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離婚したくない!離婚を切り出された時に具体的な対応

この記事で分かること

  • 法定離婚事由がない場合には、離婚要求に応じる必要はない
  • 離婚届不受理届け出を提出すれば、配偶者が勝手に離婚届を出しても受理されない
  • できれば調停まで至らず、話し合いで解決できるように努力しよう

離婚を切り出された時、薄々と予感があった方もいれば、まさに青天の霹靂だった方もいるでしょう。いずれにせよ、配偶者は離婚を希望しているけれども自分としては離婚したくない場合には、どうすれば良いのでしょうか。今回は、離婚を回避するためにとるべき行動をご紹介していきます。

離婚をしたくないのに応じなければならない?

妻や夫から離婚を要求されたとき、動揺してもう離婚しか道がないかのように感じてしまいがちですが、配偶者の離婚要求に必ず応じなければならないということはありません。しかし、配偶者が離婚を切り出した理由にもし心当たりがある場合には、離婚を避けることはできないかもしれません。

法定離婚事由がある場合

配偶者から離婚を切り出され、自分は離婚したくないとどんなに強く希望していても、法的に離婚が避けられない場合があります。それが、法定離婚事由がある場合です。
日本の離婚方法の9割は、夫婦の話し合いのみで離婚する協議離婚だと言われていますが、協議離婚が成立しない場合には調停離婚、そして調停離婚でも解決しない場合は裁判離婚へと進んでいきます。
裁判離婚にまで進んでしまった場合に、離婚成立の可否をわけるのが、法定離婚事由の有無です。

法定離婚事由とは

法定離婚事由には、下記の5つが該当します。

不貞行為

配偶者以外の異性と肉体関係を持つことで、一般には「不倫」と呼ばれる行為です。

悪意の遺棄

夫婦の義務を放棄することで、配偶者に生活費を渡さない、家出を日常的に行うなどの行為が該当します。

配偶者の生死が3年以上不明

配偶者の生死が3年以上不明で、現在もその状態が続いている場合が該当します。

配偶者が強度の精神病患者で回復の見込みがない

配偶者が強度の精神病患者である場合には、婚姻生活の相互協力や扶助といった義務が果たせないため、離婚請求が可能です。

その他婚姻を継続しがたい重大な理由

この項目は抽象的な原因として離婚事由として認定されるもので、それぞれの夫婦の状況によって判断されます。

自身のケースが法定離婚事由に当たるのかわからないときは

法定離婚事由のうち4つは具体的な規定なのでご自身が該当するかは明白ですが、最後の「その他婚姻を継続しがたい重大な理由」は、抽象的な規定のため、ご自身が該当するのかわからない場合もあるでしょう。もしご自身のケースが法定離婚事由に当たるのかわからない場合には、一度弁護士に相談してみるといいでしょう。

法定離婚事由がない場合

上に挙げた法定離婚事由がない場合には、配偶者がどれだけ強く離婚を希望していたとしても、あなたが離婚を拒否し続ける限り離婚することはできません。
しかし、配偶者に離婚を迫られているという状況は辛いものです。正常な判断ができないような状態で、気付いたら離婚が成立してしまっていた、というような事態を避けるために、下記のことに注意しましょう。

離婚届の不受理申出書を提出する

離婚を強く希望している配偶者が、離婚について夫婦の合意がまだ得られていないにも関わらず勝手に離婚届を役所へ提出してしまうことがあります。そのような場合に、離婚が勝手に成立してしまうことを防ぐために、離婚届不受理申出という制度があります。
離婚届不受理申出書を夫婦の一方が提出することによって、それ以降に離婚届が出されても受理されないことになります。
離婚を切り出された直後は辛い時期ですが、勝手に離婚が成立してしまっては大変なので、まずは離婚届不受理申出書を役所に提出しておきましょう。

配偶者が離婚したい理由を知る

離婚を避けるためには、まずは配偶者がなぜ離婚したいと思っているのかを知る必要があります。薄々と原因に心当たりがある場合もあれば、全くわからない場合もあります。
まずは配偶者に直接聞いてみる必要がありますが、納得する理由でなかったり、あなたへの不満や落ち度を悪し様に罵られたり、つい感情的な反応を返したくなる状況に陥ってしまうかもしれません。しかし、相手にとっても離婚を切り出すというのは相当な覚悟が必要とされる行為なので、冷静ではない状況です。ですので、まずは落ち着いて相手の言い分に耳を傾けることが大切です。

浮気の事実がないか調べる

また、浮気などをしていた場合には本当の理由を口にすることはないでしょう。不倫が疑わしい場合には、念のため調べてみることをお勧めします。
いずれにせよ、夫婦関係を修復して離婚を回避するためには、相手が離婚したい理由を知ることが大切です。

ワンポイントアドバイス
夫婦関係は、互いの協力や歩み寄りによって成り立つものです。離婚を切り出されるとショックですが、まずは冷静になって、離婚を避けるために今自分が何をすべきかということを第一に考えて行動しましょう。

