支払督促をする場合の弁護士費用相場はどのくらい?

この記事で分かること
  1. 支払督促は裁判所を介して債務者に支払いを督促する手続きです。
  2. 支払督促は手続きも簡単で、費用も裁判の半額程度と安く済みます。
  3. 弁護士費用の着手金や成功報酬は事案によって異なります。
  4. 異議申し立てがされれば通常訴訟へ移行する点や、相手の住所が分からない場合手続きできない点に注意が必要です。

支払督促は裁判所を介して債務者に支払いを督促する手続きです。手続きは簡単で、費用も裁判の半額程度と安く済みます。弁護士費用の着手金や成功報酬は事案によって異なります。異議申し立てがされれば通常訴訟へ移行することや、相手の住所が分からない場合は手続きができないことを覚えておきましょう。

支払督促とはどういうものか

債権者がいくら支払いを請求しても一向に返済する様子がない債務者がいます。本来であればそうしたしたたかな債務者には裁判等、強力な手段をもってして請求したいところですが、債務者が重要な取引先や親しい友人の場合等、なるべくなら穏便に解決したいと考えるのが人情でしょう。そこで有用なのが支払督促です。まずは支払督促について基本的な事項を解説します。

支払督促は裁判所から支払督促を出す制度

支払督促は、債務者に支払督促を出してくれるよう裁判所に申し立てる制度です。迅速な解決が可能で、内容証明郵便よりも債務者に強い心理的圧力をかけられます。

申し立てを受理した裁判所は申し立てに不備がないかチェックし、問題がなければ支払督促を出してくれます。

申立書の内容の事実確認等は行わない

支払督促制度では証拠調べや証人調べをしないため進行がはやく、スピーディな解決が見込めますが、債務者を呼び出して事情を聞く等、申し立ての内容の真偽の確認は一切行いません。こうした手続きの特性から、虚偽の申し立てであってもそれが通ってしまうことがあります。

督促内容に納得いかなければ異議申立てができる

支払督促は明らかに債務者側に不利なようですが、これはあらかじめ債務者に救済制度を設けているためです。それが支払督促に対する「異議申立て」です。

督促内容に納得いかなければ異議申立てができる

例えば申し立てに記載されている内容が事実と異なっていたり、金額が間違っている等督促内容に納得いかなければ債務者は異議の申立てができます。異議申立てがあれば通常訴訟に移行することになります。

支払督促は利用できる事案が金銭債権に限られる

債権と言ってもいろいろありますが、支払督促の利用対象となるのは金銭債権の事案に限られることに注意が必要です。

ワンポイントアドバイス
支払督促は裁判所を介して債務者に支払いを督促する手続きです。申立て内容について、裁判所は確認を行いませんが、債務者側に支払督促の内容に納得がいかなければ、異議申立てができます。

支払督促の流れや費用に相場はあるか

同じ法的手段でも、訴訟なら判決確定までには数年の月日を要するのが通常ですが、支払督促なら早ければ強制執行まで1ヶ月半程度しかかりません。迅速な解決が望める支払督促ですが、具体的な流れや費用はどうなっているのでしょうか。

支払督促の流れ

債務者の支払い意思を喚起することで穏便な回収を図る手続き支払督促ですが、実は手続き自体は簡単です。まずはその具体的な流れを紹介します。

申立て

申し立ては相手方の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てます。

支払督促の発付

申立書に不備がなければ裁判所が「支払督促」を出します。

支払督促正本の送達

相手方(債務者)に支払督促正本を送達します。債権者には支払督促を出した旨と支払督促の送達結果が知らされます。

仮執行宣言の申立て

相手方が支払督促正本を受領した日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、2週間目の翌日から30日以内に仮執行宣言の申立てをしなくてはなりません。相手方の財産を差し押さえるには、この仮執行宣言付きの支払督促が必要になりますが期間内に申立てなければ手続きは取り下げられます。

支払督促にかかる費用

ケースによって幅はあるものの、支払督促にかかる費用は裁判と比較して随分と安く済みます。手続きにはどんな費用が必要なのか見ていきましょう。

申立て手数料

支払督促の申立ての際に、裁判所に納める収入印紙代が必要になります。その額は訴訟における手数料の半額で、請求する金額に応じて以下の通りに算出されます。詳細については裁判所ホームページに手数料早見表があります。http://www.courts.go.jp/vcms_lf/315004.pdf

参考:別表(民事訴訟費用等に関する法律別表第1(第3条,第4条関係))
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20161001minsohiyouhoubeppyou1.pdf

100万円以下  10万円につき500円
100万円~500万円 20万円につき500円
500万円~1000万円 50万円につき1000円
1000万円~10億円 100万円につき1500円
10億円~50億円  500万円につき5000円
50億円以上  1000万円につき5000円

なお、支払督促に異議申立てがなされ通常訴訟に移行した場合には、申立て費用が訴訟費用に充当されることになります。従って申立て費用が無駄になることはないので、その点は心配要りません。

支払督促正本送達費用

支払督促正本を債務者に送達するために裁判所収める郵便切手代です。債務者の数×1,082円がかかります。

支払督促発付通知費用

支払督促の発付結果の通知を受けるため費用です。郵便切手代82円がかかります。

申立書作成及び提出費用

申立書を作成するためにかかった費用や申立書を提出する費用です。申立書の枚数や提出方法、提出に伴う出費の有無及びその額に関わりなく一律800円です。

資格証明手数料

当事者が株式会社等の法人の場合、代表者の資格を証明する書類が必要になりますが、その資格証明書の取得にかかった費用です。原則600円ですが、オンライン請求の場合480円で請求できます。

