2018/2/5 425view

離婚後の子連れ再婚でトラブルになりやすい5つの注意点

この記事で分かること
  1. 何も手続きを踏まなければ、子どもの姓や戸籍は婚姻中のままとなる
  2. 再婚相手と子どもが養子縁組をすれば、子どもは実親と再婚相手の両方の相続権を有獲得する
  3. 再婚を理由に養育費を減額することができる

戸籍、相続、親権、養育費、面会交流など、子連れ再婚での起こりうるさまざまな問題について事前に把握しておけば、トラブルを未然に防ぎ、子どもと一緒に新たな人生のスタートを切ることができます。

再婚後や再婚での子どもの姓や戸籍

子連れで再婚するときに多くの方がまず気になるのは、「子どもの戸籍や名字はどうなるか」ということです。ここでは、母親が婚姻時に改姓し、離婚後に母親が子どもの親権を持つケースでの子どもの姓や戸籍について考えます。

離婚後の子どもの姓と戸籍

離婚すると、基本的には、婚姻した際に改姓したほうがは婚姻前の名字に戻ります。また、婚姻の際に改姓したほうは、婚姻以前の戸籍に戻るか離婚後に自らを筆頭者とする新しい戸籍を作るかを選択します。

一方で、子どもの場合は、両親が離婚した後も何も手続きをしなければ姓や戸籍は変わりません。そのため、何も手続きをしない場合、婚姻の際に姓を変えたのが母親であれば、子どもは離婚後も父親の戸籍に入ったままで、父親と同じ姓を名乗ることになります。

母親が子どもと同じ姓を名乗りたい場合は、以下に挙げるいずれかの手続きが必要です。

  • ①家庭裁判所に「子の氏の変更許可の申立て」を行う
  • ②離婚から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所に提出する

たとえば、母親の旧姓が「中村」、婚姻中の姓が「田中」だった場合、①の手続きをすれば離婚後の母親と子どもの姓は「中村」に、②の手続きをすれば「田中」になります。また、①の手続きの場合、家庭裁判所の許可が下りた後に子どもの「入籍届」を提出すれば、子どもの戸籍も母親と同じ戸籍に変えることが可能です。

一方、②の手続きの場合は、母親と子どもの姓は同じでも、子どもは父親の戸籍に入ったままとなります。子どもの戸籍も母親と同じ戸籍に変えたければ、①の手続きの後に入籍届を提出しなければなりません。

再婚後の子どもの姓と戸籍

子どもの親権者である母親が再婚する場合、再婚相手との婚姻届を提出すれば、母親が再婚相手の戸籍に入るか、または再婚相手が母親の戸籍に入ります。母親が再婚相手の戸籍に入る場合は、姓も自動的に再婚相手のものに変わります。

しかし、子どもの場合は、①の手続きを経て子どもの姓と戸籍を母親と同一にしている場合でも、母親が再婚相手の戸籍に入ったからといって自動的に子どもが再婚相手の戸籍に入って再婚相手と同じ姓を名乗れるわけではありません。

子どもの姓と戸籍を再婚相手と同一にしたい場合は、子どもと再婚相手の養子縁組の手続きが必要です。再婚相手が子どもと養子縁組をした場合は、単に子どもの姓や戸籍が変わるだけでなく、再婚相手には子どもを扶養する義務などが発生します。

ワンポイントアドバイス
子連れ再婚では、子どもが学齢期の場合、学校の書類にサインする際、両親と子どもの名前が違うといったケースも起こり得ます。離婚や再婚に伴い子どもの姓と戸籍を変更する場合は、子どもの将来のことなども考えて、慎重に決定しましょう。

再婚後や再婚での子どもの相続権

離婚の際に、子どもの相続権についてまで話し合うケースはまれです。しかし、特に、再婚相手との間に子どもをもうけた場合は、子どもの相続権が大きなトラブルの火種になることがあります。ここでも、子どもの親権を持つ母親が再婚をするケースについて考えてみます。