離婚をしたくない!夫婦関係を修復するためには

離婚を回避するためには、夫婦関係を修復することが必要です。そのためにすべきことを順を追ってみていきましょう。

まずは離婚したくない理由を整理しよう

離婚を切り出されると相手がなぜ離婚を望むのかということばかりに気を取られてしまいがちですが、自分の中で「なぜ離婚をしたくないのか」ということもまず整理する必要があります。もしかしたら、意地になっているだけで冷静に考えてみると互いに別々の道を歩む方が良いとご自身も内心では思っている場合もあります。

子供のために

夫婦二人は離婚してもいいと思っていても、離婚した後の子供のことを考えると離婚には踏み切れないという方も多いでしょう。
名字や住む場所が変わったり、片親になかなか会えなくなったりと、離婚が子供に与える影響は非常に大きいです。自分たち夫婦の問題で子供に大変な思いをさせたくないという理由は、離婚したくない理由の中でも非常に多いものです。

経済的な問題

また、特に専業主婦などの場合ですと離婚した後の経済的な不安から離婚したくないと考える方も多いです。
特に子供がいる場合には、経済的な負担はより大きなものになります。

まだ相手のことが好き、情がある

相手に対してまだ行為を抱いているというのも、離婚を避けて夫婦関係を継続したいと思う大きな理由の一つです。

相手が離婚したい理由に向き合う

相手が離婚を望む理由はさまざまで、もはや修復は困難なものもありますが、互いの歩み寄りや今後の行動の改善によって解決できる場合もありますので、相手の離婚したい理由から目を背けずにしっかりと向き合うことが大切です。

相手の話に耳を傾ける

離婚は人生の一大事ですので、切り出す側であっても冷静な状態ではありません。あなたに全ての責任をなすりつけるかのような物言いで離婚を迫ってくるような場合もあり、反発を覚えることもあるでしょうが、それに対して強硬に反発してしまっては、相手は心をより閉ざしてしまうことになります。自分自身も辛い状況ではありますがまずはぐっとこらえて、相手の言い分の中から今後の夫婦生活において改善すべき点は何かといった建設的な指針を拾いあげて、今後の生活に生かすようにしましょう。

自分を見つめ直して、歩み寄る

あなたの落ち度を理由に配偶者が離婚を望んでいる場合には、まずは自分自身を見つめ直して、歩み寄ることが必要です。
しかし、どうしても譲れないものは誰にでもあるものです。相手の言い分に合わせて自分を変えることが難しいような場合には、離婚した場合のデメリットと離婚しない場合のデメリットを冷静に比較して考えた方がいいでしょう。

一人で悩まない

離婚を切り出されるというショッキングな状況下では、自分一人では冷静な判断が下せなくなってしまうことも多々あります。中立で冷静な判断ができる第三者の意見を聞いて、判断材料にすることをお勧めします。
しかし、親族などでは感情に左右されて冷静な判断ができない傾向があります。その場合には弁護士やカウンセラーなどに相談すると良いでしょう。

ワンポイントアドバイス
相手が離婚したい理由も、あなたが離婚したくない理由も、夫婦によってさまざまです。カウンセリングなども活用して自分の気持ちや離婚を回避した場合に残るものや、もし離婚してしまった場合のその後の状況などを整理して、離婚すべきかどうかも含めて冷静に判断しましょう。

二人の話し合いで解決しない場合には

基本的には夫婦二人の話し合いでの解決を目指すべきですが、それが難しい場合もあります。その場合には、夫婦円満調停や離婚調停といった調停を利用することになります。

夫婦関係円満調停を行う

調停というと離婚を求める側が離婚することを目的に開く離婚調停がまず思い浮かびますが、離婚したくない側が夫婦関係を修復し、離婚を回避することを目的に開く調停が、夫婦関係円満調停です。

調停委員が離婚を回避するサポート

夫婦関係円満調停では、調停委員が話し合いの進行をコントロールし、双方から話を聞いて結婚生活の実情などを確認します。
円満調停では、何らかの合意ができた場合や、合意できる見込みがないとわかった場合に終了します。合意ができた場合にはそれに基づく調停調書が作成され、もう一度やりなおそうとなった場合には、夫婦生活の努力目標のような条項を盛り込まれることが多いです。

離婚調停を行う

離婚調停も円満調停も、実は同じ夫婦関係調整調停です。そのため、話し合う内容を除けば基本的な流れなどは円満調停と同じです。

離婚調停は、結論として離婚を求めるもの

離婚調停の円満調停と異なる点は、離婚したい側が結論として離婚することを目的に開くという点です。そのため、離婚したくないというあなたの意思が固い場合には、しっかりと自身の希望や考えを調停委員に伝えることが大切です。

ワンポイントアドバイス
円満調停や離婚調停はあくまでも最終手段で、基本的には夫婦の話し合いで解決するように努力してください。調停まで至るケースでは、多くの場合夫婦関係がすでに修復が難しいレベルにまでこじれてしまっているため、そのまま離婚に至るケースが多いためです。

離婚をしたくない場合は弁護士に相談しよう

自分一人で悩んでいると、なかなか思うように動かない事態に焦りばかり募ってしまいます。離婚は夫婦間の問題であると同時に、法的な問題でもあります。夫婦の話し合いでの解決が難しそうな場合や、なにから手をつけていいのかわからない場合などは、法律の専門家である弁護士に相談してみると良いでしょう。

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