遺産分割とは?〜トラブルになりやすい!?手続きの流れを知る〜

この記事で分かること
  1. 原則として遺言状の記載に従い遺産は分割されるが、例外もある。
  2. 相続人が一人でも欠ければ遺産分割協議は開催されなくなる。
  3. 遺産分割協議がまとまらなかった場合、遺産分割調停を利用する。

遺産分割で損しないためには、そのルールを把握しておくことが大切です。遺産分割のおおまかな流れが分かることで、相続のための準備がスムーズになります。遺産分割協議がまとまらなかったときは、調停に進むことになります。

遺産分割とは何か

相続は被相続人の死亡によって始まります。相続人が複数いる場合、相続開始直後はそれぞれの割合で遺産を共有していることになりますが、分割することで相続人それぞれの財産となります。この土地は誰の取り分にするのか、この現金は誰の取り分にするのか、などと具体的に分けなければなりません。このように遺産を各相続人に分けるのが遺産分割です。

遺産分割で損はしたくありませんが、相続に関する知識が不足しているために、損をしてしまうことは多々あります。相続に関する知識、特にもめやすい遺産分割について心得ておくといいでしょう。

ワンポイントアドバイス
遺産分割は親族間でのトラブルにつながりやすい、相続の中でも非常に重要な手続きです。抜け漏れがあることで遺産分割協議のやり直しや、相続税の修正申告が発生する可能性もあります。相続のエキスパートである弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

遺産分割の流れ

遺産分割の流れをまず、押さえておきましょう。実際の遺産分割の流れに沿って、抑えるべきポイントについて説明していきます。

遺言書があるかどうかを確認する

相続では亡くなった方のことを、相続される側という意味で「被相続人」と呼びます。原則としては、この被相続人が残した「遺言書」の内容に従います。そのため、最初に遺言書の有無を確認することが必要です。遺言があれば、法定相続人でない人でも、財産を分け与えることができます。また、国や地方公共団体や法人でもかまいません。法定相続人以外で遺産を分け与えられる人のことを受遺者といいます。

もちろん、有効な遺言には、一定方式に合った書面が必要です。口頭の遺言は、言ったか言わないかのはっきりした証拠が残らないので、かえって相続トラブルになりかねません。そのためにも、遺言を認めるには、きちんとしたルールがあるのです。

遺言書には以下の3つの形式があります。

遺言書
自筆証書遺言 全文自筆の遺言書に日付、氏名、印鑑を押したもの。
秘密証書遺言 遺言者が署名捺印したものを二人以上の証人の立ち合いのもと、公証人に提出したもの。
公正証書遺言 二人以上の証人の立ち合いのもと、口述の遺言を公証人が記して作成したもの。

多くの場合、遺言書は被相続人が隠し持っていることが多いので、それを探す必要があります。机の引き出しの中や金庫の中など考えられるところを探してみましょう。

遺言書があれば中を確認

遺言書が見つかったら、中身が有効なものであるか確認しましょう。遺言書として有効なものであるか確認しても、それだけで終わりにしないでください。遺言書が見つかっても、遺言書に記載されていない財産があるかもしれません。遺言書に指定されていなかった財産があれば、以下で説明する「遺産分割協議」によって行方を決めることになります。
また、遺言書に自分の名前がないことを知って身を引く必要もありません。
法定相続人であれば最低限の遺産は受け取れるのです。これを遺留分といいます。たとえ、遺言書に財産のすべてを長男に相続すると書かれていたとしても、遺留分を請求する、遺留分減殺請求が可能です。

必ずしも遺言書通りにする必要はない

冒頭でも触れたとおり、遺言書が残されていた時には、その内容が優先されるのが原則となります。しかし、遺言書通りに相続しないことについて、相続人全員が同意したのならば、遺言書に従わなくてもよいことになっており、生きている相続人の意思をないがしろにしないようになっています。とは言え、遺言書は重要な意思表示であることを忘れないようにしましょう。遺言書に相続人以外の人物が記載されていれば、その人たちの同意も必要です。

相続人の確定

遺品整理などの結果、遺言書が見つからなかった場合、残された財産の振り分け方は遺産分割協議によって決められます。遺産分割協議は一人でも欠けると無効になってしまうため、他に相続人がいないかを十分に確認してください。被相続人の戸籍を生前から死亡までのすべて取得し、誰が相続人になるのかを確定させる必要があります。被相続人に離婚歴があれば、元妻の間に子どもがいないかも確認しましょう。

相続人調査が遅れると

相続人調査が遅れると、3ヶ月以内にしなければならない相続放棄や限定承認や、10ヶ月以内にしなければならない相続税申告が間に合わなくなる恐れがあります。特に、相続人が本籍地を転々と移動している場合は調査が難航します。もちろんその間、遺産分割協議が進みません。そうした時間を見越して、相続人調査は早めに行う必要があります。そのために相続人の調査を専門家に依頼してしまうのも検討してみましょう。