子どもには前夫の遺産を相続する権利がある

離婚すれば、が前夫の遺産を相続する権利が消滅するのは当然のことですが、子どもの場合は、離婚後も前夫の相続人であることは変わりません。なぜなら、離婚によって夫婦の縁が切れても親子の縁が切れることはなく、たとえ戸籍が異なっても、実の親子であり続けるからです。

そのため、前夫が再婚し別の女性と子どもをもうけた場合は、その子どもと自分と前夫との間に生まれた子どもとで、前夫の遺産を分け合うことになります。

子どもが再婚相手の遺産を相続する権利について

一方、子どもが再婚相手の遺産を相続する権利は、単に再婚をしただけでは発生しません。子どもに再婚相手の遺産を相続させたい場合は、再婚相手と子どもの養子縁組の手続きをする必要があります。つまり、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合、子どもは前夫と現在の夫である再婚相手の両方の遺産を相続する権利を持つことになります。

ワンポイントアドバイス
子どもの相続権について知っておかなければ、離婚後に大きなトラブルを生む可能性があります。離婚時に子どもの相続権のことまで話し合っておくのがベストですが、できない場合は誰にどの財産を相続させるのかを、遺言書に残しておきましょう。

再婚後に子どもの親権者を変更できるか

離婚時に未成年の子どもがいる場合は、親権者を決めなければ離婚の手続きを進められません。そのため、とにかく離婚したいがために泣く泣く親権をあきらめる方もいます。一度相手方が親権者となった後、親権者を自分に変更することはできるのでしょうか?

離婚後に親権者を変更したい場合の手続き

たとえ両親が話し合いで納得したとしても、一度決まった親権者を勝手に変更することは原則としてできません。離婚後に親権者を変更したい場合は、家庭裁判所に「親権者変更の申し立て」を行う必要があります。これは、両親の都合によって子どもの家庭環境がたびたび変化し、子どもが大きな不利益を被ることを避けるためです。

原則として親権は変更できない

一般的に、一度確定した親権者を変更することは難しいとされています。なぜなら、家庭裁判所が親権者の変更を認めるのは、親権者を変更することが子どもの福祉や利益につながる場合のみだからです。そのため、特に離婚後の子どもの生活が安定している場合などは、単に「自分が子どもの面倒を見たい」といった心情的な理由だけで、親権者の変更が認められる可能性は少ないでしょう。

親権には2つの意味がある

しかし、多くの方が誤解していますが、親権者ではなくても子どもと一緒に生活することは可能です。なぜなら、親権はより厳密にいうと、以下の2つの権利に分けられるからです。

①身上監護権 身の回りの世話やしつけ・教育などを行い、子どもの生活を支える権利
②財産管理権 未成年の子どもに変わって法的な契約をしたり、子どもの財産を管理したりする権利

親権のうち①の身上監護権を持つ人のことを「監護者」といいます。離婚の際に単に親権を争っただけで監護者について特に取り決めをしていなかった場合は、離婚後でも家庭裁判所へ監護者の指定を求めることが可能です。自分に子どもの監護権が認められれば、取り決めた監護の内容によっては、親権者は相手のままでも子どもと一緒に生活することが可能になります。

再婚は親権・監護権に影響しない

再婚相手が子どもに暴力をふるっているなどの特別な事情がある場合は別ですが、基本的に、両親の再婚は子どもの親権や監護権に影響しないとされています。そのため、相手の再婚を理由に自分に親権者を変更することは、原則としてできません。すでに再婚後の子どもの生活環境が安定している場合などは、監護者を自分に指定することも難しいでしょう。

ワンポイントアドバイス
子どもの親権者である母親が再婚した場合、子どもと再婚相手が養子縁組をすると、一般的に父親が「親権者変更の申し立て」を行うことはできないとされています。お互いが再婚する前に、子どもの親権者や監護者について協議や調停でよく話し合っておくことが重要です。

離婚後の再婚を理由に子どもの養育費支払いをやめられない

たとえ離婚時に話し合いや調停で養育費を支払うことを取り決めていたとしても、離婚相手の再婚を理由に、子どもの養育費の支払いをやめることは可能なのでしょうか?前妻に養育費を支払っている男性の立場で考えてみましょう。

