購入した建築物が欠陥住宅! 相談窓口や紛争解決の方法は?

この記事で分かること
  1. 欠陥住宅を買わされたときは、まず一級建築士に家の調査を依頼する。
  2. 任意交渉、公的機関での交渉・調停、訴訟と段階を踏んで紛争解決を目指す。
  3. 全国に欠陥住宅問題の相談窓口があるので、遠慮なく相談する。

欠陥住宅をめぐる争いが生じたときには。相談窓口を利用することで、自力でも相手方と交渉を進めることは可能です。しかし、弁護士に協力を求めることで、より迅速に紛争を解決することができます。

購入した家が欠陥住宅だった場合の対処法

一世一代の決断をして念願のマイホームを手に入れても、その家が欠陥住宅だったら誰もがショックを受けるのではないでしょうか。もし購入した住宅が欠陥住宅だった場合は、泣き寝入りせず専門家に相談して対応策を練ることが大切です。

まずは一級建築士に調査を依頼

一般的によく見られる欠陥住宅の現象としては、内装や床の傾き、壁のひび割れ、床のきしみなどがあげられます。これらの表面上に現れている現象がただ単に仕上げ部分の施工不良なだけなのか、内部の構造に欠陥があるのかについては、素人では判断がつきません。そのため、建築士の目で見て判断してもらうことが必要です。

木造住宅で行われている調査項目の例は以下の通りです。これらの項目のほかにも、必要に応じて追加で調査が行われる場合があります。

基礎・土台 基礎や土台の沈下、ひび割れ、欠損
床の傾斜、床のたわみ、きしみ
外壁 外壁の傾斜、外壁のひび割れ・欠損、仕上げ材のはがれ
内装 内装の傾斜、仕上げ材のひび割れ・はがれ
天井 天井のたわみ、ひび割れ、欠損
屋根 屋根材の破損、ひび割れ
室内 雨漏り、漏水、排水不良、結露、断熱不良、建具の開閉不良

受けられる補償

購入した住宅に欠陥があり、その欠陥が見た目にはわからない瑕疵が原因となっている場合は、損害賠償請求をすることができます。建売の場合は不動産業者、注文住宅の場合は工事を請け負った施工業者に対して請求します。新築の住宅の場合のみ、瑕疵の修繕も請求することが可能です。

注文主や買主が不動産業者や施工業者に対して請求できる費用は以下の通りです。

補修費用 瑕疵を修繕するための費用
補修期間内の移転費用 修繕中に建物が使えない場合の引っ越し費用・代替住宅の家賃など
建物の購入額
ローンの金利・手数料
建売住宅を購入したときなど、建物の売買契約の解除が可能な場合に請求可
調査・鑑定費用 欠陥住宅調査のために建築士に支払う費用
登記費用 所有権移転や保存の登記にかかる費用
慰謝料・弁護士費用 欠陥の程度や訴訟の経緯によって認められる場合と認められない場合がある

ただし、建物に瑕疵があっても、建物完成後に契約解除や建物の撤去を求めることはできません。なぜなら、契約解除をすると原状復帰するために建物を取り壊さなくてはならず、施工業者等の負担が大きくなるからです。

費用が請求できる期間

上記の費用が請求できるのは、引渡しから5年(コンクリート造など強固建物の場合は10年)、瑕疵による滅失・損傷のときから1年です。ただし、住宅品質確保促進法の特例により、構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分に瑕疵がある場合は、引渡しから10年が経過するときまで請求することができます。

ワンポイントアドバイス
欠陥住宅にかかる費用の請求は引っ越しのときから5年しかありません。時効を過ぎてから欠陥が見つかることもありますが、それでもあきらめずに弁護士などの専門家に相談して指示を仰ぎましょう。

欠陥住宅問題を解決するための3つの方法

欠陥住宅に関する紛争を解決するには、①任意交渉、②公的機関での交渉、③訴訟の3通りの方法があります。まずは任意で交渉を試み、相手が応じなければ公的機関での交渉、それでもだめなら訴訟、と段階を踏んでいきます。

①任意交渉

一級建築士に欠陥住宅に関する調査をしてもらった後に、まずは任意で相手方と交渉を行います。相手にきちんと対応させるためにも、欠陥住宅問題に詳しい弁護士に事前に相談し、代理人として交渉に入ってもらうほうが賢明です。

ここでは、細かい瑕疵がどうこう、という主張を展開するよりも、安全性や耐久性に関わる瑕疵など、ある程度絞って主張を行うほうがよいでしょう。

②公的機関での交渉(調停)

相手方が任意交渉に応じない場合や話し合いが進まない場合などは、公的機関での交渉に移ります。国民生活センターに設置されている紛争解決委員会が利用できるほか、平成21年10月以降に引き渡された新築住宅などであれば、各自治体にある弁護士会の住宅紛争審査会も利用できます。また、裁判所で調停を行うこともできます。

