2018/7/25 21view

相続が「争族」に!遺産相続での家族・親族同士の揉め事を解決するには

この記事で分かること
  1. 相続が争族になるのは「想定していない相続人の出現」「お金に換えづらい財産の相続」「寄与分および特別受益」
  2. 不景気なので誰もがお金を欲するが、争族は金額の多い少ないよりも公平感や憎しみ、承認欲求などが原因で起きる。
  3. 争族を避けるには事前に話し合い、遺言を作成しておくこと。隠し子はNG

相続が争族になるのは、その人の期待が裏切られるからです。遺産分割の正しさは法律によって決まるにもかかわらず、自分の価値観を遺産相続で押し付け合うとどんな家庭でも泥沼に陥ります。争族を避けるためには被相続人が相続人に対してしっかり相続の話をしておくこと、相続人が相続法について理解しておくことが大切です。 「うちでは争いなんて起きない」「子供たちはきっと譲り合うはずだ」という甘い考えは今日から改めてください。

仲の良い家族でも相続が争族に発展!それはどうして?

争族はどんな家庭にでも起きると言われています。たとえ仲の良い家族でも、たとえ相続財産が少ない家族でも相続の結果に対する感情や利害関係が争いを引き起こしてしまうようです。こちらでは相続が争族に発展する理由を紹介します。

想定していない相続人の出現

想定していなかった相続人の出現は相続においてよくあるイベントです。主に被相続人の非嫡出子が出てきます。「みんなで分ける」と考えていた相続分が減ってしまうことや見ず知らずの人間が相続財産を持って行ってしまうことが争いをもたらすようです。

もちろん、非嫡出子は民法によって正当な権利が認められていますしなんら後ろめたいことはありません。

他にもこんなことが争いにつながるようです。

法の無理解によるもの

まずは被相続人の兄弟が遺留分を求めてくる場合。もちろん、兄弟には遺留分請求権がないので無視して良いのですが下手に絡まれると厄介ですね。

逆に非嫡出子や代襲相続人に相続権がないと他の相続人が勘違いしている場合。これも方の無理解がもたらす「相続人の出現」といえます。

家族の固定観念によるもの

固定観念で相続人の対応を決めつけている人も厄介です。「長男だから遺産を多く引き継げる」など思い込んでいる人がいるとその人を納得させるのが難しく他の相続人が折れるか裁判までもつれ込みます。

「〇〇が遺産分割協議で意地を張るとは思わなかった」なんて感想は甘いという他ありません。

相続した金額や財産に不満がある

相続した金額や財産に不満がある場合は相続争いになりやすいです。例えば誰かが生命保険の受取人になったことで他の相続人と著しく不公平な状態になった場合や、家業を引き継ぐため株式を一人の相続人が独占した場合、お金にしづらい不動産を引き継いだ場合などが考えられます。

生命保険は遺産分割の対象にならない

生命保険は保険会社から受取人に渡される固有の財産であるため相続財産には含まれず遺産分割の対象となりません。死亡保険金も同様です。これらはみなし相続財産と呼ばれています。だから生命保険の額が高くてもその一部を他の相続人に払わなくて良いです。

不動産を相続すると相続税が厄介だけど…

不動産を相続したくない理由は土地の維持管理が面倒であること、お金に換えづらいこと、相続税を支払うお金が欲しいことの3つです。ただ、不動産の場合は各種特例を使うことで相続税を節約できるため必ずしも不動産=高いわけではありません。

無視できない寄与分や特別受益

そして、相続争いの最たる原因は寄与分や特別受益です。「私は被相続人のために〇〇してあげたのよ」「お前は被相続人から〇〇してもらっただろ」という生前の相続人に対する扱いやそれに対する不満が吹き出てしまいます。

寄与分や特別受益は法律で認められる部分があまり多くありません。しかし誤差レベルのことでも積もり積もれば争いの元になるのです。

寄与分とは被相続人にしてあげたこと

被相続人に仕送りをした、被相続人の介護や看護を行ったことは遺産相続において寄与分として反映されます。よって寄与分が認められた相続人はそれだけ多くの遺産を相続できます。

