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離婚の原因にはどんなものがある?夫婦の結婚生活が破綻する理由をランキングで解説

この記事で分かること

  • 離婚原因トップは男女ともに「性格の不一致」。
  • お互いが納得すればどんな理由でも離婚が可能。
  • 裁判で離婚を認めてもらうには法律に定められた離婚理由が必要!
  • 裁判で勝てる確率が低い離婚理由の場合は、まずは別居を選択しよう。

男女ともに離婚原因のトップは性格の不一致ですが、実は、離婚裁判になった場合、性格の不一致で離婚できる可能性はあまり高くありません。どのような離婚原因があれば確実に離婚が可能なのか、詳しく見ていきましょう。

妻の離婚原因ランキングトップ10

まずは、2015年度の司法統計(婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/713/008713.pdf )を参考に、妻の離婚原因から見ていきましょう。

※1人につき3つまで挙げてもらう複数回答のため、すべての割合を合わせても100%にはなりません。

【第1位】性格の不一致

男女ともに「性格の不一致」

妻の離婚原因1位は性格の不一致で、全体の40.5%でした。結婚後に価値観が異なる・性格が合わないといった悩みを抱えている女性が非常に多いことがうかがえます。

【第2位】生活費の不払い

法律上、夫婦にはお互いに負うべきいくつかの義務があるとされています。そのうちの1つが、協力・扶助義務です。夫婦はお互いに助け合って生活していかなければならず、一方の収入が少ないのであれば、もう一方が生活費を渡して、2人が同程度の生活水準を保てるようにしなければなりません。

にもかかわらず、夫から生活費が支払われなくなるケースは少なくないようで、離婚原因全体では、生活費の不払いは28.3%に上りました。

【第3位】精神的な暴力(モラハラ)

モラハラとは、暴言を吐いたり意図的に無視したりなどして、相手を精神的に追い詰めることをいいます。近年モラハラによる離婚は増加傾向にあり、離婚原因全体では25.6%でした。

【第4位】身体的な暴力(DV)

身体的な暴力を振るういわゆるDVは、全体の22.7%。僅差ではありますが、離婚原因としてはモラハラよりも少なくなっています。

【第5位】異性関係のトラブル

浮気や不倫といった異性関係のトラブルは全体の18.0%で、離婚原因としても5位にとどまりました。

その他の離婚原因

第6位~第10位の妻の離婚原因は以下のとおりです。

第6位:浪費……11.3%
第7位:家庭を顧みない……9.0%
第8位:相手家族・親族との不仲……7.6%
第9位:性的不調和(セックスレスなど)……7.6%
第10位:過度の飲酒……6.4%

ワンポイントアドバイス
離婚原因の代表といえば、浮気や不倫といった異性関係のトラブル。しかし現実には、離婚原因として挙げている妻は全体の2割未満と、それほど多い夫婦間の問題ではないのです。

夫の離婚原因ランキングトップ10

続いて、同じく2015年度の司法統計(婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別)より、夫の離婚原因を見ていきます。

※1人につき3つまで挙げてもらう複数回答のため、すべての割合を合わせても100%にはなりません。

【第1位】性格の不一致

夫の離婚原因のトップも、妻の場合と同じく性格の不一致です。しかし、全体の割合は約61.3%であり、妻よりも離婚原因として挙げる人の割合が多く、またその数も半数以上に上ることがわかります。

【第2位】精神的な暴力(モラハラ)

モラハラを離婚原因として挙げる人が増えているのは、妻だけではありません。割合としては全体の約18.7%ですが、妻の離婚原因3位だったモラハラは夫では第2位です。

妻から夫に対しても、「自分の分だけ食事を用意してもらえない」「家にいても無視される」「早く帰ってくると文句をいわれる」といったモラハラ事例があり、こうした毎日の精神的な圧力が、離婚の動機となっているようです。

【第3位】相手家族・親族との不仲

妻の家族や親族との不仲が原因で離婚に至るケースは、全体の約14.9%。妻の離婚原因ではトップ5にはランクインしていませんが、夫の離婚原因では第3位という結果となりました。相手家族とのトラブルといえば、巷でたびたび話題に上るのは「嫁姑問題」ですが、離婚に至るほど深刻なトラブルはもっとほかにあるようです。

