モラハラ夫(妻)と離婚する方法~調停・裁判でのモラハラ基準と手続きのポイント

この記事で分かること
  1. まずは「モラハラを受けている」という事実に気づくことが大切
  2. モラハラ離婚は調停離婚・裁判離婚が確実
  3. 自分に有利な条件で進めるには、裁判所判断基準と証拠を押さえることが重要

モラハラ離婚のポイントは、相手から日々いかに耐え難い精神的苦痛を受けているかを調停委員や裁判官に印象づけること。離婚に向けて自分の身を守る準備も整えつつ、確実な証拠を集めましょう。

あなたも被害に遭っているかも!?モラハラの特徴と事例

我慢を強いられる生活から抜け出すためにはまず、自分がモラハラ被害に遭っていることを自覚することが大切です。モラハラの特徴とよくある事例を学んでいきましょう。

モラハラとは?

モラルハラスメント、通称「モラハラ」とは、モラル(道徳)を盾に、精神的な攻撃や嫌がらせなどを行うことをいいます。目に見えない暴力(DV)と言い換えてもよいかもしれません。

近年、モラハラを理由に離婚を望む方が増えていますが、モラハラには外からは見えにくい・気づかれにくいというやっかいさがあります。それは、モラハラが主に家庭内という閉じた空間で行われること、そして、モラハラをしている当人にその自覚がないケースが多いことが理由として挙げられます。

また、日常的に言葉や態度による攻撃を受けていると、もはやその状態が当たり前のようになってしまい、自分が悪いと思い込んでしまったり、モラハラ夫や妻に黙って従ったりしてしまうこともあります。精神的に人を追いつめることは、たとえ夫婦間であっても許されることではありません。現状から抜け出すためには、まずは自分がモラハラを受けていることに自覚的であることが重要です。

モラハラの特徴と事例

どのような性格の人がモラハラをしがちなのでしょうか。そして、どのような行為がモラハラにあたるのでしょうか?あなたの夫や妻に当てはまることはありませんか?

モラハラをする人の性格的特徴

日常的にモラハラをする人の性格的特徴としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 自尊心が強い
  • 二面性がある(モラハラ夫や妻は、外面は良いことが多いです)
  • 疑り深い
  • 嫉妬心が強い
  • 被害妄想の傾向がある
  • 他人に対する共感力が低い
  • 自分より弱い立場の人間に対して尊大にふるまう傾向がある
  • 他人の意見に耳を傾けようとしない
  • 自分の考え方や価値観を相手に押し付けようとする
  • 他人のせいにしがち
  • 悪いところを指摘されたり反対意見をいわれたりすると怒る

夫から妻へのモラハラ事例

家事や育児にいちいちケチをつける

「こんなまずい料理食べられるわけないだろ」「なんでこんなこともできないんだ」「お前が母親で子どもがかわいそうだ」などと、家事や育児に対して揚げ足を取るように細かくケチをつけます。そのくせ、自分が家事や育児に協力的になることはありません。

謝らない、自分の非を認めない

悪いことはすべて妻のせいにし、明らかに自分が間違っているときも絶対に自分の非を認めようとしません。そればかりか、妻側が折れて謝るとさらに調子づき、間違いを徹底的に責め立てようとします。

労ったり感謝したりしない

モラハラ夫の中には、著しく共感力に欠けた人も少なくありません。妻が仕事から帰ってきた後家事・育児でへとへとになっていたり、風邪を引いて寝込んでいたりすることがあっても、決して感謝したり看病したりすることはしないのです。そればかりか、追い打ちをかけるように「サボってばかりいないできちんと子どもの世話をしろ」「だらしがないからそんなことになるんだ」といった暴言を浴びせてくることもあります。

妻から夫へのモラハラ事例

早く帰ってくると責められる

仕事が早く終わったからいつもより早い時間に帰宅しただけなのに、「なんで早く帰ってきたの?」「まだ帰ってこなくてもよかったのに」などと不機嫌になられたり、つらくあたられたりします。ひどい場合では、自分の食事だけいつも用意されていないといったケースもあるようです。

