2018/11/16 47view

離婚裁判は自分で起こせる?本人訴訟による離婚裁判の進み方

この記事で分かること
  1. 離婚裁判は本人訴訟を自分で起こせる
  2. 本人訴訟は弁護士費用がかからないのがメリット
  3. 勝てるはずの裁判で負けてしまい、希望する結果が得られないこともあるので注意

離婚裁判の弁護士費用を節約したいと思う人もいるでしょう。本人訴訟を自分で起こすことは、弁護士費用がかからないことがメリットです。この記事では、離婚裁判を本人訴訟で行なう流れ、および本人訴訟のメリットとデメリットを解説します。

離婚裁判は本人訴訟を自分で起こせる

離婚裁判は、本人訴訟を自分で起こすこともできます。ドイツなどヨーロッパの国のなかには、裁判にはかならず弁護士を立てなければいけないとしているところもあります。しかし、日本では、民事訴訟に関しては、弁護士を立てずに本人訴訟を起こすことが認められます。

本人訴訟は、弁護士を依頼するための費用がかからないのがメリットです。離婚裁判を弁護士に依頼すれば、着手金や成功報酬などで数十万円がかかりますので、それを「節約したい」と思う人もいるでしょう。

しかし、弁護士に依頼せずに本人訴訟を行なうと、非常に大きな時間と労力を費やさなければならなくなります。数多くの書類を作成しなければなりませんし、口頭弁論も自分ひとりで行わなければなりません。

また、それだけの時間と労力を費やしたにもかかわらず、裁判に負けてしまうことがあります。裁判に勝つためには、事実と法律に則って自分の権利の正当性を主張しなければなりません。本人訴訟をしたために権利の主張に失敗し、財産分与や慰謝料が希望の金額にならなければ、大きな損失をこうむることにもなりかねません。

離婚裁判を自分で本人訴訟するかどうかは、慎重に検討する必要があるでしょう。

ワンポイントアドバイス
離婚裁判を本人訴訟で行なうかどうかについては、メリットとデメリットをよく考え合わせて決めることが大切です。弁護士に依頼すれば、そのための費用はかかりますが、財産分与や慰謝料の請求などによって得られる金額は、弁護士に依頼したときのほうが大きくなることもあります。まずは弁護士事務所で相談し、弁護士に依頼した場合とそうでない場合とで、かかる費用と得られる結果がどう変わるかを確認してみるのが良いでしょう。

本人訴訟によって離婚裁判を自分で起こす場合の進め方

本人訴訟によって離婚裁判を自分で起こす場合の進め方を見ていきましょう。

家庭裁判所に離婚の訴えを提起する

離婚裁判を起こすためには、家庭裁判所に訴状を提出し、離婚の訴えを提起します。訴えを提起する際に必要な書類と費用は次の通りです。

必要書類

離婚裁判の訴状

用紙は裁判所のホームページからダウンロードできます。

離婚調停不成立調書

離婚裁判を起こすためには、まず家庭裁判所に調停を申し立て、その結果が不成立であることが条件です。離婚調停不成立調書は、調停が終わったときに手に入れることができます。

夫婦それぞれの戸籍謄本

本籍地が遠い場合は郵送でも入手できます。

費用

収入印紙代

離婚のみの場合 …13,000円、離婚と財産分与 …13,900円、離婚と財産分与・および養育費 …14,800円。160万円を超える慰謝料を請求する場合には、その金額に応じた費用が別途かかります。

郵便切手代

6,000円程度。裁判所によって異なります。

2.口頭弁論の期日が指定される

訴えの提起が認められると、裁判所から第1回の口頭弁論期日が指定され、「呼出状」が郵送されます。呼出状は、訴えを提起した本人である「原告」と、離婚の訴えを起こす相手である「被告」の双方に、訴状とともに送られます。被告は、その訴状にたいする反論である「答弁書」を、決められた期日までに裁判所に提出します。

3.第1回口頭弁論

第1回口頭弁論が、訴えを提起してから約1ヶ月後に行われます。第1回口頭弁論の流れは、大体以下のようになります。

(1)問題の争点整理

裁判官が、原告が作成した訴状、および被告が作成した答弁書を読み上げ、問題の争点を整理します。

(2)証拠の提出

原告は自分の主張を裏付ける証拠を、そして被告は、それを否定する証拠を提出します。また、証拠は書類などだけではなく、離婚に関する事実関係を証言する「証人」であることもあります。

離婚裁判の場合には、証拠は次のようなものになるでしょう。

被告の不倫を離婚原因とする場合

不貞を立証できる動画や写真、ラブホテルの領収書、メールやSNSでの不倫相手とのやり取りなど

婚姻関係の破綻を離婚原因とする場合

暴力を裏付ける医師の診断書や、破れた衣服の画像など

(3)原告の主張に関する事実の認定

裁判官は、原告が提出した証拠を吟味し、原告が主張する事実がたしかに存在したかについて認定します。

4.第2回目以降の口頭弁論

離婚裁判の口頭弁論は1回で結審することはほとんどなく、複数回にわたり、大体1ヶ月に1回のペースで行われます。それぞれの口頭弁論では、第1回の場合と同様に、原告・被告がそれぞれ用意した準備書面の内容を確認し、食い違いがある点については提出された証拠を調べます。

