取り戻せるはずの過払い金が消滅!? 返還請求の時効期間を解説!

この記事で分かること
  1. 過払い金の返還請求権は法律上「不当利得返還請求権」にあたり、10年行使しないと消滅
  2. 過払い金の返還請求の時効は、支払い督促や訴訟等裁判上の手続きや裁判外の手続きによって延長させることができる
  3. 手続きを焦る余り、悪質な専門家に依頼する羽目にならない様、起算日を正確に把握しておこう
  4. 過払い金請求の結果債務が残ればブラックリスト入りすることや、貸金業者が破綻した場合回収が困難になることも覚えておく

過払い金の返還請求権は10年間行使しないと消滅しますが、延長させることが可能です。焦って悪質な弁護士に依頼する羽目にならない様、起算日を正確に把握しましょう。また過払い金請求の結果債務が残れば信用情報に傷が付くことや、貸金業者が破綻した場合回収が困難になることも覚えておきましょう。

過払い金の返還請求権には時効がある

最近「払い過ぎた利息を取り戻すことができます。」等と、過払い金請求を呼び掛けるCMや広告が散見されます。過払い金請求には時効があります。まずは、過払い金と何なのか、何故時効があるのかを説明します。

出資法、利息制限法との関係

テレビCMや新聞広告等でよく使われる“過払い金”のフレーズ。名称自体の認知度は高いと言えますが、なにぶん10年近く前の話が絡んでくる問題です。特に若い世代は内容について詳しくは知らない人も多いでしょう。過払い金問題を理解する為には、「出資法」と「利息制限法」についての知識が必須です。そこでまずは、これらの法律と過払い金との関係性について解説します。

貸金業者は「出資法」と「利息制限法」で規制されている

貸金業者が守らなければならない法律には「出資法」と「利息制限法」があります。本来であれば貸金業者とその利用者との金銭消費貸借契約に関して、利率は貸主と借主の間で自由に決められるものです。しかし利率に制限をかけないと、高金利で貸し付けを行う業者が現れ、弱い立場の借主が返済に行き詰る恐れがあることは明らかです。そこで金利に上限を設け、消費者金融等の貸金業者を規制したのが出資法です。違反した場合、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金を科されます。一方の利息制限法は弱い立場の債務者を保護する目的で一定の利率を超える利息を制限し高利を規制したもので、利息制限法の制限超過利息は無効になります。

グレーゾーン金利での貸し付けが横行

ところがこれまで、利息制限法の定める利率を超過した金利で貸し付ける消費者金融が蔓延っていました。法律で定めがあるのに、なぜ守られないのでしょうか。それは利息制限法には罰則がないからです。利息制限法の定め制限超過利息分は無効にはなりますが、違反しても罰則の対象にはなりません。そのために多くの貸金業者が、利息制限法の定める上限金利は超えるものの出資法の定める上限金利は超えない範囲の金利、いわゆる“グレーゾーン金利”で貸し付けを行った訳です。この差額が「過払い金」です。借したお金の返済を受けることは何ら違法ではありません。しかし付ける利息は定められた範囲を超えれば違法なのです。

過払い金の返還請求権には時効がある

過払い金は、業者が不当に得た利益なので消費者には返還を請求する権利があります。しかしこの権利には10年の時効があるのです。過払い請求を呼び掛けるCMがここ一、二年目立つのは、多くの過払い返還請求権が間もなく時効を迎えようとしているためです。

「不当利得返還請求権」にあたり時効がある

過払い金の返還請求権は法律上「不当利得返還請求権(民法703条)」にあたります。しかし民法では全ての債権は10年間行使しないと消滅する「消滅時効」が規定されています(民法167条)。よって、過払い金の返還請求権も他の債権と同じく10年で消滅するわけです。

完済日から数えて10年

ここで問題となるのが“いつから数えて10年”なのかです。消費者金融等では一つの契約で複数回、貸借をするケースも多く、消滅時効10年の起算日については裁判でも争われています。業者側は、過払い金が発生する度に時効期間が進行すると主張しました。つまり過払いの状態になってから10年経過した分は過払い金の返還はできない、とする意見です。しかしこれでは取引期間が長い、即ち被害額が大きい程損をするという至極不条理なことが起きてしまいます。平成21年1月22日、最高裁判所が過払い金の消滅時効について「取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である」とする判決を下したことで現在は、過払い金請求の消滅時効成立は完済日から数えて10年となっています。