話しかけても無視される

こちらからコミュニケーションを取ろうとしても、徹底的に無視されます。怒っているように見えたり、不機嫌な態度を取られたりしたためその理由を尋ねても、答えてくれないので夫側も改善のしようがなく、途方に暮れるしかありません。

あえて自尊心を傷つけるようなことをいう

「男のくせに」などと、男性としての自尊心を傷つけるような言葉をあえて選んで攻撃してきたり、自分ではなく自分の家族や友人のことを非難してきたりするケースもあります。自分が大切に思っている人たちをバカにされるような言動は、直接非難されるよりも堪えるかもしれません。

ワンポイントアドバイス
ここに挙げた事例は、モラハラのほんの一部です。相手からの日常的な言葉・態度の暴力に傷ついているにもかかわらず我慢している方は、1人で抱え込まずに弁護士などへ相談してみてください。

モラハラ離婚に協議離婚をおすすめしない理由

冷静になってモラハラ事例を見ていくと、モラハラがとてもじっと耐えて我慢できるようなものではないこと、また、何も悪くないのに我慢を強いられることの理不尽さが理解できるのではないでしょうか?しかしながら、「もう耐えられない、離婚したい!」と思っても、モラハラの場合は協議離婚での解決が難しいケースが多くあります。

モラハラ夫(妻)はなかなか離婚に応じない

モラハラ夫(妻)には、「自分がモラハラをしている」「相手を傷つけている」といった自覚がないことも多いです。そのため、「こんなことが苦痛で耐えられないので離婚したい」と一生懸命に伝えても、あなたの主張をなかなか理解してくれず、すんなりと離婚に応じてもらうことはほとんど期待できないでしょう。

それどころか自分が責められているかのように感じ、「そもそも俺のいうことを聞かないお前が悪い」「無視されるようなことをしたあなたが悪い」と、逆上される可能性もあります。

自分に有利な条件で離婚するのも難しい

「自分の非を決して認めない」「他人のせいにする」がモラハラ夫(妻)に多い特徴ですから、慰謝料の支払いを求めても、当然ですが応じることはありません。モラハラ夫(妻)からしてみれば、「何も悪くないのに、なんで自分がお金を払う必要がある?」という心境なのです。

また、自分の言動の異常に気づいていないくらいですから、モラハラ夫(妻)は、もちろん自分の言葉や態度が子どもに与える影響についても思い至りません。そのため、「どうしても離婚したいなら、親権は絶対に渡さない」「お前は親として失格だ」「あなたに子どもは任せられない」といったように、当然のごとく親権を主張してくるケースも多くあります。

協議離婚で決着をつけたいなら

なるべく調停や裁判はしたくない、できることなら話し合いで解決したい、という場合は、以下の点に注意して協議を進めていくようにしましょう。

離婚を切り出す前に協議のポイントを整理

相手に押し切られたり相手のペースに飲みこまれたりして、望んでいないことを無理やり了承させられるようなことにならないためにも、事前に妥協できるポイントと絶対にゆずれないポイントを整理して、話し合いの争点を明確にしておきましょう。たとえば、「慰謝料などお金のことはあきらめてもいいけれど、親権だけはゆずれない」などです。

とはいえ、モラハラ離婚において非は明らかにモラハラをする相手にあるのですから、自分がさまざまな条件面で折れてたとえ離婚できたとしても、後で後悔することになりかねません。そのため、「どうしても離婚したいから○○は泣く泣くあきらめよう……」といった消極的な妥協は、なるだけしないほうがよいのです。

話し合いは2人きりで行わない

モラハラ離婚では、離婚を切り出すと相手に逆上されるケースが多くあります。また、離婚を切り出したことをきっかけに、言葉の暴力がDVへ転じるケースもあります。話し合いは必ず、第三者立会いの下で行いましょう。また、立ち合ってもらう第三者は、弁護士など法律の専門家であるのがベストです。

話し合いが決裂したときの避難先を確保

親権をはじめ、一度決定した離婚の条件を後からくつがえすことは容易ではありません。ですから、とにかく離婚したいからと相手にいわれるまま、流されるままに不利な条件で離婚させられることだけは避けなければならないのです。