公的機関での交渉や裁判所の調停を利用するときにも、ベースは話し合いとなりますが、一級建築士や欠陥住宅問題に詳しい弁護士に間に入ってもらうと、話がスムーズに進むでしょう。

③訴訟

瑕疵が重大な場合は、損害賠償額が大きくなるため、話し合いがうまくいかないことがあります。公的機関での交渉が決裂したり、裁判所の調停が整わない場合は、訴訟を提起して決着をつけることとなります。

訴訟になれば、最終的な判決に至るまでに年単位の月日を要することになるため、長期戦になることを覚悟しておいたほうがよいでしょう。その理由としては、瑕疵が争点になる場合は専門家による技術的知見が必要なため、争点整理に時間がかかること、関係者の人数が多いため口頭弁論の日数も多くなることがあげられます。

ただし、訴訟に発展しても、裁判上の手続きの中で和解に持ち込むことは可能です。裁判官から和解をすすめられることもあります。実際、建築訴訟件数のおよそ3分の1にあたる33.4%が和解で争いを終結させているというデータもあります。(※)

ワンポイントアドバイス
訴訟になると、最終的な確定判決が出るまでに数年かかるため、迅速に争いを終わらせるには、途中で相手方と和解をする方法もあります。そのときには、きちんと和解金を支払ってもらえるようにしましょう。

建築物・住宅の欠陥に関する相談窓口

昨今、欠陥住宅問題が重要視されていることを受けて、欠陥住宅問題を相談できる窓口が全国に用意されています。どのような期間があるのかについて、見ていきましょう。

弁護士会の住宅紛争審査会

各自治体にある弁護士会の中には、「住宅紛争審査会」が設置されています。これは、消費者の保護を目的として、住宅の瑕疵紛争に特化した裁判外紛争解決手続(ADR)を行う機関です。ADRでは住宅に関するあっせんや調停、仲裁を行っており、話し合いの場には必ず建築士が入ることから、建築に関する専門知識のない一般市民も安心して利用できる制度になっています。初回相談料は無料です。

ただし、この制度を利用できるのは、問題となっている住宅が以下のいずれかに該当する場合に限られます。

  • 2000年4月1日より施行された品確法に基づいて建築された建設住宅性能評価書が付された住宅
  • 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)の適用を受けた保険付き住宅(2009年 10月1日以降に引渡しを受けた保険付き住宅)

こちらの制度の特徴としては、雨漏りと構造欠陥については保険適用対象となることです。保険会社も住宅紛争審査会の出した結論を尊重してくれるので、施工業者側もその結論を受け入れやすくなっています。

国民生活センターの紛争解決委員会

また、2009年に国民生活センターに設置された紛争解決委員会も、欠陥住宅問題の相談窓口として機能しています。これは、いわゆる「重要消費者紛争」の和解の仲介・仲裁を担う機関です。重要消費者紛争とは、消費者と事業者の間に生じた紛争のうち、被害状況や問題の性質からその問題を解決することが全国的に重要となる紛争のことを言います。紛争解決委員会は消費者なら誰でも無料で利用することができます。

紛争解決委員会の特徴は、和解や仲裁の結果の概要について必要に応じて公表することができることです。不動産業者や施工業者などが正当な理由もなく紛争解決委員会での手続きや話し合いに応じない場合は、事業者名も含めて公表できるようになっており、事実上事業者に紛争解決への協力を促すものとなっています。

全国宅地建物取引業保証協会・不動産保証協会

また、全国の宅地建物取引業保証協会や不動産保証協会調停でも、宅建業者が当事者となる不動産売買に関する紛争について、相談を受けたり、調停により解決する制度があります。
こちらで扱うのは建物の売買契約で生じた争いに限るため、注文住宅をめぐる問題については適用除外となります。

こちらの制度の特徴は、協会に加入している宅建業者から協会が一定額の営業保証金を預かり、宅建業者が損害金等を支払わない場合は消費者に対して協会側が支払いを保証していることです。そのため、宅建業者に損害賠償を支払えるだけの資力がなくても、消費者が泣き寝入りしなくてすむようになっています。

ワンポイントアドバイス
日本各地に相談できる窓口があるので、欠陥住宅をつかまされて困ったときには、まず最寄りの窓口に連絡して相談してみることが第一です。また、弁護士にも対応を依頼しておくと、手続きを代行してもらえるので余計な手間を省くことができます。

欠陥住宅をめぐる争いで困ったときには弁護士に相談を

購入した家が欠陥住宅で、不動産業者や施工業者と争うことになりそうな場合はすみやかに弁護士に相談することをおすすめします。建物の調査については専門家である建築士に依頼をしたほうがよいですが、争いごとの解決は弁護士の役割です。建築士や弁護士の協力のもと、紛争解決に向けて動き出しましょう。

(※)裁判所「専門的な知見を要する訴訟等に関する考察」pp.92

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