特別受益とは被相続人にしてもらったこと

被相続人から生活を援助してもらったことは遺産相続において特別受益として反映されます。よって特別受益が認められた相続人はその分を余分に相続したものとして他の相続人と受け継ぐ財産の額を調整します。

ワンポイントアドバイス
相続争いが起きるということは、争族に対する期待を裏切られたことを意味します。特に寄与分や特別受益に関しては「これが相続に関わるだろう」と相続人が心の何処かで思っています。

だから、相続人は遺産分割協議をする前に法律を調べておくことをお勧めします。

これが問題。争族の恐ろしさはがめつさより感情にあり

争族の話を聞くと「お金に汚い人たち」という印象を受けてしまうと思います。確かにそのような側面は否定できないものの、財産の少ない家族でも争族争いが起きる以上お金よりも重大な理由があるのでしょう。

それこそが感情です。感情はお金と違って際限がなく、落とし所は個人が決めなくてはいけません。しかも感情とは数年にわたって作られていくものですから円満な相続のためといって切り替えづらいものです。

他の相続人と比べた公平感

相続はお金の問題と面子の問題があります。相続財産がプラスになったとしても他の相続人との比較で損をしているように感じれば相続争いが起きるのです。

最後通牒ゲーム:あなたはどうしますか?

公平感を気にしないという人のために有名な例題を用意しました。

問:AさんとBさんが同じ部屋にいます。その部屋には100万円があるのですがAさんにはそれをBさんと好きなように分ける権利が、BさんはAさんの提案を受け入れるかAさんの提案を拒みこのチャンスをなかったことにするかを選ぶ権利があります。

あなたがAさんの立場であればいくら分け与えますか?逆にBさんの立場であればいくらであれば提案を受け入れますか?

おそらく、多くの人が50万円に近い答えを出したと思います。実際はAさんがたとえ99万円を自分のものにしたとしてBさんは1万円得できるのにです。

つまり、人は自分の得だけでなく他人の損得も総合的に判断します。頑固な相続人ほどわずかな差に敏感です。

公平感を知るためにはその人の価値観を洗い出さなくてはいけない

一口に公平感といってもその人がどこに公平を感じるのかはわかりません。たとえ法定相続分で分けたとしても納得できない人もいれば、特別受益や寄与分を一円単位まで洗い出そうとする人もいます。

もし、公平感の問題を解決したいならその人の過去に遡って公平感を維持でも守りたいと思うようになった経緯や、その人が怒りを感じるポイントを探さなくてはいけません。これは重労働です。

「自分はこのくらい頑張ったのに」という承認欲求

特別受益、寄与分が問題になるのは損得だけでなく承認欲求の問題も関わっています。人は誰しも自分の行いを認められたいと思うものですが、もし親の介護や仕送りといった寄与分を他の相続人に認めてもらえないと「自分の頑張りが無駄だった」という不満に発展します。

逆に、誰かが特別受益をもらいすぎていることに関しても「自分はそんなにしてもらえなかったのに」という恨みから言いたくなってしまいます。その気持ちは人間として当たり前のものですしあからさまに公平性が欠けるようならはっきりと言うべきです。

承認欲求は恥ずかしいことではない

承認欲求を持つことは人間として当然で、それがなければまともに生きようと思えません。だから、相続に対して不満を持つことや相続の結果を家族への貢献度とリンクさせて考えることは不思議ではありません。

ただ、感情を昇華させるためには公平感と同じようにその人の過去をしっかり洗う必要があります。承認欲求の場合は過去にあった悲しみや欠乏感あたりがカギになります。

公平感も承認欲求も感情の根っこから解決を試みれば短くても数ヶ月、長いと数年かかります。残念ながら感情でわかり合うことは争族の解決としてよくない選択肢のようです。

「これが俺のやり方だ」という固定観念

「長男だから自分が財産をすべて相続すべきだ」「兄弟だから法定相続人とか関係なく財産を渡すべき」「遺留分を請求するなんて人として間違っている」など法律によって認められた権利を無視して自分勝手な主張をする人がいます。