5.裁判の終了

裁判の終了の仕方には、次の2通りがあります。

(1)判決

原告・被告双方の主張が出尽くし、十分な証拠が出揃った時点で、裁判所は、原告の離婚請求を認めるか、それとも棄却するかの判決を下します。判決書が送達された日から2週間以内に原告または被告が控訴しなければ、判決は確定します。

もし、判決に不服がある場合には、高等裁判所、さらには最高裁判所へ控訴することもできます。

(2)和解

離婚裁判が判決によって終了することは、実はそれほど多くありません。審理を続けるなかで、原告と被告が話し合いで解決しようと結論した場合、または、裁判所が話し合いで解決すべきと判断した場合には、「和解」が行われるからです。

和解は、裁判所が仲介役となって話し合いを進めます。原告・被告双方が納得できる結論に至った場合は、和解の成立をもって裁判は終了します。

ワンポイントアドバイス
離婚裁判を行うためには、長い時間と多くの労力がかかります。多くの書類を法律に則って作成しなければなりませんし、原告と被告の主張が食い違った場合には、相手の主張に打ち勝つための法廷戦略も要求されます。本人訴訟で裁判を本当に乗り切ることができるのか、十分な検討が必要となるでしょう。

離婚裁判の本人訴訟を自分で起こすことのメリット・デメリット

離婚裁判の本人訴訟を自分で起こすことのメリットとデメリットを見ていきましょう。

本人訴訟のメリット

メリット 弁護士費用がかからない

本人訴訟のメリットは、「弁護士費用がかからないこと」に尽きると言えるでしょう。離婚裁判の弁護士費用は、事務所によって異なりますが、

  • 着手金 …20万円~40万円
  • 成功報酬 …30万円~60万円(財産分与や慰謝料の金額によっても変わってくる)

くらいがかかります。財産分与や慰謝料について争う金額がこれより小さい場合には、本人訴訟はおすすめだといえるでしょう。

本人訴訟のデメリット

デメリット1 多大な時間と労力がかかる

本人訴訟のデメリットとしてまずあげられるのは、裁判を行うためには多大な時間と労力がかかることです。

裁判を起こす際には訴状を、毎回の口頭弁論では準備書面を、裁判所の書式に則って作成しなければなりません。また、口頭弁論などのために裁判所まで足を運び、裁判のために数時間を費やすことも必要です。

弁護士に依頼する場合:

弁護士に依頼すれば、書類の作成は弁護士がすべて行います。また、口頭弁論などについても、「配偶者と顔を合わせたくない」などのことがあれば、裁判所へ自分は行かず、弁護士にすべてを任せることもできます。

デメリット2 法律の知識が必要となる

本人訴訟のデメリットとして次に上げられるのは、裁判を行うためには法律の知識が必要となることです。

離婚裁判は、民法などの法律に則って進められます。したがって、訴状や準備書面、口頭弁論などでは、「○○法△条によれば……」などの形で自分の権利を主張しなくてはなりません。もし、法律に詳しくない場合には、勉強する必要もでてくるでしょう。

弁護士に依頼する場合:

弁護士は、言うまでもないことですが、法律の専門家です。権利の主張を法律に則って行うために、弁護士は存在しています。

デメリット3 裁判に負けてしまうことがある

本人訴訟のデメリットとして、「裁判に負けてしまうことがある」ことは、大きいと言えるでしょう。

離婚訴訟は多くの場合、「配偶者との闘い」といえる状況になります。離婚原因や親権、財産分与、慰謝料などに争いがあるために裁判になるわけですから、原告であるこちらの主張を被告である配偶者が、徹底して否定してくる可能性もあるでしょう。

そのような状況で自分の主張を裁判官に認めさせるためには、事実と法律によって主張が裏打ちされているのみならず、高度な法廷戦術が必要となることもあります。

そのいずれが欠けていても裁判に負けることがあり、その場合には、離婚の成否や親権・財産分与・慰謝料などについて希望の結果が得られないこととなります。

弁護士に依頼する場合:

弁護士は、法律の専門家であると同時に、裁判および交渉の「プロ」だと言えるでしょう。依頼人の権利を正当に主張するために、法律の知識と法廷・交渉の戦術を駆使します。弁護士費用のうち「成功報酬」は、弁護士の仕事によって希望の結果が得られた場合にのみ発生しますので、もし裁判に負けた場合は、支払いは原則として不要となります。

ワンポイントアドバイス
弁護士費用はそれなりに高額ですが、その対価として何が得られるのかを十分に検討する必要があるでしょう。弁護士費用を節約するために本人訴訟をすることで、結果として裁判に負けてしまえば、弁護士費用よりはるかに大きな損失をこうむることになりかねません。本人訴訟をするか弁護士に依頼するかは、費用と効果のバランスを考えて決めましょう。

離婚裁判で本人訴訟するかどうかは慎重に検討しよう

離婚を裁判で決着するには、かつては信頼していた配偶者と争わなくてはなりません。長い時間と大きな労力がかかるのみならず、精神的な消耗も非常に大きなものとなります。そのようなとき、法律の専門知識を持ち、物心両面でサポートを受けられる弁護士のような存在は大切です。初回の相談料は無料の法律事務所もあるので、上手に利用してみるとよいでしょう。

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