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離婚調停が不調で終わった!その後の対処法や選択肢について解説

この記事で分かること

  • 離婚調停は成立する場合と不成立で終わる場合がある
  • 離婚調停が不成立となった場合は、再度当事者間で協議をするか裁判所の判決による離婚を目指す
  • 離婚訴訟を提起する場合には弁護士への依頼が必須

離婚調停の成立には夫婦の合意が必要のため、協議がまとまらなければ不調で終わる場合もあります。調停不調となった場合には夫婦間で協議の続行も可能ですが、訴訟を提起するなどして裁判所に判断を委ねることもできます。

離婚調停は不調で終わることもある

離婚調停は成立して終わればそのまま離婚となりますが、必ずしもそうなるとは限らず不調で終わるケースもあります。調停が成立しない場合、終わり方にはいくつかの種類があります。

調停が成立した場合の手続

離婚調停で夫婦の協議がまとまり合意に至ると、調停成立となります。調停離婚の成立後、申立人は役所に離婚届を提出します。

調停離婚と戸籍に載る場合

調停による話し合いで夫婦が合意し、調停委員も「離婚が妥当」と認めると合意内容を記載した調停証書が作成されます。この証書には「申立人と相手方は本日調停離婚する」と記載され、作成と同時に離婚が成立します。申立人または相手方は離婚成立後、離婚届に調停証書を添付して役所に提出しますが、この場合には調停離婚をしたことが戸籍に記載されます。

協議離婚の体裁をとることも

戸籍に調停離婚をした旨が残ることを嫌う場合には、調停を経た離婚でも「協議離婚」の体裁を取ることができます。「申立人と相手方は本日協議離婚する」という調停条項に夫婦双方が合意した旨が調停証書に記載されますが、この場合調停は成立しても離婚は成立していません。通常の協議離婚のように申立人または相手方が役所に離婚届を提出することで離婚が成立します。

調停成立とならない場合

調停は夫婦の合意が得られなければ成立とはなりません。調停が成立によって終わらない場合のいくつかのケースについてご案内しましょう。

調停の取下げ

申立人は協議を続けても相手方との合意が難しいと判断した場合には、調停を取下げることができます。この場合、裁判所に取下書を提出することになりますが相手方の合意は不要です。調停の場で取下げを希望する際には書式を用意してもらうことも可能です。取下書の提出によって調停は終了します。

調停不成立

調停委員会(裁判官、調停委員2名)が夫婦間の合意が見込めないと判断した場合や成立した合意が適切でないと認めた場合には、調停不成立という形で調停が終了します。調停不成立は調停不調とも言い、当事者が調停を続けることを希望したとしても調停委員会の判断によって決定されます。

「調停せず」「自動終了」も

調停委員会は離婚調停を行うことが適当でないと認めた場合や当事者が不当な目的で調停を申し立てた場合には「調停をしない」措置を取ることができます。例えば申立人が調停に欠席を続ける場合や調停不成立となったにも関わらず再度すぐに調停を申し立てた場合などです。離婚調停の期間中に申立人又は相手方が死亡し夫婦関係が解消した場合には調停は自動終了となります。

ワンポイントアドバイス
調停は成立して終わる場合と成立しないで終わる場合があります。調停が成立すれば離婚となりますが戸籍に調停離婚をしたことが記載させたくない場合には協議離婚の体裁を取ることも可能です。調停が成立しないで終わる場合には、申立人による取下げ、調停委員会による調停不成立(調停不調)などのケースがあります。

離婚調停が不調の場合はまず協議を

調停不調となった場合の方法はいくつかありますが、当事者間で再度協議をして円満な解決を図ることができればそれが一番望ましいでしょう。再度調停を申立てる場合には期間を開けることが大切です。

離婚調停が不調の場合の注意点

審判に不満があった場合は抗告、裁判の場合は控訴することができますが、離婚調停の場合は不成立に終わっても不服申し立てをすることは一切できなくなっています。そのため一度出た成立、不成立の結果は覆すことができません。成立の場合には調停証書、不成立の場合には不成立証明書の作成によって当該事件の調停手続は完全に終了となります。

当事者間の協議

調停が不調で終わった場合、夫婦双方が話し合える状態であれば当事者間の協議を進めても良いでしょう。期間が空いたことで夫婦が調停中より冷静になっていることも考えられます。調停が不調で終わっていても、その後に協議離婚をすることは可能なのです。

裁判所での審判の可能性も

離婚調停不成立に不服がある場合は、不服申し立てはできませんが、裁判所で審判をする可能性もあります。個人の事情やこれまでの資料などから裁判所が判断します。

ワンポイントアドバイス
調停で出た成立あるいは不成立の結果に対しては一切不服申し立てをすることはできません。調停不調で終了してもやはり離婚を望む場合には、まず当事者間の協議を進めるのも良いでしょう。調停委員にアドバイスをもらったことによって再度夫婦間で冷静に話し合うことができるかもしれません。調停不調後にも協議離婚をすることは可能です。

