交通事故で裁判になるのはどんなとき?〜裁判に強い弁護士の見つけ方〜

この記事で分かること
  1. 交通事故の損害賠償争いでは、多くの場合示談が成立し、裁判になるケースは少数です。
  2. 後遺障害等級認定を巡る争いや重大事故では裁判になるケースがあります。
  3. 過失割合についての争いも裁判に発展しやすいケースの一つです。
  4. 交通事故裁判に強い弁護士を見分けるには、過去の裁判事例を確認することが重要です。

交通事故が起きた場合、軽微であれれば示談で終わることが多いのですが、加害者と被害者の間で揉めてしまうと、裁判にまで発展してしまうことがあります。裁判になれば、法的な知識や交渉力が必要になるため、弁護士に依頼することがすすめられます。

交通事故の裁判事情

近年悪質な運転や高齢者による死亡事故が社会問題となっていますが、交通事故で相手方ともめた場合、示談で決着がつかず、訴訟に発展することもあります。まずは日本の交通事故の裁判事情について解説します。

交通事故の裁判について

ひき逃げや飲酒運転、高齢者による死亡事故…。交通事故はいつ時代も絶えません。交通事故にもいろいろなケースがありますが、基本的には重大事故など加害者側が極めて悪質な場合は刑事裁判、それ以外は民事裁判で争われます。

刑事裁判と民事裁判

日本の裁判は大きく分けて刑事裁判と民事裁判があります。刑事裁判とは、罪を犯した疑いのある人物(被告人)について、犯行が事実か否か、事実の場合どの程度の量刑が妥当かを決めるものです。被告人を起訴できるのは検察官だけです。
一方、民事裁判とは金銭トラブルや労働問題、離婚や相続などの民間トラブルを扱い、賠償金や慰謝料支払いやその額を決めるものです。民事裁判の特徴の一つは誰でも提起することができる点です。

損害賠償は民事裁判、加害者が悪質なら刑事裁判

交通事故の事件でも刑事裁判で争われる事例と、民事裁判で争われる事例があります。しかし交通事故で刑事裁判になるのはひき逃げや過度な速度超過、死亡事故など加害者に悪質な運転が認められる一部のケースで、その他は基本的に民事裁判で争われることになります。

訴訟は交通事故トラブルの最後の解決手段

事故に遭ったとき、加害者が誠意をもって対応してくれれば良いのですが、なかなかそうはいかないのが現実です。交通事故トラブルで特に争点になりがちなのが「損害賠償額」で、当事者間で話が付かない場合、最終的には民事裁判で決着を付けることとなります。

裁判外紛争解決制度(ADR)

通常、交通事故において賠償額などで相手方ともめた場合、示談交渉から入ります。しかし交渉がうまくいかないこともあります。その場合はあっせんや調停などの裁判外紛争解決制度(ADR)での和解を試みます。それでも話が付かない場合、最終的には民事裁判で解決することになるのです。

示談で和解するケースがほとんど

交通事故における過失責任や賠償額は事故の状況や加害者側の財産状況など、複数の要素で決定されます。ですからもめることそのものが少ないわけではありません。しかし日本では訴訟沙汰になるケースは少数で、多くの場合示談で解決します。

ワンポイントアドバイス
交通事故の損害賠償争いでは多くの場合示談が成立し、裁判になるケースは少数です。それでも、人によっては揉めてしまい、結果、裁判に発展してしまうことはあります。

交通事故で裁判になるケース~事故後の賠償など~

では交通事故トラブルで裁判にまでもつれ込むのはどんなときなのでしょうか。ここからは交通事故で民事裁判になりがちなケースを紹介していきます。裁判にまでもつれ込む事例として多いものに、賠償など事故後の処理に関する争いが挙げられます。

後遺障害等級認定を巡る争い

交通事故トラブルで訴訟沙汰に発展するケースで最も多いものの一つが「後遺障害等級認定」を巡る争いです。

後遺障害等級認定とは

後遺障害は“交通事故による後遺症のうち、交通事故が原因であることが医学的に証明されるとともに、労働能力の低下、もしくは喪失が認められ、更にその程度が自賠責保険の等級に該当するもの”を指します。後遺障害は部位や程度によって0~14級までの等級と140種類、35系列に細かく分類されます。そして、この後遺障害に認定されなければ、損保会社から保険金を得ることはできません。