ワンポイントアドバイス
過払い金の返還請求権は法律上「不当利得返還請求権」にあたり、10年行使しないと消滅します。

過払い金返還請求権の時効を延長する方法がある

前述の通り全ての民事債権は、最終取引日から “行使することなく”10年が経過すると消滅してしまいます。しかしこの権利の消滅時効は権利を行使すれば、進行をストップさせることができるのです。

消滅時効の進行を中断するには

過払い金の返還請求権の時効信進行を中断させる唯一の手段が、「裁判上の請求」を行うことです。ここで言う中断とは、時効成立までのカウントを振り出しに戻すことを指します。申し立て時点で一旦時効の進行はストップし、その後裁判で確定すると時効が10年延長されることとなります。裁判上の請求には3つの方法があります。

支払い督促

支払い督促は書類審査のみで金銭等の支払いを申し立てる手続きで、裁判所に赴く必要もなく費用も訴訟の半額程度で済みます。法的手段の中では最も簡単なのでよく利用されるものの、債務者が申し立てから2週間以内に支払督促に対し異議を申し立てると訴訟に移行します。特に過払い金返還請求の事案では、大半の場合異議申し立てがされるため、端から訴訟を起こすケースが多いです。

訴訟の提起

裁判所に過払い金の訴訟を申し立てるものです。訴訟と言っても「通常訴訟」と「少額訴訟」があります。後者の少額訴訟は請求額が60万円以下の場合に利用可能な手続きで、1日の審理で判決が出るメリットがありますが、少しでも争点があれば通常訴訟に移行することとなります。

民事調停の申し立て

民事調停は金銭の貸し借りや交通事故の損害賠償等、民事トラブルを対象とした紛争解決手段です。裁判の様に勝ち負けを決めるのではなく、話し合いによって双方が合意することで解決を図るもので、訴訟と比較して低費用で利用可能です。

消滅時効の進行を停止させるには

消滅時効の進行を停止させるには「裁判外の手続き」が必要です。この停止は時効進行の「一時停止」を指し、6か月後にまたカウントが始まります。

内容証明郵便を確実に送る

基本的には、電話でもメールでも手紙でも、裁判所を介さずに直接請求する行為は全て裁判外の手続きになり、時効の進行を停止させられます。しかしそれでは後々言った、言わないの水掛け論になる恐れがあります。それゆえ証拠を残す為に、送り主や宛先、差出日時や内容を郵便局が証明してくれる“内容証明郵便”で債権者に通知することが重要です。

“一時停止”に過ぎない点に注意

気を付ける必要があるのは、裁判外の請求はあくまでも6か月間一時的に時効の進行を停止させるだけの効力しか持たない点です。請求を行って6か月時効を延長させても、その間に裁判上の手続きをしなければ6か月後には再び時効のカウントが始まるのです。また、時効の停止は一度限りしか行えない点にも注意しましょう。

ワンポイントアドバイス
過払い金の返還請求の消滅時効は、支払い督促や訴訟等裁判上の手続きや裁判外の手続きによって延長させることができます。

過払い金の返還請求で注意したいこと

ここまで解説してきた様に、過払い金は取引終了から10年を経過するともう取り戻すことができません。しかしだからと言って、やたらに慌てて手続きをとるのは賢明でではありません。焦って手続きをすると不慮の損害を招く可能性もあるのです。

過払い金の返還請求 時効は迫っても焦らない

過払い金の返還請求を急かす様なCMがテレビをつける度に流れていて、広告も町の至る所で見かける。この様な状況下では過払い金を回収し損ねるのでは、と不安になるのも無理はありません。しかし闇雲に慌てるのは賢明ではないと言えます。

CMは間違いではないが、誤解を招く

「過払い金請求権の時効が迫っている。最高裁で過払い金が認められて10年。過払い金の請求権は10年で消滅するので手続きはお早めに。」最近この様な内容のCMや広告が目立ちます。しかし、かねてからこの手のCMはいたずらに消費者の不安を煽るとして問題視されていました。と言うのも過払い金の請求時効は10年であることは事実なものの、起算点は判決時点からではなく、取引終了時点からであるためこうした過払い金の返還請求を煽るCMをみて誤解する消費者があるかもしれないからです。

