財産調査の進め方~強制執行で差し押さえる財産の調べ方

この記事で分かること
  1. 財産調査は非常に難しい
  2. 財産開示請求は強制的なものではない
  3. 財産調査だけなら探偵の方が効果的かもしれない

財産調査は強制執行を空振りしないようにするための重要なプロセスです。債務者の人権は侵害できないので財産のない人からは何も差し押さえられません。しかも財産を隠されたら見つけるのが一苦労であるため、特には弁護士だけでは解決できないこともあります。

財産調査は強制執行の前ではなく取引をする前がベスト

強制執行をすれば財産を差し押さえられますがいくら裁判に勝ったところで相手が何も持っていなければ債権回収のしようがありません。つまり判決がただの紙切れになってしまうのです。そのうえ自己破産をされればもう債権者は債務について何も言及できません。

よって財産調査をするなら強制執行の直前でなく債務不履行が続いた時、もっと言えば取引を開始する前がベストです。強制執行の直前であれば財産が大きく減っていたり隠されてしまったりすることが考えられます。

個人での財産調査は困難

財産を調査するには相手の個人情報を調べることが必要ですが、そんなことをすれば債権者が犯罪に問われてしまうでしょう。銀行口座を知っていても差し押さえ直前に財産を移されてしまえばどうしようもありません。

特に最近はスマホ一つで銀行口座を管理できるようになったので債務者の家で銀行や証券の記録を探すのが難しくなっています。「じゃあ銀行に手当たり次第電話すれば…」と思われますが、残念ながらたとえ係争中であっても銀行が個人の利用情報を教えてくれることはありません。

そもそも財産のありかがわからなければ差し押さえできない

そもそも動産執行の場合は財産がある場所の住所が必要だし、債権執行や不動産執行の場合は差し押さえの対象を明確にしなくてはいけません。つまり所在の分からない財産は絶対に差し押さえられないのです。

そして、財産のありかがわからないからと勝手に債務者の情報を詮索したり強行的に吐かせようとすれば今度は債権者が罪に問われます。このように債権者はかなり弱い立場にあります。

ワンポイントアドバイス
財産調査は難しく、強制執行をするからとすぐに結果が出るとは限りませんし合法に財産調査する方法もほとんどありません。財産状況が危うい相手であれば取引前や債務不履行が起きたタイミングでの財産調査をお勧めします。

強制執行時にできる財産開示請求は財産調査にならない

財産調査の方法として、まずは公的機関に頼れるものを考えてみたいのですが残念ながら誰かの財産を調べる方法として使えそうなのは財産開示請求くらいです。しかも財産開示請求には大した実行力がないため有効と言えないのです。

財産開示請求はメリットが少ない

財産開示請求は文字通り債務者に財産を開示するように請求する手続きですが、なんと「強制執行が失敗した」「強制執行できるだけの財産が見込めない」相手にしか使えません。

つまり差し押さえる前に財産を隠されてしまえばそれまでです。もちろん、財産開示請求には判決や裁判所の調書が必要です。

財産開示請求を受けた相手は出頭義務や嘘をつかない義務を課せられますが、それを破った時の罰則がわずか30万円以下の過料です。数100万、数1000万円の債権で争っているのにこれでは安すぎます。債務者としても隠し通して30万円の過料を払った方が得です。

このような状態ですから財産開示請求はあまりうまくいかないしそもそも財産開示請求が使われる場面は多いと言えません。

財産開示請求のこれから

財産開示請求はこのままでは実行力のない法律のままです。そこで我が国は民事執行法を改正してより強制執行のしやすい制度にしようと考えているようです。

例えば銀行預金については第三者が問い合わせた時に取引の有無を教えてもらえるようになるようです。勤務先を隠している債務者に対しても公的機関から勤務先の情報を取得することで差し押さえが可能になることも見込まれます。

さらに日本弁護士連合会は株式や社債などの情報にもアクセスできるようにすること、不動産登記を取得できるようにすることの必要性を指摘しています。

その一方で債務者の最低限の生活を守れるよう差し押さえ禁止財産の見直しについてもされるのではないかとみられます。いずれにせよ今のように売掛金や借金だけでなく交通事故や殺人の賠償金さえ踏み倒されている制度は変えられるべきでしょう。

ワンポイントアドバイス
強制執行の実効性を高めるためには仮差押をすることが可能です。しかし相手が財産を隠している状態での有効な手立てはありません。この状況が変わるには民事執行法の改正

財産調査をするなら探偵の力も必要です

自力での財産調査は難しく公的機関を用いても有効な手段を取れない。こうなってしまえば一人の力での解決を諦めた方が良いでしょう。

強制執行で差し押さえる財産を調べられるのは探偵です。探偵は探偵業法に基づいた活動を認められていて、弁護士に相談した際に探偵事務所を紹介してもらえる場合もあります。こちらでは探偵に依頼する流れについて簡単に紹介します。

まず探偵事務所に問い合わせます。強制執行にあたっての身辺調査に対応している探偵事務所はその旨を宣伝しているのですぐに見つけられるでしょう。そして、案件の内容を相談します。探偵はストーカーなどの目的がある場合に仕事を引き受けることができないからです。

財産調査の方法はネット上での調査や聞き取り、尾行などが用いられます。尾行が財産調査になるのは勤務先や所有している車を特定できるからです。

探偵の報酬に関しては着手金と成功報酬に分かれているものや完全成功報酬のタイプがあります。ここは弁護士事務所に似ていますね。

ワンポイントアドバイス
有効な財産調査の手立てがない以上、弁護士よりも調査に慣れた探偵を頼ることは有効で弁護士が探偵に依頼することもあります。弁護士に頼む場合も高度な調査に慣れているところや探偵とのつながりがあるところに頼ることがオススメです。

財産調査を考えているなら弁護士に相談を

財産調査の方法としてできることは非常に限られているのが現状で、探偵を利用する場合でも必ず成功するわけではないし数万円は着手金が発生することを覚悟しなくてはいけません。できれば財産を隠される前に債権回収を終わらせたいです。債権回収の実現性に疑問があるときや念のため財産調査をしたい時はまず弁護士に相談して債権回収を効率的に行う方法を聞きましょう。その上で財産調査が必要ならその手順を考えると良いです。

債権回収を弁護士に相談するメリット
状況にあわせた適切な回収方法を実行できる
債務者に<回収する意思>がハッキリ伝わる
スピーディーな債権回収が期待できる
当事者交渉に比べ、精神的負担を低減できる
法的見地から冷静な交渉が可能
あきらめていた債権が回収できる可能性も
上記に当てはまるなら弁護士に相談