まともに話し合いができないと思ったらすぐに協議を中止し、一旦別居という方法を取るのがおすすめです。相手へ離婚を切り出す前に、万が一のことを考えて、実家などの避難先を確保しておきましょう。

ワンポイントアドバイス
離婚はあくまで、ゴールではなく新しい人生のスタートです。離婚後に気持ちよく新しい一歩を踏み出すためにも、より有利な条件で確実に離婚したいなら、モラハラ離婚は次の調停離婚や裁判離婚で解決することをおすすめします。

モラハラを理由に調停離婚・裁判離婚で確実に離婚する方法

モラハラで離婚するには、調停や裁判を利用するのがもっともスムーズです。

モラハラは離婚理由になる?

離婚裁判を起こすには、法律で認められた離婚理由が必要です。これを「法廷離婚事由」といい、次の5つが挙げられます。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄(夫婦の同居義務・扶助義務・協力義務をわざと怠ること)
  3. 3年以上の生死不明
  4. 回復の見込みのない重度の精神病
  5. そのほか婚姻を継続し難い重大な事由

上記を見てもわかるとおり、モラハラ(言葉や態度による精神的な暴力)は、離婚理由としてはっきりと法律に定められているわけではありません。

モラハラで離婚が認められる裁判所の判断基準

そのため、裁判所がモラハラを正当な離婚理由として認める基準は、モラハラが5つ目の法廷離婚事由である「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかどうか、となります。あるいは、モラハラがこれ以上夫婦関係を継続することが難しいほどに深刻かどうか、と言い換えることもできます。つまり、モラハラ被害で裁判所に離婚を訴えても、裁判官に“ただの夫婦げんかの延長”だと思われてしまっては、離婚が認められない可能性もあるのです。

調停・裁判でモラハラ離婚を認めてもらうためには

法廷離婚事由がなくても調停の申し立て自体は可能ですが、離婚を自分の有利に進めていくためには調停でもやはり、配偶者によるモラハラで深い傷を負っていること、モラハラのせいで結婚生活を続けていくことが困難であることを印象づけなければなりません。そのために必要なことは、深刻なモラハラがあることを客観的に証明できる、以下のような証拠です。

暴言の録音

スマホのボイスメモを使ってもよいですし、ペン型の目立たないボイスレコーダーなども市販されています。相手にバレないようにスマホやレコーダーを起動することが難しい場合は、リビングなどの目立たない場所に、スイッチをオンにしてあらかじめ設置しておく方法もあります。

メール、SNSのスクリーンショット

文章で精神的な暴力を受けている場合は、相手とやり取りしたメールやLINEなどのスクリーンショットを保存しておくと、これらも証拠として活用できます。

日記やメモ

上記2つがモラハラの証拠としてより確実なものではありますが、相手に証拠を集めていることがバレて逆上されるおそれがある場合は、無理をしなくてかまいません。代わりに、モラハラを受けた日の日付、時間、そのときの状況、相手の言動、自身の心境などを、メモや日記に可能な限り詳細に残してください。

医師の診断書

モラハラが原因でうつ病やそのほかの精神疾患を患った場合は、モラハラと心の病気の因果関係が証明できれば診断書が証拠になり得ます。日常的に精神的な暴力をふるわれていることを医師に相談のうえ、診断書を作成してもらってください。

モラハラで離婚を認めてもらうためには、精神的な暴力が日常的かつ長期間にわたっていることが必要です。これらの証拠をできるだけ数多くそろえましょう。

ワンポイントアドバイス
モラハラ離婚にとって証拠集めが重要とはいえ、モラハラ夫(妻)に証拠を集めていることがバレると、自分の身に危険がおよぶ可能性があります。ご自身の両親や友人など、事情を知っている協力者がいるとなお安心です。

モラハラで離婚したいなら弁護士へ相談しよう

モラハラ夫(妻)との話し合いによる離婚は、困難を極めます。離婚問題の中でも特にモラハラ離婚を扱った経験のある弁護士も多くいますので、そういった信頼できる弁護士にぜひ一度相談してみてください。

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