離婚調停不調後に再度調停の申立も可能

調停は一度不調で終わったら二度と申し立てられないということはありません。ただし、再度調停を申し立てる際には気を付けた方が良いポイントがあります。

再度離婚調停申し立てるときのポイント

調停の申立については法律上の制限はありません。そのため、一度不調となっても何度でも離婚調停を申し立てることができます。調停不調で終わっても、当事者間での協議がやはり困難な場合やすぐに訴訟を起こす気になれない場合には再度の調停申し立てを検討することが可能です。

ただし、一度調停不調となって期間を開けずにすぐ離婚調停の申立をすることは現実的とは言えません。相手の気持ちが変わっていない可能性も高い上、裁判所に調停手続の濫用と捉えられる可能性もあります。再度調停を申し立てる場合には調停不調となってから期間を置くようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
調停は一度不調で終わっても再度申立てをすることができます。ただし、調停不調となった直後に申立をするのは現実的ではありません。再度、離婚調停を申立てたい場合には期間を開けてからにすることをおすすめします。

離婚調停不調の場合の審判

調停が不調に終わった場合、裁判所の判断で審判離婚が宣言される場合があります。実際に審判で離婚が決定されるケースは極めて稀ですが、適用される場合についてご案内します。

審判離婚とはどういうものか

離婚調停で夫婦が合意に至らない場合には、家庭裁判所が調停委員の話を聞き独自の判断と職権によって離婚の審判を下すケースもあります。これを審判離婚といいますが、夫婦の公正を考慮し離婚が双方にとって望ましいと裁判所が認めた場合にのみ取られる方法です。夫婦の一方または双方の意見に沿わない可能性もあるため、実際に成立するケースは極めて稀です。

審判離婚が適用されるケース

審判離婚が適用されるのは一般的に以下のようなケースとされています。

  • 一度離婚が合意したにも関わらず一方の気持ちが変わり調停に出頭しないとき
  • 一方が病気等の理由で調停に出頭できないとき
  • 親権等の問題で早く離婚を成立させた方が良いと判断されるとき
  • 夫婦のどちらかまたは双方が審判離婚を求めたとき
  • 感情的な理由で離婚合意に至らないとき
  • 財産分与や慰謝料の額、子どもの問題等離婚に関する一部の問題で合意に至らないとき

2週間以内なら異議申し立てができる

審判に不服がある場合には告知日から2週間以内に家庭裁判所に対して異議申し立てをすることができます。異議申し立てがあると審判の効力は失われますが、夫婦双方から申立がない場合には審判離婚が成立します。確定した審判は裁判の判決と同じ効力を持ち、不服申し立ては一切できません。

ワンポイントアドバイス
調停が不調に終わっても、極めて稀なケースではありますが、裁判所の判断で審判離婚が宣言される審判離婚になる場合があります。審判に不服がある場合は、2週間以内であれば異議申し立てが可能です。

離婚調停が不調の場合は裁判離婚も視野に

調停不調となった場合には家庭裁判所に離婚訴訟を提起するケースも少なくありません。法廷では相手方が弁護士を立てているのに自分は立てていないと、状況が不利になる可能性が高くなります。裁判による離婚を目指すには弁護士への依頼が必須と考えておきましょう。

裁判離婚とは

裁判離婚は夫婦の一方が訴訟を提起し裁判所の判決によって離婚する方法です。裁判離婚では夫婦の合意は必要なく裁判所からの離婚判決が確定すれば離婚となります。裁判離婚が認められるには民法で定められた以下の離婚原因が必要です

  • 配偶者に不貞行為があること
  • 配偶者に悪意で遺棄されたこと
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないこと
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があること

判決に不服がある時は?

家庭裁判所が離婚判決を下しても、その内容に不服がある場合には2週間以内であれば高等裁判所に控訴を提起することができます。さらに、高等裁判所の判決にも納得できない場合には最高裁判所に上告することも可能です。

裁判離婚は弁護士への依頼が必須

法廷で相手方と争うには法律の専門知識が必要です。もしも相手方が弁護士を立てていて自分にいない場合には裁判が不利に進む可能性が高くなります。また裁判離婚が認められるには離婚原因を立証する証拠の提示が必要です。不貞行為などの証拠集めは素人には困難ですが、弁護士に相談すれば信頼できる探偵事務所や興信所を紹介してもらうこともできます。

ワンポイントアドバイス
調停不調となった場合の多くは裁判による離婚を目指すことになります。専門的な法律の知識が必要となる裁判では弁護士への依頼の有無が判決に大きく影響します。離婚問題に詳しい弁護士を探して裁判を有利に進めるようにしましょう。

離婚調停が不調で終わっても、再度の協議や裁判所の判決といった方法を取ることが可能です。離婚の意思が固い場合には、最後まで諦めないようにしましょう。調停が不調となってお困りの場合には法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

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