後遺障害の認定には審査があり、申請すれば必ず通るわけではありません。しかし、認定されるのとされないのとでは受け取れる賠償金額などが大きく変わってきます。例えば事故に遭わなければ得られるはずだった将来利益「逸失利益」も、後遺障害に等級認定されなければ請求できません。また示談が成立していなくても保険金を前倒しで受け取ることができる制度があるのですが、それを利用できるのも後遺障害に認定された場合に限られます。

認定が下りなかった場合に訴訟を利用する

被害者としては何としても後遺障害認定を得たいものです。
そこで、後遺障害の認定結果に納得がいかない場合は、保険会社に異議申し立てが可能です。そこで異議が認められなければ、次に医師や弁護士などで構成される紛争解決委員が審査を行う第三者機関「自賠責紛争処理機構」に申し立てます。それでも認定を得られなかった場合に、最終手段の訴訟を起こします。

重度障害が残ったケース

交通事故の中でも、特に車と歩行者の衝突や車と二輪車の衝突などの場合、重大事故になることが多くあります。激しい事故では当事者は大怪我を負って重度障害が残ることがありますが、こうした事例でも裁判にまでもつれ込むケースがあります。

重度障害が残ればその後の治療介護費用などが必要

激しい事故が起きた場合、重い脊髄損傷や高次機脳機能障害、遷延性意識障害(いわゆる植物状態)など、重度の障害が残ることがあります。そして障害を負った者はそれまでの生活が一変することになります。住宅のバリアフリー化が必要になることもあるでしょう。その場合、治療費や入通院費、介護費に加えて、住宅のリフォーム費用なども必要になり、被害者は、これらの費用も請求できます。

争点になることが多いのは逸失利益

これらの費用について、加害者と示談し話が付かなければ民事訴訟でけりをつけることになります。この手の事例で特にもめがちなのが「逸失利益」の額です。

逸失利益は前述の通り将来利益の損失を指し、労働能力の喪失程度などから算出されるものですが、逸失利益の発生について損保会社が争ってくることが多くあります。

ワンポイントアドバイス
後遺障害等級認定を巡る争いや重大事故では裁判になるケースがあります。特に、交通事故で後遺症が残ったことで労働が十分にできなくなり、収入が減少得られなくなった場合の逸失利益については計算も複雑になり、保険会社だけに任せてしまうと損をしてしまう場合があります。

交通事故で裁判になるケース~事故そのものについての争い~

以上のような2ケースは訴訟に発展しがちな事案のうち、慰謝料や逸失利益など事故後に請求する賠償を巡る争いです。しかし、事故そのものについての争いが裁判にまでもつれ込むケースも当然あります。それが過失割合についての争いです。

過失割合と過失相殺

交通事故で争われがちな点に“過失割合”が挙げられます。何となくは意味をお分かりかと思いますが、交通事故において過失割合の考え方は非常に重要なので詳しく知っておきましょう。

過失割合とは当事者の過失の割合を数値化したもの

交通事故では「過失割合」の考え方が採られます。過失割合とはその名の通り交通事故の当事者の過失の割合を数値化したものです。交通事故の状況はすべて異なるので、怪我や車両の損傷の程度が同じでも、当然過失割合はケースによって違うのです。

被害者に落ち度があれば“過失相殺”され賠償額が減額される

交通事故の原因が常に加害者だけにあるとは限りません。被害者にも落ち度がある場合も全責任を加害者に科してしまう不公平が生じます。そこで、被害者にも過失があった場合には、過失の割合に応じて賠償額を調整することが認められています。このように不法行為における被害者にも損害の発生や拡大について過失がある場合に、賠償額を決めるに際して被害者の過失を考慮することを過失相殺と言います。

