子供が自転車事故を起こしたら…責任と過失割合、その対策を解説!

この記事で分かること
  1. 自転車は道路交通法上“軽車両”に分類され原則、自動車と同じ扱いになります。
  2. 子供でも運転可能な自転車でも重大な事故が起こることがありますが、自賠責保険は効きません。
  3. 子供の自転車事故では過失は減算されますが、親が多額の賠償責任を負うことがあります。
  4. 子供の自転車事故による賠償責任の対策として有効なのは、自転車保険への加入です。
  5. 自転車事故を起こした場合に支払う賠償金を抑えるためには、子供に交通ルールを順守させることが重要です。
  6. 事故後の対応も大切です。

自転車は道路交通法上“軽車両”に分類され原則、自動車と同じ扱いになります。子供でも運転可能な自転車でも重大な事故が起こることがありますが、自賠責保険は効きません。子供の自転車事故では過失は減算されますが、親が多額の賠償責任を負うことがあります。子供の自転車事故による賠償責任の対策として有効なのは、自転車保険への加入です。自転車事故を起こした場合に支払う賠償金を抑えるためには、子供に交通ルールを順守させることが重要と言えます。また事故後の対応も大切です。

自転車事故は自動車事故とどう違う

近年自転車による重大事故が後を絶ちません。自転車は自動車と比較して車体重量も軽く速度も出ませんが、重大な事故が起こるケースもあります。まずは近年の自転車事故の状況や自動車事故との違いについて見ていきましょう。

近年の自転車事故事情

誰でも気軽に運転できる自転車。近年の環境意識の高まりから通勤などで使う人も増えています。しかしその一方で自転車による重大事故も後を絶ちません。

自転車の需要の増加に伴い事故も増えている

近年のアウトドアブームや環境意識・健康志向の高まりから自転車市場は拡大し、さまざまな自転車が発売されるようになりました。

サラリーマンがスポーツサイクルに乗り通勤する光景を、毎朝目にする人も多いのではないでしょうか。このように近年需要が増加している自転車ですが、操縦が簡単で、幼児でも運転できます。しかしその手軽さ故に油断を招き易く、事故も増えているのです。

対策が講じられるもまだまだ事故は多いのが現状

平成29年の自転車関連事故は90,407件です。前年よりも430件減少してはいるものの、全交通事故に占める割合は19.1%。決して少なくない割合です。

警察では自転車運転者の信号無視や一時不停止などに対して指導警告を行い、悪質・危険な交通違反に対しては検挙措置を講ずるなどの対処を講じていますが、まだまだ自転車による重大事故は無くならないのが実際のところです。

自転車事故と自動車事故の違い

自転車は“軽車両”に分類され、道路交通法上は基本的に自動車と同じ扱いを受けることになります。しかし両者はいろんな点において違いがあるためもちろん完全に同じ規制であるはずがありません。では、自転車事故は自動車事故とどう違うのでしょうか。

走行時に不安定になりやすい・免許が不要

言うまでもなく、自転車は自動車と物理的に大きな差があります。

まずは「走行時の不安定性」です。自転車は自動車と比較して軽量であり、スピードも出ませんが、その分走行時にふらついたりバランスを崩しやすいと言えるのです。

「免許が不要」である点も大きな違いでしょう。

自転車通行のルールもある

また自転車交通のルールも存在します。自転車は一部の例外を除き、車道の左側の“路側帯”を通行しなければならないと定められています。この時逆走はできません。

歩道を走っている自転車がありますが、本来ならばあれは違法なのです。

更に安全配慮義務も課されていて、蛇行運転、音楽聞きながらの運転、ハンドルから手を放しての運転、歩道での歩行者の妨害なども禁止されています。

自賠責保険法が適用されない

更に「自転車には自賠責保険法の適用がない」点も見逃せません。

自動車の場合自賠責保険へ加入することが自賠責保険法によって義務付けられています。そのため事故が起きても被害者は自賠責保険から保険金を受け取ることができます。

しかし自転車に関しては自賠責保険法の適用外なので、保険が効きません。ですから加害者に資力がないと十分な賠償をすることができないわけです。

ワンポイントアドバイス
自転車は道路交通法上“軽車両”に分類され原則、自動車と同じ扱いになります。子供でも運転可能な自転車でも重大な事故が起こることがありますが、自賠責保険は効きません。

子供が自転車事故を起こした場合の責任は

子供の自転車運転に関して多くの親が気にかけるのが、相手を死傷させてしまったり相手の所有物を損壊させてしまった場合のことでしょう。

では、子供が自転車事故を起こした場合の責任や過失割合はどうなっているのでしょうか

子供が自転車事故を起こした場合、発生する責任は?

