

手続きを弁護士などの専門家に任せる場合は、以上の書類に加えて委任状も必要となります。

財産目録や貸借対照表の作成・株主総会での承認

解散手続きがすべて終わると、清算人はすみやかに会社の財産状況を調べて財産目録や貸借対照表を作成することが必要です。そして、それらの書類について株主総会で承認を受けます。

官報への公告・債権者への個別通知

解散後、2か月以内に債権者に債権を申し出てもらうために、解散に関する官報公告を行います。同時に、各債権者に対しても個別に通知して、債権を申し出るよう催告します。公告期間は最低2か月以上必要です。

残余財産確定・株主に分配

清算人は、債権を取り立てたり会社の財産を処分したりして金銭以外の財産をお金に換え、そのお金で債務を弁済します。その後、残余財産を確定させますが、残余財産があるようであれば株主に配当通知書を送付し、財産を分配します。

決算報告書の作成・株主総会での承認

残余財産の分配が終了すれば、全財産の換金処分も債務の弁済も終わったことになるので、清算人は決算報告書を作成します。その決算報告書について、株主総会で承認を受けなければなりません。

清算結了の登記

株主総会の後2週間以内に、法務局に出向いて清算結了の登記申請をします。このとき、清算人の就任後2か月以上が経過していない場合は清算結了の登記はできないことになっていることに留意しておく必要があるでしょう。登記が完了すると、会社の登記簿は閉鎖されます。

なお、清算結了の登記申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 株主総会議事録
  • 決算報告書
  • 弁護士などの専門家に手続きを依頼している場合は委任状
ワンポイントアドバイス
会社を解散・清算するのは長い道のりになります。また、手続きの中ではたくさんの書類を準備したり債権者への対応も必要となります。それらをすべて素人が行うのは非常に骨が折れる作業になるため、弁護士にお願いすれば負担がだいぶ軽減されるでしょう。

会社の解散・清算手続きをスムーズに進めるには事前準備が必要

会社の解散手続きも清算手続きも、スムーズに進めるためには周到に事前準備をしておくことが必要です。しかし、事前準備といっても何をすればよいのでしょうか。

解散の前に細かく計画を立てておく

会社をたたむことを考えるとき、いざ解散に踏み切る前に会社の事業や財産の処分方法、債権者への対応方法、税金対策のことなど、細かく計画を立ててから解散手続きを開始すると、より円滑に手続きが進められるでしょう。その際、どのように計画を立てるべきかわからない場合は、弁護士などの専門家に相談しながら進めるのがベストです。

  • 事業や財産の処分の仕方
  • 債権者との合意
  • 債務超過を避ける工夫
  • 税金対策

事業や財産の処分の仕方

解散をすると営業活動はすべて停止しなければなりません。そのため、現在行っている事業をどうするかを検討しておきましょう。また、金銭以外の動産・不動産などの財産についても、どのように処分をするかを考えておくことが必要です。

債権者との合意

通常の清算手続きは、裁判所を介さずに債権者などと交渉を行って合意を得ていくものです。そのため、通常の清算手続きでは迅速かつ簡易的に手続きを進めることができますが、債権者からの合意を得られない可能性があるなどの問題点もあります。債権者全員との合意を図るためには、事前に根回しをしておくことなどが必要となるでしょう。

債務超過を避ける工夫

決算報告をするときに債務超過の疑いがあるとみなされると、特別清算に移行する可能性があります。それを避けるためには、会社の代表者が会社の財産を時価より高く買い上げるなど、帳簿上で資産のほうが負債を上回るようにするための工夫が必要です。しかし、税金対策のためには利益計上の時期を調整することも必要でしょう。

税金対策

税負担を少しでも減らすためには、税金対策が必要です。特に、解散直後の事業年度には、解散前の事業所得に応じて課税されるため、財産の処分によって多額の利益が発生する場合は一時的にそれなりの納税資金を準備しておかなければなりません。最終的な決算の時に清算所得が発生しなければ清算確定申告をすれば納めた税金は還付されますが、税金の負担を軽減するためには、資産の譲渡時期を遅らせるなどの工夫もするとよいでしょう。

ワンポイントアドバイス
会社が清算手続き中であっても、納税は避けられません。そのため、事業や財産をどうするのかについては念入りに検討を重ねることが必要です。その際、弁護士などの専門家に相談すれば有益なアドバイスがもらえるでしょう。

解散や清算の手続きを弁護士に依頼すればよりスムーズに

会社の解散手続きや清算手続きは、長ければ1年以上かかるケースもあります。手続き中には要所要所でさまざまな書類も必要となるので、書類の作成や債権者への対応などは弁護士などの専門家に一任することをおすすめします。そうすれば、物理的にも精神的にも経営者にとって負担が減るのではないでしょうか。

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