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高速道路での交通事故の特徴~死亡事故のリスクも!万一の発生時の過失割合

この記事で分かること

  • 高速道路では二次的交通事故が多く発生する
  • 高速道路で停車するときはハザードランプを点灯させ、発炎筒・三角停止表示板を設置しよう
  • 加速車線から本線への合流や追越車線への進路変更をするときに後続直進車に衝突した場合は、進路変更車の過失割合が高くなる
  • 高速道路上を横断する歩行者が自動車にはねられた場合は、一般道でのケースよりも歩行者の過失割合が高くなる

高速道路での交通事故は二次的な被害が起こりやすいという特徴があります。特に停止車両の外に出た歩行者には警戒が必要です。もしも交通事故に巻き込まれてしまったら、過失割合を基に示談金の交渉をすることになります。過失割合に不満がある場合は弁護士に相談をし、交渉の代理をしてもらいましょう。

高速道路での交通事故の特徴とは

高速道路とは、高い速度での交通が可能な高速自動車国道と自動車専用道路からなる高規格幹線道路のことです。日本の政治・経済・文化における交流や物流を支えており、社会の維持に必要不可欠なインフラです。

その高速道路で近年、全国ニュースとなるような交通事故が何件か起きています。安全な高速交通を実現するためのものであったはずの高速道路は危険な場所へと変わってしまったのでしょうか。

それを検証するために、まずは実際に高速道路での交通事故が増えているのかどうかを見てみましょう。以下は2017年から過去5年間の高速道路での事故件数を表にしたものです。

事故類型\年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
人対車両 147 124 99 106 98 88
車両相互 9,989 10,275 9,220 8,994 8,410 8,093
車両単独 1163 1121 883 742 690 577

以上の表から分かるように、多少の変動はあっても、長い目で見ると事故件数は年々減少しています。この傾向はこの6年間に限らず、もっと年数を遡っても同じです。

ではなぜここへきて、高速道路での交通事故についてよく耳にするようになったのでしょうか。その理由の一つとしては、交通事故件数全体が減る中で、高速道路という特殊な環境における事故のあり方が目立ち始めたということが考えられます。

高速道路では二次的交通事故が多いのが特徴

高速道路での交通事故の特徴として、二次的な被害が多いという点が挙げられます。信号がなく、停止する必要のない高速道路上では、とっさに停止車両や落下物を避けることは簡単ではありません。仮に緊急回避ができたとしても、進路変更をした先で後続の車両と衝突したり、壁に激突したりするおそれがあります。

このように、ひとつの事故が起こると、連鎖的に事故が重なりやすいのが高速道路での交通事故の特徴です。事故による死亡率も高いため、安全な高速道路利用が求められています。

高速道路で多い交通事故のパターン

高速道路で多い交通事故のパターンとしては、次のようなものがあります。

  • 反対車線はみ出し
  • 逆走
  • 停車中の自動車との衝突
  • 歩行者との衝突
  • 単独事故による車外への放出
  • 渋滞時の追突
  • 二輪車を巻き込む事故
ワンポイントアドバイス
高速道路での交通事故は年々減少傾向にあります。しかし、近年では高速道路で歩行者が巻き込まれるという二次的事故がニュースなどで取り沙汰されるようになってきました。そのほかにも高速道路での事故では、運転者や同乗者が車外に放り出されるケースも多く、死亡率が高いのも特徴です。

高速道路で交通事故に遭わないために自動車故障時に取るべき対処法

高速道路で自動車を停止させることは交通事故に遭う危険を高めます。特に本線上で停車してしまった場合は命取りともなり得ます。エンジントラブル、パンク、ガス欠などの故障も侮ってはいけません。日ごろから自動車の不具合を感じたら早めに修理に出す習慣を付けておくことが大切です。

もしも高速道路上で自動車が故障した場合はなるべく路肩に寄せ、後続車に知らせる処置を行ったうえで緊急連絡を行います。以下が故障時に取るべき対処の手順になります。

  • ハザードランプを点灯させる
  • 全員車外に出てガードレールの外側に避難する
  • 発炎筒や停止表示器材を自動車から50m以上後方に設置する
  • 非常電話および携帯電話で救援依頼をする
  • 自動車よりも後方のガードレールの外側で待機する