相手の再婚にかかわらず、養育費は必ず支払わなければならないもの

慰謝料や財産分与と養育費はまったく性質が異なるものです。養育費は実親が子どもの扶養義務を全うするために支払うお金なので、相手が再婚したからと言って支払いをやめることはできません。

相手の再婚を理由に養育費を減額することは可能

養育費の金額は、子どもや親のさまざまな事情を考慮して決定されます。そのため、前妻が再婚したことで子どもの生活が経済的に安定している場合、前夫は養育費の減額を求めることが可能です。特に、子どもと再婚相手が養子縁組をしていれば、子どもの扶養義務は主に再婚相手が担うことになり、実父の扶養義務は補助的なものになるので、減額が認められる可能性は高くなるでしょう。

自分の再婚を理由に養育費を減額できる場合がある

通常、自分が再婚したことを理由に、前妻へ支払う養育費の減額が認められることはありません。ただし、再婚相手との間に子どもが生まれた場合は新たにその子を扶養する義務が発生するため、養育費の減額が認められる可能性があります。

養育費の減額を求める手続きの方法

養育費の減額は、家庭裁判所に「養育費減額の申し立て」をすることで手続きが可能です。また、養育費は親権と異なり、双方の話し合いで決定することもできます。相手の了承が得られれば、養育費の減額のみならず、支払いをやめることもできるでしょう。

ただし、口約束だけでは後から養育費を支払ってほしいといわれることがあります。先に調停で養育費に関する取り決めをしていた場合、支払いに応じなければ調停調書に記載のある取り決めに従って、財産の差し押さえなどを実行されることもあります。養育費の支払い停止や減額について話し合いで決める場合は、取り決めを公正証書(法的な拘束力がある文書)に残しておきましょう。

ワンポイントアドバイス
特に、自分が再婚したことを理由に養育費の減額を求めるとなると、話し合いで決着するのは難しいと予想されます。家庭裁判所に「養育費減額の申立て」を行い、調停委員に仲介してもらいながら協議を進めるのがベストです。

再婚後子どもとの面会交流権はどうなる?

面会交流権は、子どもの親権を持っていない、または、親権はあるが監護権を持っていない親が、子どもと会ったり手紙やメールのやり取りをしたり、子どもと一緒にどこかへ出かけたりする権利です。親権を持つ母親が再婚する場合、父親の面会交流権はどのようになるのでしょうか?

母親の再婚後も父親の面会交流権は継続する

親権を持つ母親が別の男性と再婚したとしても、前夫が子どもの父親であり続けることは変わりません。そのため、母親の再婚後も父親には子どもと面会交流する権利があります。これは、子どもが再婚相手と養子縁組をした場合も同様です。

ただし、面会交流は、子の健やかな成長と福祉にかなうものでなければなりません。そのため、前夫と子どもが面会交流することで再婚後の家族仲に影響がある、子どもが実父との面会交流を望んでいない、といった場合は、面会交流権を制限される可能性があります。

面会交流を求める手続きの方法

面会交流の方法や内容は、基本的に両親が話し合って決めます。話し合いがまとまらなかった場合は、家庭裁判所に面会交流の申立てを行うことが可能です。ただし、調停でも決着しなかった場合は、自動的に裁判官による審判へと移行します。審判では子どもの年齢や生活環境などさまざまな事情を考慮し、裁判官によって適切な判断が下されます。

ワンポイントアドバイス
特に子どもと再婚相手が養子縁組をする場合は、実親との面会交流でトラブルになりがちです。スムーズな解決を目指すためには、調停で話し合うのがよいでしょう。またその際は、弁護士への相談も検討してみましょう。

再婚後のトラブルは離婚問題に詳しい弁護士へ相談を

再婚時の戸籍変更や養子縁組、養育費の減額などは、子どもの将来にも関わってくること。なので、感情に流されず、慎重に検討することが必要です。
離婚や再婚に関して決断に迷ったり、それらをめぐって思わぬトラブルに発展してしまったりした場合は、離婚問題に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

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