過払い金の仕組みをきちんと理解することが大切

こうしたCMや広告の影響からか、過払い金請求権は最高裁判決から10年、即ち2016年に時効を迎えると誤認している人がいますが、起算日は取引終了時点です。また過去10年分しか過払い請求できないと認識している人がいます。しかしそれも誤りで、過払い金は全額取り戻せます。例えば2002年に取引を開始し、2015年に完済したケースだと、2025年まで14年分全ての過払い金を取り戻すことが可能なのです。過払い金を余すところなく取り戻せる様に、この辺りをきちんと理解しておきしましょう。

焦って手続きをすると思わぬ損害に繋がり兼ねない

また、慌てる必要がないのに手続きむやみに手続きを焦ると、思いがけず損をしてしまうことがあるので気を付けましょう。

弁護士選びで損する可能性も

過払い金請求の手数料は事務所によって異なります。
つまり同じ額の過払い金あった場合でも、依頼する事務所によって、手元に残る金額に差が出る訳です。特にここ数年は過払い金請求の事案が急増しています。

それに伴って消費者の不安に付け込み、法外な弁護士費用を吹っかけてくる様な事務所も増えているのです。そんなところに依頼すれば、余計な費用がかかってしまいます。あくまでも目安ですが、“減額報酬”や“その他手数料”等、曖昧な料金体系を掲げているところは費用が高額になる可能性があると言えます。

起算日を正確に把握

過払い金の消滅時効の起算日は人によって異なります。起算日を正確に把握していないと、慌てる必要がないのに、焦って事務所を選んで損をすることになりかねません。ですから自分のケースの起算日はいつなのか、正確に把握しておき、過払い金返還請求手続きを行う際には落ち着いて行動できるようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
手続きを焦る余り、費用が高かったり回収率の低い専門家に依頼する羽目にならない様、起算日を正確に把握しておきましょう。

過払い金の返還請求について注意したいこと

ここまで、過払い金請求の消滅時効について解説してきました。最後にその他過払い金請求について知っておくべき注意点を解説します。

過払い金の返還請求のデメリットが

過払い請求は確かに正当な行為ですし、不正に搾取されたお金は何としても取り戻したいと考えるのも当然の心理です。しかしながら、過払い金の返還請求をすることで発生するデメリットもあるので覚えておきましょう。

手続きの結果債務が残ればブラックリストに

過払い請求手続きでは利息制限法に基づき引き直し計算をして過払いの金額を算出します。しかし、不本意にも過払いの状態になっていないケースがあります。つまり引き直し計算の結果債務残高は減ったものの依然として債務が残る場合です。借金が過払い金よりも多ければ信用情報機関には債務整理として登録されてしまうので注意が必要です。

過払い請求をした貸金業社からは今後融資を受けられない

また、“社内ブラック”と言って、過払い金請求をした貸金業者内にはその事実が半永久的に残ることがあります。社内ブラックの業者からの借り入れはまずもって不可能と言えます。

注意すべきは時効のみにあらず

実は時効の他にも、過払い金の返還請求で気を付けなければならないことがあるのです。それが、“貸金業者の経営状態”です。

貸金業者が破綻すれば過払い金の回収は困難

貸金業者が倒産してしまえば、過払い金の請求は困難になってしまいます。過去には余りの過払い請求の件数に経営破綻し、支払いもままならなくなった貸金業者がいくつもでました。現在の過払い請求ブームは一段落したとは言え、企業はいつどんな理由で破綻するか分かりません。2015年から2017年にかけて、旅行代理店等が立て続けに破綻したことは記憶に新しいでしょう。

早めの着手が肝心

ですから、仮に時効まで時間があってものんびりするのではなく、早め早めに行動することが、過払い金を取り戻し損ねないためには重要と言えるのです。

ワンポイントアドバイス
過払い金請求の結果債務が残ればブラックリスト入りすることや、貸金業者が破綻した場合回収が困難になることを覚えておきましょう。

消滅時効を正確に把握することが重要

過払い金の消滅時効は人によって異なります。正確に把握していないと、慌てる必要がないのに、焦って損をすることにもなり得ます。また本当に時効が迫っているのに、忙しさにかまけて手続きを先送りにしてしまい、弁護士に依頼した時には手遅れといった事態にもなりかねないので、消滅時効は正確に把握することが肝心です。

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