【第4位】異性関係のトラブル

異性関係のトラブルは、全体の約14.8%で、相手家族・親族との不仲とほぼ変わらない数字です。また、妻の場合と同じく、全体の中での割合としてはそれほど多くないことがわかります。

【第5位】性的不調和(セックスレスなど)

セックスレスや性的嗜好の違いなどによる夫婦間の問題が性的不調和です。夫では離婚原因全体の13.1%で、第5位にランクインしています。

その他の離婚原因

第6位~第10位の夫の離婚原因は以下のとおりです。

第6位:浪費……12.4%
第7位:同居に応じない……9.9%
第8位:身体的な暴力(DV)……8.5%
第9位:家庭を顧みない……6.3%
第10位:病気……5.1%

ワンポイントアドバイス
男性の離婚原因も、断トツのトップは性格の不一致でした。一方で、妻から夫へのモラハラが増えていること、妻よりも夫のほうが配偶者の家族との間にトラブルを抱えていることは、意外な事実といえるかもしれません。

どんな離婚原因でも離婚できる?「法廷離婚事由」について

離婚を考える動機や原因は人それぞれですが、実は、離婚裁判を起こすためには、法律上定められた離婚原因が必要です。法律に規定されている5つの離婚原因のことを、「法廷離婚事由」といいます。

法廷離婚事由から見た男女の離婚原因

5つの法廷離婚事由の内容を、上記ランキングの離婚原因と比較しながら見ていきましょう。

【1】不貞行為

夫婦には、夫婦関係を維持するため、互いに守らなければならない義務があります。そのひとつが、貞操を守る義務です。不貞行為、いわゆる浮気や不倫はこの貞操義務に反する行為であり、一方が不貞行為を行った場合は、法律上離婚が認められています。

ただし、法律上の不貞行為の定義は、異性との間に肉体関係があることです。そのため、キスをした、抱き合っていた、異性に対して好きという感情を持っているだけ、といったケースでは、不貞行為としては認められない可能性があることに注意が必要です。

【2】悪意の遺棄

夫婦の義務には貞操義務のほか、同居義務や協力・扶助義務もあります。そして、同居義務や協力・扶助義務を意図的に怠ることを、「悪意の遺棄」といいます。

法律上、夫婦は基本的に一緒に住むものと考えられているため、一方的に家を出て行ったり理由なく同居に応じなかったりした場合は、悪意の遺棄と認められます。とはいえ、現在では夫婦のあり方も多様化してきており、2人が納得の上であえて同居を選択していないのならば、悪意の遺棄にはあたりません。

また、協力義務とはお互いに助け合いながら夫婦生活を送っていくこと、扶助義務とは夫婦が互いに同じ水準で生活を送れるように、収入の多いほうがもう一方を養うことをいいます。

上記の離婚原因ランキングでいえば、「同居に応じない」「生活費の不払い」「家庭を顧みない」といった離婚原因が悪意の遺棄にあたるといえるでしょう。

【3】3年以上の生死不明

相手が家を出たきり連絡が取れない、生死すらわからないといった状態が3年以上続いた場合は、離婚が認められます。

【4】回復の見込みがない重い精神病にかかっていること

配偶者が統合失調症、双極性障害、アルツハイマー病、認知症などの病気にかかっている場合、病状が重ければ、お互いが夫婦としての義務を果たしながら協力し合って生活していくことが難しくなるかもしれません。そのため、相手が医師から回復の見込みがないと判断される重い精神病を患っているときは、離婚が認められています。

ただし、精神病にかかってしまったのは本人だけのせいとは言い切れず、また、夫婦として相手を支えていく義務もあることから、精神病を理由に離婚するには、厳しい条件が定められています。たとえば、投薬により改善の余地がある状態では、離婚は認められません。また、離婚に至るまでに、配偶者を長期にわたり献身的に支えてきたという事実が必要です。

【5】その他婚姻を継続しがたい重大な事由

上記1~4の離婚原因がある場合、夫婦関係を継続することが難しいのは明らかといえます。そこで、上記の離婚原因には当てはまらないものの、それらと同等と判断されるような重大な理由があるときは、離婚が認められています。

先ほどの離婚原因ランキングを見てみると、男女ともにトップの「性格の不一致」をはじめ、大半の離婚原因は1~4の法廷離婚事由には当てはまらないことがわかります。そのため多くのケースでは、離婚原因が5つ目の法廷離婚事由「その他の婚姻を継続しがたい事由」に該当するかどうか、つまり、これ以上夫婦関係を継続できないほど深刻な理由かどうかが争点になるのです。

法廷離婚事由がなければ離婚できない?

