債権回収とは~債務者の借金や未払い金を回収する方法

この記事で分かること
  1. 債権回収とは債権を回収すること。その方法はいろいろある
  2. 債権回収は必ずしも裁判によらない。弁護士を使わない方法も選べる
  3. 債権回収で最も効果的なのは差し押さえだが、無い袖は振れない

債権回収と一口に言っても方法はいろいろあって、必ずしも差し押さえをするわけではありません。少なくとも裁判による解決とそうでない解決があることは覚えておきましょう。また、債権回収といえば必ずお金が返ってくるように連想されますが無資力の相手からは回収が不可能です。相手が財産の隠匿や浪費、破産をする前に素早く手続きを進めましょう。

債権回収とは、債権を回収するためのあらゆる手段のこと

債権回収とは債権を回収すること、その方法はいろいろあります。人によってはミナミの帝王を始めアウトローな人々を想像するかもしれませんがあくまで合法に債権を回収する点は注意してください。

よく、「自分の財産を奪い返して何が悪い」という人がいますが残念ながら強引な取り立ては認められていません。法によって人が守られないし、債権者が必要以上の害を与える恐れもあるからです。

債権回収をするときはしっかり法律を理解して行いましょう。逆に言えば法律に沿ってさえいれば財産を強制的に差し押さえてもなんら問題がありません。

債権回収にはどのような手段があるか?

債権回収にはこのような手段があります。具体的な内容ややり方、注意点については次章にて解説します。

  • 債務者に支払いを催促する
  • 請求書を送る
  • 弁護士を立てて話し合う
  • 支払督促をして差し押さえる
  • 裁判を起こす
  • 判決をもとに差し押さえる
  • 債権回収会社にお願いする

債権回収は債務者の状況や態度に合わせて適切な手段を選ぶことで早期解決を図れます。債権者が「舐められている」場合は弁護士を立てるだけで債務者の態度が一変することもよくあります。

債権回収を依頼できるのは誰か?

債権回収を依頼するなら弁護士がオススメです。弁護士は法律のプロとしてあらゆる案件に対応できるからです。ただ、案件によっては弁護士以外でも対応が可能です。

弁護士

弁護士は請求金額や債権の種類、法的手続きにおいて制限がない唯一の存在です。他の資格であれば、いくつかの制限があるので「裁判を覚悟している」「交渉を代理してほしい」という場合は迷わず弁護士に頼んでください。

司法書士

司法書士は請求書や裁判・強制執行を申し立てるための書類作成、契約書のチェックなどをしてもらえます。債権回収のアドバイスを受けたい時も利用できます。ただ、司法書士は原則として交渉や裁判での代理ができず、法務局に認められた認定司法書士でも訴額140万円以下の案件での代理に限られます。ただし、債権者と一緒に立ち会うことは可能です。

行政書士

債権回収という分野において行政書士ができることは司法書士とほぼ同じですが、認定行政書士はないので交渉や訴訟の代理はできません。ただし、債権者と一緒に立ち会うことは可能です。

債権回収会社(サービサー)

債権回収会社も選択肢になり得ます。債権回収会社とはあなたに代わって債権回収を行う会社で委託できるのは法律で定められた業種(金融業など)かつ特定金銭債権を持つものに限られます。

債権回収会社は弁護士だけでは多くの債権不払いに対応するリソースが足りないということで認められた経緯があります。

債権回収会社に依頼する場合はあなたの代わりに債権者として交渉や訴訟を行います。弁護士のように代理人になるのではなく代位弁済という形をとるため、債務者は「債権回収業者VS債務者」という関係でやりとりを行うのです。

ワンポイントアドバイス
債権回収だからと過度に身構える必要は必ずしもありません。弁護士の名前を出しただけで解決することもあるし、その一方で強制執行まで必要な場合もあります。債権回収はその総称です。