過失割合によって慰謝料額が大きく変わっってくる

慰謝料など、賠償額はこの過失割合によって大きく上下します。けれど過失割合はいろいろな要素から算出されるのでこじれやすく、裁判にもつれ込むケースは多いのです。

同様の事例でも過失割合が異なるケースがあるため争いになりやすい

過失割合にも一応の基準は存在します。とは言え過失割合はさまざまな点が考慮され、算出されます。例えば自動車と歩行者が衝突した場合、基本的には“交通弱者”である歩行者を優先して考えます。しかし、仮に怪我の程度は同じでも、横断歩道はあったのかなかったのか、事故の発生時刻が夜なのか昼なのか、住宅街なのか繁華街なのかなど道路状況によって過失割合は変わってきます。

最終的には判例で決まる

過失割合は、相手方の保険会社が判例をもとに決めます。当然保険会社はお金をできるだけ払いたくないわけですから、被害者に有利に進めることはまずありません。そして話がまとまらず、訴訟に発展することがあります。

ワンポイントアドバイス
過失割合を巡る争いも裁判に発展しやすいケースの一つです。保険会社はできるだけお金を払いたいないため、賠償金を引き下げるための様々な主張をしてくる可能性があります。

交通事故の裁判に強い弁護士の探し方

ここまで交通事故で裁判に発展するケースを解説してきました。ところで、民事裁判には『本人訴訟』と言って弁護士を雇わずに自身のみで訴訟に挑める制度があります。

けれども本人訴訟をするメリットは弁護士費用を浮かすことができる点くらいのもので、特に相手方に弁護士が付いている場合、分が悪くなります。そのため弁護士に依頼するのが得策と言えます。そこで最後に交通事故裁判に強い弁護士の探し方や判断基準を紹介します。

裁判には専門的な知識や経験が必要

交通事故における損害賠償金の額は“過失割合”や経済的損失・後遺症の程度など複数の要素から算出されます。その判断には専門的な分野も関わってくるため、裁判になっても法的知識に乏しい素人では十分な額を得られない可能性があります。ですから交通事故に遭った場合、法律のプロである弁護士に依頼するのが得策です。

しかし司法制度改革の影響により、以前と比べて弁護士は激増しています。では交通事故に強い弁護士を探すにはどうすれ良いのでしょうか。

インターネットで探す

弁護士過剰と言われる現代で、交通事故に強い弁護士を見つけ出すには効率面を重視する必要があります。効率の良い探し方の一つがインターネットを利用することです。ポイントは交通事故被害者のためのサイトなどで探すことです。そうしたサイトでは、過去に受け持った裁判事例と共に弁護士を紹介している場合が多く、比較することもできます。

知人の紹介

また知人の“つて”を利用するのも良い方法です。その事務所に交通事故裁判を依頼した友人などからのお墨付きなら、安心です。ただしその弁護士事務所と利害関係に当たらない知人からの紹介であることが大切です。そうでない場合、紹介手数料を得るために高く評価している可能性があるためです。

弁護士の判断基準は

では、交通事故裁判に強いかどうかを見分けるにはどうすれば良いのでしょうか。ここではその判断ポイントを解説します。

解決事例を確認

裁判に強いかを判断するには、裁判による解決実績を確認することが大切です。確認するポイントとしては例えば賠償額が争点となった裁判なら勝ち取った賠償額が相場と比較して多いこと、後遺障害等級認定について争った事例なら後遺障害等級認定獲得に成功していることなどです。

親身になって話を聞いてくれることも大切

また、弁護士に依頼した場合、ともに裁判で戦うことになります。そのため信頼関係も大切です。けれども、弁護士の中には依頼者の話を十分に聞かず、自分ばかりが話をしたり、威圧的な態度で上から目線で話をしたりする人もいます。相談者の話にきちんと耳を傾けてくれることも重要なので、確認するようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
交通事故裁判に強い弁護士を見分けるには、過去の裁判実績を確認することが重要です。インターネットなどで効率的に探すことが大切です。またお任せする以上、信頼のおける弁護士でなくてはならないことは言うまでもありません。

交通事故で裁判になる前に、弁護士に相談!

最近高齢者による事故や悪質な運転が問題となっていますが、私たちもいつ交通事故に巻き込まれるとも知れません。加害者になる可能性だってあります。交通を他人事と捉えず、事故に遭ったときの対処法を普段から頭に入れておくことが必要です。
交通事故で裁判になりそうになったら、できるだけ早い段階で弁護士に依頼し、適切な対抗策をとりましょう。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
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交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談