離婚協議書の作成方法|離婚時の合意内容を文書にするメリット

この記事で分かること
  1. 離婚協議書は契約書と同じ効力を持つ
  2. 契約書としての離婚協議書には署名捺印が必須
  3. 養育費などの金銭の支払いが発生する場合は、公正証書として作成するのがベスト

離婚の合意や離婚時の取り決めを記載する離婚協議書は、公正証書にしなければ強制執行力はありません。しかし、合意内容を書面に残すことで、契約書として調停や裁判の際の有効な証拠にできるメリットがあります。

離婚協議書とは夫婦の合意内容を記す書類

離婚協議書とは、お互いが離婚に合意したこと、そして、慰謝料や財産分与、親権、養育費など、離婚に際して取り決めたことを記しておく文書です。

離婚協議書とは

離婚協議書とは、夫婦で話し合って離婚する際に、離婚の条件を整理してお互いに確認するための契約書のことです。離婚を了承した事実のほか、慰謝料や財産分与、親権、養育費などさまざまな取り決めを文書として記録に残しておくことができるので、万が一相手が取り決めに従って慰謝料などの金銭を支払わなかったときは、回収の手続きを進めやすくなります。

離婚協議書を作成するメリット

離婚協議書は、公正証書として作成しない限りは、強制力を持ちません。そのため、わざわざ作成するメリットを感じない方も少なくないでしょう。しかし、離婚協議書は私人間の契約書としての効力は持っているので、たとえば離婚後にお金や子どもの問題が発生した場合、調停や裁判において有効な証拠とできる大きな意味を持ちます。

また、たとえ強制力はなくとも、文書に残しておくだけで心理的な圧力は増すため、口約束で済ませてしまうよりもその効果は大きいといえるでしょう。

ワンポイントアドバイス
たとえお互いに金銭を要求しないと口頭で取り決めをしていても、法的には離婚後一定期間内であれば、離婚慰謝料や財産分与などの請求は可能です。後々のトラブルを防ぐため、離婚協議書にこれ以降金銭の要求をしない旨を記しておくだけでも安心です。

離婚協議書の作成方法

離婚協議書の作成方法に特に決まりごとはありませんが、契約書としての効力を持たせるために、最低限のルールを守って作成することが重要です。

離婚協議書に記載すべき8つの事項

離婚協議書が契約書として成立するためには、夫婦双方の署名と捺印が必要です。また、必ず必要なわけではないものの、契約成立日と夫婦双方の住所は記載するのが一般的です。そのほか、離婚協議書に記載しておくとよい事項は以下の8つです。

①離婚の合意

双方が離婚を了承したことを記載します。必要があれば、離婚届の提出日やどちらが離婚届を提出するか(第三者の場合はその人の名前)なども記載しておくとよいでしょう。

②親権者

夫婦に未成年の子がいる場合は、親権者を定めない限り離婚はできません。夫婦でよく話し合い、どちらが親権者となるかを離婚協議書に記しておきましょう。親権と監護権を分ける場合は、どちらがそれぞれの権利を担うかについても記載してください。

③養育費

夫婦に未成年の子がいる場合、特に詳細に記しておくべきなのが養育費についてです。養育費の支払者、支払期限、支払日、支払い方法などについて決めておきましょう。しかし、養育費に関連するトラブルは非常に多いため、将来に起こり得ることをいろいろと想定して、柔軟な取り決めを行っておくことが重要です。

④面会交流

面会交流権とは、親権(親権と監護権を分ける場合は監護権)を取らなかったほうの親が、子どもと連絡を取ったり、一緒の時間を過ごしたりする権利をいいます。面会交流の頻度や日時、1回の面会交流の時間、面会交流の方法などについて話し合い、合意内容を記載しましょう。

⑤慰謝料

離婚原因が夫婦どちらかの不貞行為など、一方の過失が明らかな場合は、離婚原因を作ったほうからそうでないほうへ、慰謝料を支払わなければなりません。その金額や支払方法(1回でまとめて支払うのか、分割するのか等)、支払期日などに関する取り決めを記載しましょう。