債権回収は弁護士、司法書士、債権回収会社などに依頼できますができる範囲が一番広いのは弁護士です。特に事情がなければ弁護士に依頼しましょう。

裁判によらない債権回収とはどのようなものか

債権回収をする時、いきなり裁判をするとは限りません。裁判は時間と費用がかかる上に相手との関係を大きく動かしてしまうからです。だから、まずは話し合いで様子を見てそれで動かないようなら弁護士に頼ります。

お金をどうしても払えない事情があるならなんとか支払える形での交渉が望ましいし、最初から支払う気がないと居直っているのなら弁護士の力でプレッシャーをかけた方が良いです。

内容証明郵便を送る

請求書を内容証明郵便で送ります。内容証明郵便を使うのは時効を停止させる催告になることや、請求書を送ったという記録が残ることが理由です。内容証明郵便を送った事実は裁判で争われる場合もあるので債権回収に問わずおおくの場面で内容証明郵便が選択されます。

内容証明郵便は郵便局の1サービスで、特別な手続きなく郵便局でお願いすれば送れます。費用は400円ほどかかります。

弁護士の名前で内容証明郵便を送る意義

弁護士の名前で内容証明郵便を送ることは相手にプレッシャーをかけられるメリットがあります。このままだと裁判になるかもしれないと思った相手がすぐにお金を支払ってくれることも珍しくありません。

内容証明郵便を送っても反応がない場合は?

内容証明郵便を送っても反応がない場合は話し合いに移ります。それでも応じなければ裁判や支払督促などの法的手段に打って出ます。

弁護士を立てて話し合う

弁護士を立てて話し合うのも、本人が交渉する場合に比べてプレッシャーをかけやすいです。さらに、相手の主張に隠れた嘘や詭弁を見抜きやすいというメリットもあります。弁護士が交渉するだけであからさまに態度を変える債務者もいるので、弁護士という肩書きの影響力は侮れません。

任意交渉

基本的には自由な話し合いを行います。話し合いで合意できればその内容を書面に残します。書面は公正証書や和解調書という形にすると裁判せずに強制執行が可能になります。和解調書を選ぶメリットは金銭債権以外の差し押さえができる点で公正証書に勝ります。

金銭債権以外がある場合は裁判所へ行き即決和解という形にしましょう。

調停

裁判所に申し立てて調停を行う場合もあるでしょう。調停は調停委員が間に立って行われる話し合いですが審判や訴訟のように双方の出席が強制されません。したがって債務者が出席せず成立しないことも考えられます。

調停調書も和解調書と同じくあらゆる債権の強制執行ができます。

支払督促

支払督促とは裁判所から督促状を出してもらえる手続きで、債務者の反論がなければ訴訟をせずに強制執行できます。ただし、支払督促に異議を申し立てられた場合は債務者の管轄地で裁判をしなくてはいけません。

債権回収をスピーディーに行う上では有効な手段ですが高い勝算のもとで行いましょう。

支払督促ができるのは金銭や有価証券などの請求に限られていて、商品の引き渡しや不動産の明け渡しなどはできない点も注意が必要です。

ワンポイントアドバイス
民事事件の多くは裁判によらない手続きで終わります。そのため債権者が拍子抜けすることもあるでしょう。そもそも負けると分かっている裁判を受けたがる人はいないので、こちらに勝算があるなら強く出て大丈夫です。

弁護士がいるだけで話し合いの有利度は大きく変わるし支払督促がうまくいけば本当に早く物事が解決します。

裁判に勝てば債権回収できる?債権回収の限界とは

どうしても債務を履行してもらえない時は訴訟を行うしかありません。訴訟は法律問題に白黒をつけるためのもので、判決を得られればそれをもとに強制執行ができます。強制執行をより確実なものにするため、債務者の財産を事前に凍結する仮差し押さえをした状態で裁判を行います。