発炎筒(非常信号用具)の使い方について

発炎筒などの非常信号用具は道路運送車両法の保安基準第43条のニにて普通自動車への車載が義務付けられており、新車には必ず発炎筒が付属されています。発炎筒を使用した場合や期限切れ・水塗れ・損傷が見られる場合は、購入した新しいものを自動車に常備しておきましょう。発炎筒を点けるには以下の手順を踏みます。

  • 本体をケースから取り出す
  • ケースまたはキャップの摩擦剤を本体の先端に擦りつける
  • 着火した発炎筒を自動車の50m後方に設置する

発炎筒はマッチと同じように着火するとすぐに炎が出ますので、やけどをしないよう注意しましょう。発炎時間は5分間です。JAFなどが来るまでには時間があるため、3本ほど用意しておくと、炎が途切れず安心です。

なお、自動車から燃料が漏れ出しているときは危険なため、発炎筒は使わず、次の三角停止表示板のみを使用するようにしましょう。

三角停止表示板の使い方について

高速道路で自動車を停止させる際は、道路交通法により停止表示器材の使用が義務付けられています。これに違反すると、1点の減点と6000円の罰金(普通車の場合)が科せられます。

三角停止表示板は高速道路の路肩などに停車した自動車の後方に設置します。これにより、夜間に数百メートル離れたところからでも反射板の光が視認ができ、後続車が早めに停止車両に気付くことができます。

ワンポイントアドバイス
高速道路で故障などにより自動車の停止を余儀なくされたら、後続車に停車中であることを知らせます。まずはハザードランプを点灯させ、発炎筒や三角停止表示板を設置します。その際は高速道路上を歩かず、ガードレールの外側を移動しましょう。車内には誰も残らずに、同乗者全員がガードレールの外側に避難してください。

高速道路で交通事故を起こさないためにできること

高速道路では一般道と違い、通行速度が高いことから一度事故が起こると被害が大きくなる傾向にあります。信号がなく停車する必要がない高速道路では、停止車両にも早めに気付かなければ、安全な対処ができないおそれがあります。

また、普段はいないはずの歩行者が突然視界に現れることもあります。もしものときに備えて、常に「絶対に起こらないということはない」という心構えをしておくことが大事です。

高速道路で事故を起こさないためにドライバーとライダーができることを以下でご紹介します。

高速道路で二次的交通事故を起こさないためにできること

高速道路上では全てのドライバーに注意深い運転が必要です。なぜなら、自分が交通事故を起こさなくても、気を抜いていると二次的交通事故に巻き込まれる可能性もあるためです。交通事故を起こさないように以下のことに気をつけましょう。

  • 停止車両付近に人がいる可能性を考え、危険に備える
  • 道路交通情報板やハイウェイラジオなどで情報収集を行う
  • 渋滞末尾に近付いたら早めにブレーキをかけ、ハザードランプを点ける

高速道路でバイク事故を起こさないためにライダーができること

二輪車運転者が高速道路で交通事故に巻き込まれると、重傷を負ったり、死亡したりするケースが多くなります。バイクは生身の人間がむき出しの状態で運転する乗り物であるうえに、高速道路ではスピードが出ているためです。

ライダーの方は周囲の交通状況に常に注意しながら安全運転を心がけましょう。高速道路でバイク事故を起こさないためには、以下のようなことに気をつけてください。

  • 自分のペースで運転しましょう
  • SA・PAでこまめに休憩を取りましょう
  • 風雨が強い場合は無理せず休憩を取りましょう
  • 渋滞中のすり抜けや路肩走行はしないようにしましょう
  • 左側から車両を追い越すなどの運転はやめましょう
ワンポイントアドバイス
高速道路では二次的事故を起こさないためにも、停止車両の付近では歩行者に注意して運転しましょう。また、ライダーの方はバイクの車両性能を過信することなく、こまめに休憩することが安全のためにも大事です。二輪車で渋滞車両をすり抜けることは危険ですのでやめましょう。