遺産分割協議の開催

相続人の確定が終わったら、相続人全員で遺産分割協議を進めていきます。ここで相続人全員が合意できる遺産の振り分け方が決定できれば、「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議書は必ず作成しないといけないものではありませんが、いくらそのときに相続人全員が合意していたとしても、頭の中に協議の内容をすべて記憶することは難しいでしょう。何かの拍子に後にトラブルになる可能性もあります。協議の内容を第三者が見ても分かるように明確にしておくことで、遺産分割協議の証明書の役割を果たし、後のトラブルを防ぐことができます。また、不動産を相続した後の、相続登記の際も、遺産分割協議書が必要になります。

ワンポイントアドバイス
遺産分割協議書は必ず作成しなければならないわけではありませんが、不動産の相続登記や、被相続人名義の銀行口座の解約や名義変更などといった手続きに必要になってくるので、後のトラブル防止のためにも作成しておきましょう。

遺産分割の方法

遺産はすべてきれいに分割できる現金ばかりではありません。家や土地などの不動産があれば、その分割方法に困るでしょう。そういったことも踏まえて、遺産の分割方法は、次の3つの方法があげられます。

現物分割

土地は長男、現金は次男へといった形で遺産の種類に応じて分割していく一般的な方法です。遺産そのものの現物を各相続人に分けていきます。

換価分割

遺産の全部または一部をいったん金銭に換え、相続分に応じて分け合う方法です。相続額が大きいときは相続税だけでなく、所得税の支払いも必要になる場合があります。

代償分割

遺産の全部または大部分を現物のまま1人の相続人が取得し、相続分を超えた分は自分の金銭などで他の相続人に払う方法です。分割が難しい不動産などを相続したときに使われる方法です。金額的には平等になるようにします。金銭ではなく土地を与えた場合は、譲渡所得税がかかってくるので注意しましょう。

以上の3つの方法のほかにも、不動産などを全相続人が共有する方法もあります。土地を売却したり、借家にしたりして賃料を得た場合は、それぞれの持ち分に応じた金額を得ることができます。

ワンポイントアドバイス
全相続人が不動産などを共有する形で相続する方法を共有相続と言います。ひとつの財産に対する権利を複数の相続人で共有することから、後々になって権利をめぐるトラブルを引き起こす可能性があります。共有相続を希望する際は、事前、弁護士によく相談の上、検討することをおすすめします。

遺産分割でもめる原因

遺産分割で揉めるのは色々な要因がありますが、コミュニケーション不足によって引き起こされることが多いです。たとえば兄弟ですと、長男がリードして遺産分割の話し合いを進めるケースが多いかもしれませんが、その際に弟が十分に兄のことを信用できない事由があると、もめ始めるでしょう。仲のよかった兄弟でもお互いに家庭を持つようになると、交流は少なくなり、相手の生活状況などもあまり把握できなくなります。そういったことから、徐々に溝ができてしまうのです。

また、兄弟の一人が親と同居していた場合、高齢者の面倒をみることの大変さを他の兄弟が十分に理解できず、関係がぎくしゃくすることもあるでしょう。また、他にも財産があるのに隠し持っているのでは?と疑う兄弟がいるかもしれません。

そういった不満や疑いが遺産相続という大きなお金が絡んできたときに、噴出するのでしょう。

遺産分割がまとまらなかった場合

遺産分割協議が話し合いで解決しない場合は、遺産分割調停を行うことになります。遺産分割調停とは、裁判所で調停委員の進行のもと、遺産分割について話し合う手続きのことをいいます。話し合いをせずに、審判に進むこともできますが、多くの場合、調停から始めることになります。調停では、第三者が間に入ることで、冷静に話し合いができる可能性があり、うまくまとまることがあります。しかし、なかなかうまく話しがまとまらず、調停が不成立になるケースもあります。相続人全員が納得しないと不成立になってしまうこともあるのです。

調停がまとまらなかったら審判へ

調停成立になると、次に裁判官が調停での話し合いをまとめて強制的に相続分を決める審判手続きへと移行することになります。
調停を少しでも有利に進めるためには、自分の主張ばかりを繰り広げず、冷静に話し合い、調停委員にも心証をよくすることが大切です。また冷静になるためにも、この弁護士に依頼するのも有効な手段です。法律の専門家の観点から、できるだけ有利に調停をリードしてくれる可能性があります。

ワンポイントアドバイス
遺産分割協議がまとまらないときは、調停を申し立てることになりますが、その段階で弁護士に相談することもおすすめです。当事者同士だけでは解決できなかったことを、法律のプロが入ることで、うまく調整してくれる可能性が高まります。

遺産分割でもめたら、弁護士に相談!

遺産分割協議を円満に行うためには、相続財産を誰でも分かるように明記することが大切です。隠し財産があるのではなどと思うと揉めるようになります。相続財産をめぐって遺族間にトラブルが発生したとき、力になってくれるのが弁護士です。依頼した側の事情と法律を勘案しながらアドバイスしてくれるでしょう。相続の遺産分割のことで迷ったら、弁護士に相談してみてはどうでしょうか。

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