訴訟は時間と費用がかかるため、相手型も早期解決を考えます。したがって判決に至らず双方が和解して終わることも多いです。

少額訴訟と通常訴訟

訴訟は訴額60万円未満の少額訴訟とそうでない通常訴訟に分かれます。少額訴訟の場合は通常訴訟に比べて簡単で口頭弁論のための出頭は1回だけです。管轄の簡易裁判所で行われます。

通常訴訟の場合は訴額140万円以下なら簡易裁判所、訴額140万円超なら地方裁判所で争います。通常訴訟の場合は債権者だけで戦うのは難しいです。

強制執行ができる場合

そして、何をどうやっても債務を履行しないようなら債務者の財産を差し押さえて債権回収します。これを強制執行と言います。借金を返さない、離婚のあと養育費を払わない、慰謝料や損害賠償を払わない、といった場合はもう強制的に払わせるしかないのです。

強制執行は必ず裁判所に頼んで行いましょう。自分で勝手に財産を奪い返すのはただの犯罪です。

強制執行ができるのはこのような場合です。

判決で決められている時

裁判で、こちらの債権を認める判決が出たらそれを根拠に強制執行の申し立てができます。判決とは法的にそうすべきというものですから上訴する以外に抗う方法はありません。

和解調書や調停調書がある場合

和解調書や調停証書がある場合もそれを根拠に強制執行ができます。

公正証書に強制執行の文言がある時

公正証書で債務の履行について合意すれば債務不履行時に強制執行できると思いがちですが、それは「強制執行についての文言がある場合」に限られます。念書を書くときに忘れないでください。

繰り返しますが公正証書が役立つのは金銭債権が対象の時だけです。

強制執行ができない場合

相手を追い詰めて、裁判で勝っても強制執行できない場合というものがあります。それがこちらです。

財産を持っていない場合

債務者がお金を持っていなければ財産を奪い返せません。憎き悪人であったとしても、何も手出しできないのです。財産がなければ作れば良いと思われますが憲法でも条約でも労働の強制は禁じられています。

もちろん、債務整理をされた場合についても債権回収ができなくなります。

行方をくらましている場合

債務者が行方をくらました場合は強制執行のしようがなくなります。とくに刑事事件の損害賠償や示談金を踏み倒される場合が多く、ほとんどの場合が泣き寝入りとなっているようです。

いざという時役立つ抵当権や質権

お金を貸す時に連帯保証人をつけるのでなく不動産を担保にする場合もあります。債務不履行になった時、担保で債権を弁済してもらえる権利を抵当権と言います。抵当権は複数の人間が持つことができますが、優先順位の高い人から弁済されます。(一部動産にも抵当をつけられる)

一方、担保を債権者が関西まで確保しておける権利のことを質権と言います。質権の対象は動産でも不動産でも構いません。

どちらも債権の取りっぱぐれを防ぐための制度ですが、債権回収の問題に直面すると改めて担保の大切さを感じますね。

ワンポイントアドバイス
裁判で勝てばその判決をもとに差し押さえできますが、強制執行をしても財産がない場合や債務者が行方をくらましている場合は債権回収のしようがありません。財産が残っているうちから仮差し押さえをしておくことやあらかじめ担保を決めておくことが大切です。

債権回収とは債権を真剣に取り戻すための手続き。その実行力を高めるためにも弁護士と協力しよう

債権回収で大切なのは実行力とスピードです。たとえあなたに正当な権利があったとしても法治国家である以上、法律で認められた範囲の行動しかできません。相手が頑なに債務履行をしない時は弁護士と協力して債権回収してください。大切なのは相手を打ち負かすことではなく債務を払わせることです。

債権回収を弁護士に相談するメリット
状況にあわせた適切な回収方法を実行できる
債務者に<回収する意思>がハッキリ伝わる
スピーディーな債権回収が期待できる
当事者交渉に比べ、精神的負担を低減できる
法的見地から冷静な交渉が可能
あきらめていた債権が回収できる可能性も
上記に当てはまるなら弁護士に相談