2018/11/13 29view

生前贈与のメリットとデメリット~贈与は相続より節税に有効?

この記事で分かること
  1. 節税するなら贈与と相続の組み合わせがベスト
  2. 生前贈与のメリットは節税効果と贈与する相手を選べること
  3. 生前贈与のデメリットは贈与税がかかることや相続争いのもとになること

生前贈与は相続税を減らすための有効な方法ですが、そもそも相続税だけでもかなりの控除があるため贈与と相続は両方組み合わせるのが節税に効果的です。生前贈与は相続財産を減らすメリットがあるものの、制度の理解が曖昧だと思わぬデメリットが発生します。節税対策は早い段階から弁護士に相談することがベストです。

相続と生前贈与はお互いを組み合わせてこそ価値がある

相続税対策に生前贈与。これはとても大切ですが相続と生前贈与は決して二者択一ではなくそれぞれの制度を組み合わせられます。

そして相続と贈与はそれぞれ別の控除枠があることから節税になるというわけです。

相続と贈与の違い

生前贈与のメリットを知るために相続と贈与の違いを理解しましょう。

相続とは、被相続人の死を理由に財産が相続人に引き継がれる手続きです。相続については法によって決まっているので相続人の意思が関わりません。相続人がその地位を無かったことにしたいときは相続放棄が必要です。相続した財産額に応じて相続税を支払います。

贈与は贈与した人と贈与された人との間で成り立つ契約です。お互いの同意なくして贈与はできません。つまり亡くなった人からの贈与はできないわけです。贈与契約のうち、相続の前に財産を相続人に渡して置くものが生前贈与と呼ばれています。贈与した財産額に応じて贈与税が発生します。

相続税と贈与税の控除額について

相続税と贈与税はそれぞれに控除額があります。だから、生前贈与を活用することで税金を減らせるのです。

相続税の基礎控除

相続税の基礎控除は3000万円+法定相続人の数×600万円です。
つまり、これより少ない財産しか持っていない場合は相続税がゼロになります。

さらに相続財産の金額に応じて少しの控除があります、

贈与税の基礎控除

贈与税の基礎控除は”毎年”110万円です。その年の1月1日から12月31日までに受け取った財産が110万円を超えた場合に贈与税がかかります。

したがって生前贈与の開始は早ければ早いほどお得です。特に相続人がたくさんいる場合は相続財産を減らしやすいです。

相続税・贈与税の基礎控除の比較
相続 贈与
基礎控除額 3,000万円+法定相続人の数x600万円 110万円
控除の対象 相続で受け取った財産 毎年1月1日~12月31日までに受け取った財産(110万円を越えた場合)

贈与に頼りすぎると却って税金を払うことになる

相続税は累進課税で6億円を超えた部分に対しては55%もの税金がかかります。しかし、実は贈与税も累進課税で3000万円を超えた部分には同じく55%の税金がかかります。

生前贈与がいくら節税になるからといっても1回限りの相続と何回でもできる贈与では想定される規模が違います。

相続と贈与はどちらも使おう

相続と贈与はどちらが節税になるのか。答えはいうまでもなく相続です。ただ、相続税の基礎控除だけでは税金を減らしきれない時に生前贈与が有効となります。

相続と贈与を駆使して目一杯の節税を試みましょう。

ワンポイントアドバイス
相続と贈与はどちらも使うことで節税効果が生まれます。ここで説明した通りかかる税金が違うので、それぞれの控除を使えるからです。もちろん、基礎控除以外にも制度を活用すればさらなる節税が可能です。

生前贈与のメリットはやはり節税効果

生前贈与のメリットはこのようなものが挙げられます。

  • 節税効果がある
  • 自由に財産を渡せる
  • 相続について話し合うきっかけになる

生前贈与で節税ができる

生前贈与をすることで毎年110万円までの控除額を使った節税ができます。この控除は受け取る人に設定されるものですから相続人の人数に伴い節税効果が高まります。もちろん、今年始めるか来年始めるかでも大きな差が生じます。

この基礎控除の計算対象となる贈与を暦年贈与と言います。

さらにこのような控除の利用ができます。

孫への教育資金

まず、利用したいのがお孫さんへの教育資金です。被相続人の孫に教育資金として贈与をする場合1500万円までの控除が認められています。もちろん、受贈者に認められた控除額なので父方、母方両方で話し合わないと思わぬ贈与税が生じます。