どうしても相続させるべきでない人がいるなら、相続人の廃除や相続欠格などを争った方が建設的です。

ワンポイントアドバイス
争いとはどんな背景があろうと感情が真の原因となります。特に家族に対する感情は複雑で相続した金額や他の相続人との差がもっと重大な意味を持ってしまいます。

しかし、感情の問題は根深くそれを解決して争いを止めることは非常に手間と時間がかかります。争族が起きた時はわかり合うよりも「手打ちにする」ことを最優先に行動してください。

遺言?贈与?争族を上手く収めるための対策を紹介

相続が争続にならない様にする対策はやはり事前に話し合っておくことです。しかし、争族は個人の感情が大きく関わることから遺言や生前贈与のように「争いを最小限で収める」ための対策も求められます。

遺言を書く

遺言は相続争いを止める最良の手段です。なぜなら遺言は法的拘束力を持つからです。基本的に法的拘束力の発生するものはお互いの合意が必要なのですが、遺言は被相続人の意思だけで遺産分割の内容などを決めることができます。このような一方的に何かを決められる行為を単独行為と言います。

つまり、遺言を書いておけば相続人が不服に思ったとしても覆すことができません。極端な話被相続人が、相続人でない愛人や友人にすべての遺産を譲るような遺言を書くことも可能です。

ただし相続人の権利も守られなければならないため法定相続分に満たないとしても一定の相続分である遺留分は確保できます。

“民法第1028条

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一”

この規定は「相続人全員でいくら確保できるか」を決めたもので各相続人は法定相続分に則ってさらに遺留分が分割されます。

生前贈与を活用する

生前贈与とは被相続人が活きているうちに相続財産になる予定の財産を相続人に対して贈与することです。生前であれば相続争いの起きようがないためこれも一つの対策と言えます。

生前贈与は暦年贈与をはじめいくつかの非課税枠を使うことで節税が可能なので相続争いというネガティブな面以外でも考えておきたい選択肢です。ただし、特別受益を巡ってもめるデメリットは解決できないので生前贈与を受ける人は「相続財産を一つも受け取れなくて良い」くらいの覚悟を持った方がよさそうです。

相続人としっかり話し合っておく

相続争いが起きる理由は「実際に争続が始まるまで争続について考えていなかったこと」が大きいです。たとえ争いになると分かっていても前もって考えを整理しておけば泥沼化すると限りません。

どんな場合でも被相続人が亡くなる前に相続人と争続についてしっかり話し合いましょう。相続の意図について話せば相続人も納得しやすいし、逆に相続人から遺産の分け方について有益な意見を聞くこともできます。

最低限、相続人と共有すべきことは相続財産の全容と相続人についてです。相続財産について明らかにしておかないと財産目録の策定や遺産分割が面倒になります。相続人について秘密にしておくと間違いなく遺産分割協議が紛糾します。

相続の次第を弁護士に助けてもらう

相続争いにおいて折れるということは「家族内の優劣が決まる」ことを意味します。だから面と向かって相手に譲ることが非常に難しくなります。

だから、遺産分割協議は弁護士に立ち会ってもらうことがおすすめです。相続人はお互いに利害関係を持っているため相手の意見を信頼しきれませんが公平な立場にある弁護士ならある程度耳を傾けてもらえます。数々の事例を経験した弁護士ならではの解決法も提案してもらえるでしょう。

ワンポイントアドバイス
ワンポイントアドバイス

相続争いを防ぐことは難しいですが、遺言を書いておけば遺留分以外で揉めることがなくなります。事前に話し合う機会を持てるなら相続人が納得したうえでの生前贈与もおすすめです。

ただ、どうしてもお互いにいがみ合っているようなら信頼できる弁護士に立ち会ってもらいましょう。

立会人なき争いは成立しない。相続が争族になる前から弁護士と手を打っておこう

相続は家族にとって大きなイベントであり、「積年の愛憎が明らかになる場」でもあります。しかも相続争いによって得たいものが人によって異なるためなおさら着地点が見つからずに困ってしまいます。

争族というくらいですからどこかに勝った・負けたの感情があります。しかし立会人なき争いは成立しないので、公平に遺産分割協議を進めてくれる弁護士の力が欠かせません。これはもう法律知識だけでは解決できないので人の心が分かる弁護士を頼ってください。

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