2018/11/16 19view

相続財産の範囲~遺産に含まれる財産と含まれない財産

この記事で分かること
  1. 基本的に被相続人が持っていた財産は相続財産になる
  2. 死亡保険金や死亡退職金は遺産分割の対象にならないが相続税を計算する時に合算しなくてはいけない
  3. 特別受益や寄与分がある場合は相続税の対象にならないが遺産分割の判断材料にした方が良い

相続財産の論点は遺産分割と相続税計算の2つがあります。それぞれに必要な財産の範囲を知っておけば相続で迷わずに済むでしょう。「法律上、これはどのようにあつかわれるのだろう」と気になる財産がある場合は迷わず弁護士に相談してください。

間違いなく相続財産の範囲になるもの

被相続人はどんなに少なくても財産を持っているものです。相続財産とは文字通り相続される財産のことを言うのですが実は本来の相続財産以外にも相続財産扱いされるものがいくつかあるので注意が必要です。

まずは、一般的に相続財産の範囲となるものをおさらいしましょう。

不動産

土地や建物は典型的な相続財産ですね。相続財産かどうかを争う場合は少ないですが会社を経営している場合は法人の財産と個人の財産を混同しないように注意したいところです。不動産は相続したら忘れずに相続登記をしてください。登記を忘れると相続関係があやふやになって数年後の不動産取引が大変なことになります。

不動産は相続の際に共有関係となります。相続税が減ると言う意味では不動産のままにしておくことがメリットになり、分けやすさを優先するなら生前のうちに換金しておくことがオススメです。

不動産経営による将来の収益は現在発生していないので相続財産になりません。

動産

動産は動かせるものという理解で問題ありません。車や高級家具、宝石や貴金属などがこれに当たります。特に注意したいのが骨董品やコレクションで一般人にとっては価値のないものでもとんでもない高値がつく可能性があります。「ガラクタだから」と決めつけず必ず財産評価をしてもらってください。

一般的な家具も相続財産の範囲になりますが価値が5万円以下ならまとめて相続税申告できます。

現金

現金はもちろん相続財産の範囲に含まれます。相続財産を勝手に処分することはご法度ですが葬儀費用など止むを得ない用途であれば問題なく被相続人の財産からお金を出せます。

債権

ものではありませんが、債権も財産ですね。よって誰かにお金を貸している場合はそれを請求する権利も相続することができます。債権を分けられる場合は遺産分割協議なしで法定相続分に合わせた債権を書く相続人が得ます。ただし相続人の合意があれば遺産分割協議で債権を自由に分けることも可能です。

銀行預金も債権です

銀行預金は銀行に対して預けたお金を返してもらう債権です。しかし現在は取引の簡便化で他の債権のように法定相続分に合わせた分割がされないと言うのが裁判所の見解です。

有価証券

株式や公社債も相続財産です。最近は電子取引が原則となりましたがまだまだ紙の有価証券が眠っているかもしれません。忘れずに探してください。紙の有価証券が見つかった場合は所定の手続きを経て返却し、電子取引に統一します。

株式の相続は株主としての権利も相続することになるためただ平等に分けるとかえって争いの元になりがちです。投資以上の目的で株を保有していた場合は誰かに株式を全て相続させてその分他の相続人が別の財産を引き継ぐこともよく行われます。

マイナスの財産

相続財産は必ずしもプラスだけではありません。借金や損害賠償義務などマイナスの財産も忘れないでください。あまりにマイナスの財産が多い時は相続人にとって酷であるため黙って相続するよりも限定承認や相続放棄の手続きをすることが推奨されます。

遺産分割をしている時に多額の借金が見つかった!ということも珍しくありません。大きな債務が発覚したら慌てずに弁護士へ相談してください。

ワンポイントアドバイス
相続人が持っていたものは基本的に相続財産となります。数百円、数千円のものまで厳密に評価する必要はありませんが無視するのも良くないのです。相続財産の範囲がわからない時は一度全ての財産を記録した上で弁護士に確認しましょう。
ゴルフ会員権も相続財産になるので注意してください。

遺産分割の時に相続財産の範囲と扱われるもの

相続人が持っていたものは相続財産と言う理解で良いのですが、それだけでは遺産分割が不公平になってしまうかもしれません。

例えば3人兄弟で長子だけが被相続人である父親の介護を頑張っていた場合はその分の見返りがあっても良さそうです。逆に末子だけが甘やかされて色々援助してもらっていたような場合にそれを無視した遺産分割が果たして平等と言えるのでしょうか?