結婚、子育ての費用

子や孫の結婚費用として300万円。孫やひ孫の子育て費用も合わせれば1000万円の控除が認められています。こちらも有効活用したいですね。

教育資金は教育を受ける人が直接受け取るのに対し、こちらは結婚して子育てをする人が受贈者となります。

住宅取得の費用

住宅を購入するための費用も一定額までは控除されます。こちらは税額が変動しているので常に最新の情報をチェックしておきましょう。

自由に財産を渡せる

つぎに、自由に財産を渡せることがメリットです。贈与は相続のように時期の制約がありません。意思表示さえできれば未成年への贈与も可能です。

生きているうちに財産を託したいというニーズにこたえます。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは2500万円までの贈与を一括で行っても、その分を相続財産として扱える制度です。通常通り相続する場合と税金は変わりませんが「相続を待たずに贈与できる」という点が特徴的です。

例えば不動産をすぐに引き渡したい時や、急な事情で事業承継に迫られた時などに活用できます。

この制度を使うと暦年贈与の控除額が使えなくなります。

相続について話し合うきっかけになる

生前贈与をきっかけに相続について話し合うきっかけが生まれます。そもそも生前贈与をするということは相続人から見れば相続を前倒しにしているようなものですから、どのように財産を分けるつもりなのか、どうすれば相続人が満足できるのかを話し合うこと無くして円満な生前贈与は難しいでしょう。

ワンポイントアドバイス
生前贈与のメリットは節税にあります。贈与に関わる各種控除を使いこなしてできるだけ相続人に多くの財産が行き渡るようにしましょう。教育資金の贈与を1回するだけでも相続税は数10万円変わるでしょう。

生前贈与にはこんなデメリットがあること、ご存知ですか?

生前贈与をするだけならデメリットはほとんどありませんが、贈与と相続についてよく知らないとこんなことになります。

  • 相続税が減らない
  • 贈与税がかかりすぎる
  • 贈与が無効になることもある
  • 相続争いに発展しかねない

相続税が減らない

生前贈与には節税効果があります。だから被相続人が亡くなる間際に駆け込みで生前贈与することは公平を失します。そこで、相続の開始から3年以内に贈与された財産は相続財産として計算され相続税の課税対象となります。

ということは、生前贈与を活用したいなら被相続人が元気なうちから対策しなくてはいけません。特に教育資金の控除などを使う時は早めが肝心です。

もし、生前贈与を相続開始間際に集中して行った場合は贈与の手間がかかる上に相続税が全く減りません。

贈与税がかかりすぎる

贈与は節税効果になりますが、それはあくまで控除額をうまく利用した場合です。しっかり計算してください。贈与税は受贈者が受け取った金額に対して課せられるので、受贈者が他の人から贈与をされていないか確認することも重要です。

また、暦年贈与が使えるからとわざわざ分割して贈与する場合も要注意です。契約書があるなどあからさまな節税目的が見える場合は連年贈与といって「本来一括で贈与されるはずだった金額」を1年で受け取ったことになります。

贈与が無効になることもある

相続は相続人の意思に関係なく開始されますが、贈与はお互いの合意によって行われます。つまり、贈与契約に何らかの不備があれば贈与そのものが無効になってしまいます。例えば相続人名義の通帳を作っていた場合、その人の合意がなければ遺産分割の対象になります。

また、贈与があったことを証明できないせいで問題になることもあります。贈与をする際は必ず書面を残しておきましょう。

相続争いに発展しかねない

生前贈与をすれば、言うまでもなく贈与された人が得をします。つまり相続人間で不公平が生じます。生前贈与について相続人同士で揉めることもあれば、被相続人が亡くなった後に遺産分割の争点となることもあります。

生前贈与を受け取った場合はそれが特別受益と判断されやすいので相続争いを防ぐための対策を取っておきましょう。

一つは遺言を書くことです。遺言は被相続人の意思だけで効果をもたらしますから相続争いのしようがありません。

もう一つは生命保険の活用です。生命保険の死亡保険金は”遺産”ではなく保険会社から受け取るお金です。よって遺産分割の対象にならないし特別受益を巡って争いづらいです。ちなみに生命保険は相続税計算時に相続人の数×500万円の控除があります。

ワンポイントアドバイス
生前贈与のデメリットはどれも相続と贈与の制度をよく理解していないせいで発生します。逆に言えば制度をよく知っている限りデメリットで苦しむことはありません。

生前贈与のメリットとデメリットが気になるならすぐ弁護士へ相談を

生前贈与を活用したいなら、すぐに弁護士へ相談しましょう。暦年贈与は1年遅れると控除額が110万円減るし、教育資金の贈与や結婚資金の贈与にも制約があるからです。早いうちから対策を立てておけば安心して節税対策ができますよ。

他にも、弁護士なら相続についての問題を幅広く解決してくれます。遺言の作成や相続争い対策など税務以外の心配事も引き受けてもらいましょう。

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