⑥財産分与

婚姻生活中に夫婦が共同で築いた財産をそれぞれに分配する制度が財産分与です。財産分与に関して取り決める際はまず、どの財産が財産分与の対象となるのかを明確にする必要があります。その後、財産分与の割合や支払方法などについて話し合い、合意内容を記載しましょう。

⑦年金分割

婚姻期間中に納付した保険料は夫婦が共同で支払ったものとみなされるため、将来もらえる年金も、婚姻期間の保険料納付分に相当する金額を双方で分割することができます。分割の割合を決定し、取り決めた内容を記載しましょう。

⑧清算条項

清算条項とは、離婚協議書に定めた合意内容以外に金銭などの請求を一切行わないことを、相互に確認するものです。清算条項は、離婚後のトラブルを避けるために必ず記載すべき事項です。しかし、慰謝料や財産分与などに関しては離婚後に話し合いをするつもりであるならば、清算条項の記載があると後から請求することが難しくなるので注意しましょう。

ワンポイントアドバイス
離婚協議書を作成する際には、参考としてひな型を活用するのがおすすめです。また、法律の知識を持たない夫婦間のみでの作成に不安が残る場合は、弁護士など法律の専門家に依頼することもできます。

離婚協議書を公正証書で作成するべきケースとは

離婚協議書には契約書として一定の効力はあるものの、強制力はありません。そのため、万が一どちらかが離婚協議書の取り決めを守らなかった際に、ただちに給与や預貯金などの差し押さえを実行できる手段として、離婚協議書を公正証書にする方法があります。

公正証書とは

国の公証制度に基づき、公証役場(法務省に属する機関)で作成される公文書のことを公正証書といいます。離婚の場合、正式には「離婚給付契約公正証書」と呼ばれます。

公正証書の作成には必ず法務大臣が任命する公証人が関与するため、公正証書にすることで、証拠としての確実性が高まります。また、公正証書の取り決めに従って慰謝料等の金銭が支払われなかったときは、調停や裁判の手続きを行わず、ただちに強制執行(財産差し押さえ)の手続きを進めることが可能です。

ただし、強制執行の手続きを行うためには、文書に「支払いを行わなかったときには強制執行の手続きが行われることを了承しました」といった旨の強制執行認諾条項を記載しておく必要があります。

金銭の支払いが発生するなら公正証書にする

慰謝料、財産分与、年金分割など、離婚に際して金銭の支払いが発生する場合は、可能な限り公正証書にしておいたほうが安心だといえます。特に養育費の支払いに関しては、離婚後の不払い等の問題が発生することは珍しくありません。離婚の公正証書では、不動産・動産に関する引き渡し契約などは強制執行の対象とはなりませんが、特に養育費に関しては、強い強制執行力を持つという特徴があります。

もちろん、離婚協議書を公正証書として作成するには、時間も費用もかかります。しかし、訴訟を起こすことになった場合の精神的負担や費用を考えれば、はじめから公正証書にしておいたほうが、後々大きなメリットがあります。

ワンポイントアドバイス
離婚協議書を公正証書にする際は、離婚協議書に強制執行の条項を加え、その了承や公正証書費用の負担額などについても記載しておくのがベストです。

有効な離婚協議書を作成して新しいスタートを切ろう!

日本における離婚の約9割は夫婦間の話し合いによる協議離婚だといわれていますが、口約束で済ませてしまう夫婦がほとんどであることから、離婚が成立した後にトラブルへと発展するケースが少なくありません。たとえ公正証書にはしなくても、離婚についてきちんと話し合い、合意内容について文書で確認することは、お互いのこれからの人生にとって大切なこと。きちんと離婚協議書を作ってわだかまりを残さず、お互いに気持ちよく再スタートを切れるようにしたいものです。

とはいえ、離婚協議書のような契約書の書き方に慣れている人などほとんどいません。きちんと契約書として効力のあるものにするためにも、ぜひ、弁護士などの専門家に相談してみてください。

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