遺産分割は相続人の合意といえ、協議がまとまらなかった時のために最低限のルールを定めています。

特別受益

特別受益とは、被相続人から特別に受けたもののことです。例えば生前贈与を受けた、学費や生活費を多めに援助してもらったなどです。特別受益を得た人はその分の価額を相続で得たものとみなされます。その上で平等な遺産分割協議を行うことが望ましいと考えられます。

ただし特別受益は遺産分割で考慮されるといえ、その贈与の効力までは覆されません。

寄与分

寄与分とは被相続人に対して寄与した分を算定したものです。例えば被相続人の身の回りの世話をした、生活費を仕送りしていた、事業を助けたなどがこれに当たります。寄与分を考慮しない遺産分割は、頑張った人に対して不公平といえます。

それに寄与分が関わる場合は、何らかの寄与をした相続人がそれについての見返りを期待しているものです。

もちろん、相続財産が十分にない場合は他の相続人が自らの財産で寄与分を補填することはあり得ません。

法定相続分はあくまで目安でしかない

特別受益や寄与分は公平な相続を目指すための決まりですが、法定相続分はあくまでも裁判や調停の時に採用される分け方でしかありません。よって、いくら特別受益や寄与分を主張したところで相手が納得してくれないとそれまでです。

相続争いをしたくないならあらかじめ遺言を書いておくことがオススメです。

ワンポイントアドバイス
特別受益や寄与分を相続財産に含めることでより公平な遺産分割が可能となりますが、あくまで遺産分割協議は相続人の合意によって成り立ちます。したがって訴訟のコストが高い場合はこれらの要素があまり反映されないこともご理解ください。

相続税計算の時だけ相続財産の範囲と扱われるもの

遺産分割協議は相続人の合意で自由に行えますが、相続税の計算は厳しくチェックされます。しっかりと制度を理解していないと延滞税や追徴税が発生することがよくあります。

これらは相続財産ではないのに相続税の計算に含まれます。気をつけてください。

なお、相続税の計算は「相続財産の合計から基礎控除や各種控除を引く→相続財産を法定相続分で分けた前提で各人の相続税を計算して足し合わせる→実際の相続分に合わせて相続税を振り分ける」というプロセスで行われます。割と複雑なので迷った時はすぐに弁護士へ相談してください。

相続開始から3年以内に行われた生前贈与

相続税を節約するために生前贈与をうまく使うべきことはよく知られています。しかし、相続税を減らすため亡くなる間際に多額の贈与をしたのでは本来の趣旨から外れてしまいます。そこで、相続開始から3年以内に行われた生前贈与は相続財産と一緒に計算して相続税を算出します。

生前贈与を受けた人は相続税とすでに支払った贈与税を相殺します。

もちろん、贈与そのものは有効ですから相続財産に持ち戻しされても遺産分割協議で争われることはありません。(特別受益は論点になりますが…)

死亡保険金と死亡退職金

生命保険の死亡保険金は相続財産と言えません。死亡保険金は被相続人ではなく保険会社から支払われるものだし被相続人を経由しないからです。したがって死亡保険金は受取人固有の権利に基づく財産です。これは死亡保険金が遺産分割できないことを意味します。

ただし、死亡保険金の額が相続財産全体に比べてあまりに高い場合などは持ち戻しの対象となります。

被相続人の死亡によって勤め先から支払われる死亡退職金も同様です。受取人になっている相続人はそれを固有の権利として受け取れることを覚えておきましょう。

死亡保険金や死亡退職金は相続税の計算をする前に500万円×法定相続人の数が控除されます。あえて節税目的に生命保険を活用する人もいますがそれ以外に圧縮すべき財産が多いため優先度は低めです。

ワンポイントアドバイス
相続税の計算にのみ使われるものは相続税として処理しないと不公平が生じたり悪用のリスクがあるものです。このように遺産分割協議と相続税の計算で相続財産の範囲が異なるので慎重に相続を進めましょう。

相続財産の範囲は意外と難しい。正しい判断に迷ったら弁護士に相談しよう

相続財産の範囲は民法と相続税法の求めるところがあるため両方覚えなければいけません。また、墓石のようにそもそも相続財産にすべきかどうか迷うものも少なくないでしょう。円滑な相続を実現するには、まず財産目録をきちんとまとめること。そして相続に迷ったらすぐに弁護士へ相談することです。

遺産分割をいい加減に行うと後々の禍根に繋がるし、最悪の場合は相続税の追徴税がとられてしまうかもしれません。支払う弁護士費用と法律を知らないことで被るリスクをよく考えてみましょう。

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