高速道路での交通事故における過失割合とは

高速道路で交通事故が起きたら、加害者側の保険会社と示談交渉が行われることになります。示談金は加害者と被害者の過失割合に応じて算出され、被害者側に提示されます。過失割合については、事故のパターンによって原則的には決まっています。

高速道路と一般道で事故の過失割合が特に異なるのは、歩行者が原因となる交通事故の場合です。一般道では歩行者の信号無視が原因であっても、自動車運転者の過失割合が高くなります。他方、高速道路では歩行者の侵入が禁じられているため、歩行者の過失割合が比較的高くなるのです。

以下で具体的な過失割合の例をいくつか見ていきましょう。

合流地点で起きた交通事故における過失割合

高速道路の合流地点で交通事故が起きた場合、以下のような過失割合となります。ここでは、本線を走行していた自動車をA、合流しようとしていた自動車をBとします。

  • AとBの両方が四輪車の場合、A:Bの過失割合は30:70
  • Aが四輪車でBが二輪車の場合、A:Bの過失割合は40:60
  • Aが二輪車でBが四輪車の場合、A:Bの過失割合は20:80

進路変更時に発生した交通事故での過失割合

高速道路で走行車線から追越車線へ進路変更する自動車と追越車線を走行する後続車が衝突した場合の過失割合は以下のようになります。ここでは、直進車をA、進路変更車をBとします。

  • AとBの両方が四輪車の場合、A:Bの過失割合は20:80
  • Aが四輪車でBが二輪車の場合、A:Bの過失割合は30:70
  • Aが二輪車でBが四輪車の場合、A:Bの過失割合は10:90

次に、追越車線を走っていた自動車が進路変更を行い、走行車線の自動車に衝突した場合の過失割合です。直進車をA、進路変更車をBとします。

  • AとBの両方が四輪車の場合、A:Bの過失割合は30:70
  • Aが四輪車でBが二輪車の場合、A:Bの過失割合は40:60
  • Aが二輪車でBが四輪車の場合、A:Bの過失割合は20:80

高速道路上での歩行者と自動車の事故における過失割合

高速道路上では、通常歩行者の存在を想定することはありません。しかし、実際には歩行者が道路を横断したり、本線上に出たりすることで自動車と衝突する事故が発生しています。この場合も民事では過失割合に基づいて示談交渉が行われます。

高速道路上の歩行者と自動車の事故における過失割合は以下の通りです。

  • 歩行者が本線車線を歩行中であれば、歩行者:自動車の過失割合は80:20
  • 歩行者が駐停車車両近くにいた場合、歩行者:自動車の過失割合は40:60

ただし、これは民事事件としての解決法です。刑事事件としては「自動車運転処罰法違反」などの疑いで、自動車の運転手が現行犯逮捕されることがあります。もしも自動車の運転手の前方不注意が原因で事故が起きたとみなされれば、有罪判決が下される可能性が高いと考えられます。

ワンポイントアドバイス
高速道路に限らず、進路変更を行うときは直進車の進行を妨げてはならないことが道路交通法により定められています。そのため、進路変更車が後続の直進車と衝突した場合は、進路変更車の過失割合が高くなります。また、歩行者と自動車の事故では、歩行者の過失割合が一般道での場合よりも高くなります。

高速道路での交通事故で過失割合に不満がある場合は弁護士に相談を

示談交渉の際に保険会社が提示する示談金(損害賠償金)は両者の過失を相殺した上で算出されます。この過失割合は、保険会社が事故証明書を基に過去の判例と照らし合わせて決めるものです。

事故の当事者として、保険会社の過失割合に納得がいかないこともあるでしょう。相手の過失割合が低ければ、その分示談金も低くなります。つまり、適正な過失割合だった場合と比べると損をすることになります。

適切な過失割合を相手側に認めさせるには交渉が必要です。そのような場合は、法律のプロである弁護士にご相談ください。過失割合の見直しを求めることで、示談金が増額できるケースがあります。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
  • 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
  • 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
  • 適正な後遺障害認定を受けたい
  • 交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談