とはいえ、離婚するのに法廷離婚事由が必要になるのは、裁判で離婚を争うときのみです。基本的には夫婦間のトラブルは2人のものですから、お互いが話し合いで納得できさえすれば、どのような理由であっても離婚することはできます。

ワンポイントアドバイス
裁判となると証拠集めや煩雑な法手続きが必要になるなど、離婚成立までの期間は長引く一方です。そのため、離婚問題はできる限り早めに弁護士に相談し、協議離婚・調停離婚の段階での解決を目指すのが最良の選択といえます。

どのような離婚原因でもスムーズに離婚を成立させるには

「お互いに納得すればどのような理由でも離婚できる」とは、言い換えれば、相手の納得を得られない限り、裁判で争う以外に離婚する方法はないということです。離婚裁判で自分の有利に戦うには準備が不可欠。離婚を考えはじめたら、まずすべきことは以下のとおりです。

証拠集め

離婚裁判においてもっとも重要なものといっても過言ではないのが、相手に非があること(不倫など)、または、夫婦関係が破綻していることを客観的に証明する証拠です。相手に離婚の意思を伝えてからでは証拠を隠される恐れもあるので、離婚を決意したら、できるだけ早く証拠集めをはじめましょう。

証拠として確実なのはやはり、画像、動画、録音データなどの現場を押さえたものやメールやSNSでのやり取りなどの現物です。しかし、これらの証拠を集めるのが難しくても、状況を詳細に記したメモや日記などでも証拠となり得ます。セックスレスやモラハラ、性格の不一致など立証が難しいとされている離婚原因の場合は特に、長期にわたる克明な記録が有効です。

自分では証拠の収集が難しい場合は、探偵や弁護士などの専門家を雇うのもひとつの方法です。

別居の準備

ここまで見てきたとおり、夫婦の離婚理由は、法廷離婚事由の1~4に該当しない、いわば“グレーゾーン”のものが大半。不倫やDVのように、一方的に相手に非があるような離婚原因があるケースは、実はそれほど多くないのです。

そして、法廷離婚事由の1~4に該当しない離婚原因で離婚したい場合、相手が納得してくれず最終的に裁判で争うことになれば、その離婚原因によって「夫婦関係が破綻していること、これ以上修復の見込みがないこと」を、裁判官に対して証明しなければなりません。

しかし、男女ともに第2位以降に大差をつけて離婚原因第1位となっている「性格の不一致」などは、もともと夫婦はお互いに価値観や考え方が違うものですから、「夫婦関係を継続できないほど深刻」であることを客観的に証明するのは簡単ではないでしょう。

そこで有効なのが、離婚する前に「別居」という選択をとること。長期にわたって別居期間があることは、夫婦関係の破綻を端的に証明する証拠となります。また、離婚前にいったんクールダウンの期間をおくことで、感情的に離婚してしまい後から後悔するような事態も防ぐこともできます。

ワンポイントアドバイス
配偶者からDVやモラハラの被害に遭っている場合、相手が素直に離婚に応じるケースは少なく、別居は相手の暴力から逃れる有効な手段にもなり得ます。離婚を考えはじめたら、別居後の住居や生活費の確保といった準備を進めていきましょう。

どのような離婚原因でも確実に離婚したいなら弁護士へ相談を

「原因ははっきりしないけどとにかく相手と離婚したい」「相手が離婚に応じてくれず、裁判で争うことになりそう」といったときには、弁護士などの法律の専門家の助けを借りるのが離婚までの確実で最短な道のりといえます。どうすべきかと1人で悩んでいるならば、まずは弁護士に相談してみましょう。

離婚の悩みは弁護士に相談を
離婚問題はひとりで悩まず法律のプロが解決
  • 離婚する夫(妻)・不倫相手に慰謝料を請求したい
  • 子どもの親権・財産分与で揉めている
  • 離婚後の子どもの養育費をきちんと払わせたい
  • 離婚したいけど離婚後の生活が心配
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上記に当てはまるなら弁護士に相談