交通事故の過失割合はどう決まる?~争いになる前に弁護士に相談を!~

この記事で分かること
  1. 任意保険は被害者の通常の過失にも過失相殺を適用する
  2. 過失割合は基準表から類似の事故を参照 一般道と高速道路で過失割合に違いあり
  3. 被害者と加害者の示談がまとまらなければ裁判へ

交通事故で被害者に過失責任がある場合は、損害賠償額が減額されます。強制保険の過失相殺は被害者に重大な過失があった場合のみですが、任意保険では通常の過失にも過失相殺が適用されます。過失割合は過去の事故を参考に作られた基準表を参考にして、個別の修正要素を加味して決定していきます。もし過失割合をめぐって示談がまとまらない場合は、裁判に発展することになります。

交通事故の過失割合の基礎知識

交通事故には加害者・被害者がいますが、「急に飛び出した歩行者が車と衝突してケガをした」「酔って道路に寝転がっていた人が車にひかれて死亡した」といったケースのように、事故の責任の一旦が被害者にある場合、示談交渉で「過失割合」が重要になってきます。

過失割合とは

被害者にも非がある事故で、加害者だけに損害賠償責任を負わせるのは不公平です。このため双方が交渉し、事故の責任の割合=過失割合を決定します。過失割合に応じて損害賠償額は大きく変わるため、割合の妥当性を十分考慮する必要があります。

過失割合に応じて損害賠償額が変わる

被害者の過失割合に応じて損害賠償額を減額することを「過失相殺」と言います。例えばある事故の損害賠償額が2,000万円で、加害者と被害者の過失割合が7:3だった場合、被害者が請求可能な金額は1,400万円となります。仮に10:0の事故だった場合と比べて、損害賠償額に400万円もの差が出ることになります。過失割合に納得できるかどうかは、示談の満足度に大きく関わります。

警察は過失割合を決めない

事故が起きたら、当事者は速やかに警察に通報する義務があります。すぐに警察官が駆けつけて事故現場の実況見聞が始まりますが、この際警察官は事故の過失割合を決めているわけではありません。なぜなら、事故の損害賠償問題は「民事」であり、警察には「民事不介入」の原則があるからです。加害者・被害者の両方に過失がある場合、事故の過失割合は保険会社の担当者が話し合って決めます。

強制保険と任意保険

交通事故に備える保険には、強制(自賠責)保険と任意保険があります。強制保険は車を持っている人は必ず加入する義務がある保険で、被害者救済のための最低限の補償に役立ちます。一方、任意保険は強制保険だけではカバーできない部分の補償に備える保険です。

強制保険の過失相殺は被害者に重大な過失があった場合のみ

強制保険と任意保険では、過失相殺の考え方が異なります。強制保険は、被害者に重大な過失がある場合のみ過失相殺が適応されます。被害者の重大な過失とは、信号無視の横断、横断禁止場所の横断、センターラインを超えた衝突などです。死亡事故は過失の程度に応じで2割・3割・5割のいずれかの減額、傷害事故は2割の減額となります。

任意保険は軽過失も

任意保険の場合は、重過失以外の過失(通常の過失)にも過失相殺が適用されます。減額の割合は過去の判例などをもとにまとめられた基準を参考に、当該事故の状況に最も適切な過失割合を当事者間で交渉して決めることになります。

ワンポイントアドバイス
事故の責任の一旦が被害者にある場合は、示談交渉で「過失割合」が重要です。交通事故に備える保険には強制保険と任意保険がありますが、任意保険なら、通常の過失の場合でも、被害者の過失割合に応じて損害賠償額を減額する「過失相殺」が適用できます。

弁護士にも相談したい 交通事故の過失割合の決め方

適切な過失割合を知りたい場合は、別冊判例タイムズ『民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準』、日弁連交通事故相談センター(東京支部)の『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(通称:赤い本)、日弁連交通事故相談センター(本部)の『交通事故損害額算定基準』(通称:青本)の基準表を参照します。

過失割合の基本要素と修正要素

交通事故は一つとして同じ事故がありません。発生場所・時間帯・天候など様々な条件や事故の被害が異なります。過失割合の検討の際に参照する基準表は、いずれも過失割合を基本的な要素と修正要素に分けて考えます。

基本的な要素

基本的な要素は、まず道路交通法の優先権です。当然ながら、速度超過や一時停止の無視などの違反行為をしていれば過失割合は大きくなります。さらに車と人の事故なら車のほうが大きく責任も重いと判断されます。基準表にはこれらの要素を組み合わせてパターン化した過失割合が記載されています。

修正要素

基準表から当該事故に近いパターンを見つけたら、そこに当該事故に応じた修正を加えます。例えば車と歩行者が夜間に事故を起こした場合、車は歩行者を見つけるのが難しかったはずです。このため夜間の事故は歩行者側に注意義務を重く課すという修正が加わります。一方、事故に遭ったのが老人や児童といった社会的に保護されるべき立場の者の場合は、相殺率が1割減額されます。