ワンポイントアドバイス
支払督促は手続きも簡単で、費用も裁判の半額程度と安く済みます。

支払督促の弁護士費用の相場は

支払督促は、手続き自体は簡単で法的知識の乏しい素人でも独力で行うことができます。しかし前述の通り、必要書類も多く、慣れていないとその作成を負担に感じることもあるでしょう。弁護士に依頼すれば、書類作成等を全て一任できます。ここでは支払督促を弁護士に依頼した場合の費用について解説します。

弁護士費用について

弁護士に支払督促を依頼した場合、相談料や着手金、成功報酬がかかることになります。それぞれどのくらいの費用がかかるのか、相場を見ていきましょう。

相談料

相談料は1時間1万円が相場です。ただ近年では初回相談無料のところもあります。

着手金

では着手金はどうでしょうか。着手金については請求金額に応じて変わります。支払督促における弁護士の着手金の相場は以下の通りです。中には着手金はゼロや、10万円、15万円としている法律事務所もあります。

経済的利益が300万円以下  当該額の2%程度
経済的利益が300万円~3000万円   当該額の1%程度 
経済的利益が300万円~3億円 当該額の0.5%程度

成功報酬

成功報酬については事務所毎に差がありますが、おおよそ仮執行宣言付支払督促の取り決めによる弁済額の15%~20%をみておきましょう。

弁護士費用を安く済ませるには

以上が弁護士費用の相場ですが、決して安い金額とは言えません。お金を取り戻すために安くないお金を支払うことに、抵抗を感じる人もいるでしょう。では弁護士費用を少しでも安く済ませるにはどうしたら良いでしょうか。

無料相談の活用

相談料は前述の通り1時間1万円が相場です。しかし近年は弁護士過剰の時代と言われ、弁護士が激増しています。その影響から弁護士同士の顧客獲得争いもし烈になってきていて、結果として初回の相談が無料の事務所も増えているのです。もちろん、2回目以降は通常料金がかかりますが、そうした事務所を選べばコストを抑えることが可能なのです。

個人事務所に依頼する

また大手の法律事務所に依頼した場合、どうしても費用が高くつくことになってしまいます。ですからコストカットするには大手は避け、個人事務所に依頼するのが良いでしょう。

知人の弁護士を利用する

その他にも知人の弁護士を利用する、あるいは直接的な知り合いでなくとも友人や取引先から紹介してもらう等すれば幾らかは安くすることが可能です。

ワンポイントアドバイス
弁護士費用の相場は相談料が1時間1万円ですが、着手金や成功報酬は事案によって異なります。依頼したい法律事務所に費用をあらかじめきちんときくようにしましょう。

支払督促を行う上で知っておきたいこと

支払督促で厄介なのが、異議申し立て後の裁判は、相手方の住所地を管轄する裁判所で執り行われることです。もし債務者が遠隔地に居住している場合だとわざわざ出向かなければならず、手間や費用がかかることになります。そして場合によっては費用倒れになってしまうのです。

債務者がそれを見越して、訴訟に持ち込もうとする可能性も当然あります。つまり出頭した場合交通費や手間等を考慮すると“赤字”になるので、債権者は債権回収を諦めるだろうと債務者は判断し、勝ち目がないとわかっていても異議申立てをするといった事態が起こり得るわけです。

支払い督促での注意点

異議申し立てがなければ審理も証拠調べもなくスピーディな解決が可能な支払督促ですが、その他にも覚えておかなければならない点があります。

相手の住所が分からないと利用できない

支払督促は相手の住所地に支払督促正本が通達されることで効力を発揮します。従って相手の住所が不明な場合手続きできないのです。

支払督促正本が届かなかった場合

支払督促正本が相手方に送達できなかった場合にも注意が必要です。送達できないケースとしてはまず「不在の場合」があります。この場合休日の再送達や就業先への送達等を検討し、送達方法を書面で申し出ましょう。また「転居先が不明」の場合も送達できません。この場合送達できない旨の通知を受けた日から2か月以内に新たな送達先を申し出る必要があります。必ず覚えておかなければならないのは、何れのケースでも、「申し出がなければ支払督促の申立てを取り下げたものとみなされる」ことです。

ワンポイントアドバイス
異議申し立てがされれば通常訴訟へ移行する点や、相手の住所が分からない場合手続きできない点に注意が必要です。相手の住所はきちんと把握しておくようにしましょう。

支払督促の弁護士費用の相場を確認してから手続きを相談!

支払督促は、簡易裁判所の書記官を通じて債務者に支払いを督促する手続きです。自分で手続きをすることも可能ですが、スムーズな解決のためには、弁護士に依頼をする方がよいでしょう。支払督促の場合、弁護士費用は事務所によって差があるため、あらかじめホームページなどで相場を確認してから、相談するようにしましょう。

債権回収を弁護士に相談するメリット
状況にあわせた適切な回収方法を実行できる
債務者に<回収する意思>がハッキリ伝わる
スピーディーな債権回収が期待できる
当事者交渉に比べ、精神的負担を低減できる
法的見地から冷静な交渉が可能
あきらめていた債権が回収できる可能性も
上記に当てはまるなら弁護士に相談