よくある事故の過失割合

では、よくある事故の基本的な過失割合について取り上げていきます。日弁連交通事故相談センター(本部)の『交通事故損害額算定基準』(通称:青本)の基準から、「歩行者と四輪車の事故」「四輪者同士の事故」「高速道路の事故」を紹介します。

歩行者と四輪車の事故

信号機のある横断歩道上で歩行者と四輪車の事故が発生した場合、信号の状態によって過失割合が異なります。

歩行者(青):車(赤)=0:10
歩行者(赤):車(青)=7:3
歩行者(赤):車(赤)=2:8

四輪車同士の事故

信号機のある交差点で四輪車同士の事故が発生した場合、信号の状態や進行方向によって過失割合が異なります。

直進車同士の事故
青信号:赤信号=0:10
黄信号:赤信号=2:8
赤信号:赤信号=5:5
右折車と直進車の事故
右折車(青):直進車(青)=8:2
右折車(赤):直進車(赤)=5:5
右折車(青矢印):直進車(赤)=0:10

高速道路の事故

高速道路の事故には一般道と違った独自の過失割合が設けられています。一般道では加害者(追突した車)の過失が10割となる追突事故は、高速道路では被害者(追突された車)の過失が3割となります。また、高速道路は歩行者がいない前提で車が通行しているので、もし歩行者が事故に遭った場合は歩行者の過失割合が8割です。

ワンポイントアドバイス
交通事故の過失割合は基本要素と修正要素に分けて考えます。基本要素とは道路交通法の優先権などから判断され、修正要素は「夜間」「老人・児童」など個別の事故の状況を考慮するものです。高速道路の事故には独自の過失割合が設定されており、追突事故は被害者の過失が3割となります。

過失割合に関する様々なケース 弁護士を依頼して裁判にも

この事故の過失責任はどうなるか

交通事故の過失割合については「動いている車と止まっている車の事故なら、動いている車が100%悪い」「子どもの不注意はある程度大目に見てもらえる」といった思い込みがあるかもしれません。しかし実際はそうとも限りません。

路上駐車中の車が事故に遭ったら

路上駐車中の車が追突事故に遭った場合、被害者の過失割合が0にならないケースがあります。それは駐車禁止の場所への違法駐車です。しかもこれが夜間なら走行中の車からは駐車中の車が発見しづらく過失責任はより重くなります。場合によっては衝突してきた車よりも思い過失責任を問われます。

子どもが自転車で事故を起こした

小学生から高校生くらいの子どもにとって、自転車は最も身近な移動手段でしょう。子どもが自転車で事故を起こした場合、過失相殺を交渉するうえで気になるのは、親はどれくらい責任を負うのかという点です。一般的には、まだ責任能力を問えない小学生以下の子どもの場合は、親に責任が問われる傾向が強くなっています。

被害者と加害者の示談がまとまらなければ裁判へ

過失割合は、たった1割違うだけで損害賠償額が数十万円違ってきます。被害者と加害者がそれぞれ主張する過失割合が大きく違い示談がまとまらなかった場合、最終的には裁判で決着を図ることになります。裁判官はどのように過失割合を判断するのでしょうか。

刑事裁判記録

裁判で使われる重要な資料の一つが、刑事裁判記録です。警察は事故直後に現場に駆けつけて捜査を行い、実況見分記録や事故現場の見取り図などの書類を作成しています。これらの書類には事故の当事者も目を通し、署名捺印することになっています。つまり交通事故に遭ったら書類の内容に間違いがないかきちんと確認することが大切なのです。

ドライブレコーダーの映像

裁判では事故の瞬間をとらえた映像も証拠として提出可能です。最近普及しているドライブレコーダーは、衝撃に反応して事故の瞬間を自動で録画できたり、高画質で細部もはっきり確認できたりと性能が向上しています。相手と言い分が食い違った場合に自分の主張の裏付けとなる映像が残っているなら、立証に活用しましょう。

加害者の保険会社が主張する過失割合に疑問がある場合は、ぜひ交通事故に強い弁護士に相談してみてください。泣き寝入りせずに済む方法を一緒に探ってもらえます。

ワンポイントアドバイス
停車していた車が追突事故にあったとしても、違法駐車だった場合、全てが加害者の過失になるわけではありません。被害者と加害者がそれぞれ主張する過失割合が大きく違って示談がまとまらなかった場合、最終的には裁判になり判決をあおぐことになります。

過失割合に納得できない場合は弁護士に相談

過失割合には判例をもとにした基準表がありますが、これはあくまで目安です。加害者が基準以上の過失割合を提示してきたり、事故直後は10:0と言っていたのに被害者にも過失責任を求めてくるという話は珍しくありません。納得できない時は弁護士への相談をおすすめします。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
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保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
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交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談