子供が自転車事故を起こした場合、どんな法的責任が発生するのでしょうか。成人による事故の場合とも比較しながら、具体的に見ていきましょう。

刑事責任

自転車による致死傷事故は「重過失致死傷罪」に問われる可能性があります。重過失致死傷罪の量刑は5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。

重過失致死傷罪は「予見可能性」と「回避可能性」の双方が認められるとき、つまりわずかな注意を払っていれば事故の発生を容易に回避できるときに成立するものです。

過去に、赤信号に気付かず、自転車にケンケン乗りをして横断歩道上の歩行者の一団に突っ込み傷害を負わせたケースで重過失が認められています(昭和50年8月10日東京高裁判決)。

ただ、刑事責任に問われるのは15歳からであり、14歳未満は刑事責任には問われません。

民事責任

こちらは加害者に対して負う責任で、つまり損害賠償責任です。自転車事故の内人身事故では治療費・休業損害・慰謝料などを、物損事故では修理費などを支払わなければなりません。

ケガや損害の程度によっては賠償金は莫大な額になりますが、通常子供には賠償能力はないので親が支払うことになります。

子供が自転車事故を起こした場合の過失割合は?

交通事故において最も重要なものの一つが「過失割合」です。過失割合によって賠償金額が大きく変わってくるためです。では、子供が自転車事故を起こした場合、過失割合はどのように算定されるのでしょうか。

事理弁識能力が備わる6歳頃から、減算して過失責任を負う

過失割合とはつまり不注意の程度の割合です。この“不注意”はそもそも“道路上で注意すべきことが何か”を把握できなければ成立しません。

従って注意する必要があると認識する力(事理弁識能力)が備わっていないと過失割合は一切負わないことになるのです。

裁判所はこの事理弁識能力は5歳~6歳頃に備わるとの見解を示しています。つまり子供であっても6歳以上であれば注意義務が課せられ、一定の過失割合を負うことになるわけです。

もちろん成人と同等に過失割合が算定されるわけではなく、5~20%減算されます。

ただし幼児の場合もケースによっては親が過失に問われる

ただし5歳に満たない幼児の場合でも、過失が常に0であるわけではありません。例えば、小さな子供が遊んでいることなど到底想定できないような道路で、親が目を離した隙に自転車で飛び出してくる場合があります。

こうした状況で起きた事故においても被害者側に一切お咎めなしとすれば、ドライバーにあまりに酷です。

そこで親に対して、子供が事故に遭わないための注意(子供を目の届く範囲に置く、手をつなぐなど)を怠ったとして過失を問うことができる場合もあります。

ワンポイントアドバイス
子供の自転車事故では過失は減算されますが、親が多額の賠償責任を負うことがあります。

子供の自転車事故の対策は

2013年には小学5年生の男子児童が起こした事故により、被害女性が意識不明になり児童の母親が9,500万円の賠償支払いを命じられています。

また2015年には音楽を聴きながら自転車に乗っていた少年が高齢女性に激突し、死亡事故を起こしています。

これらの事件は決して他人事ではなく、いつ我が子が加害者となるとも知れないのです。では、子供が自転車事故を起こした場合に備えて、どんな対策が可能なのでしょうか。

自転車保険に入っておく

子供の自転車事故による賠償支払いへの対策、それはずばり自転車保険に入っておくことです。

自転車保険とは

自転車保険とは自転車事故を起こした際、被害者への賠償金を補填する保険です。

自動車の自賠責保険は“強制保険”で、必ず加入しなければなりませんが、自転車保険に関しては今のところ加入は任意となっています。しかし前述の通り自転車事故を起こした場合、自賠責は効かないので自転車保険が有用になるのです。

保険に加入していれば、加害者側も高額な賠償に耐えることができ、被害者側としても加害者に資力がないために泣き寝入りすることはないわけです。

各地域で加入義務化が進む

そしてこの自動車保険、近年関西圏を中心に加入を義務化する地域が増えています。

平成27年には兵庫県が、翌平成28年には滋賀県と大阪府が、そして今年4月には京都も自転車保険への加入が条例によって義務付けられています。

一方で東北や九州などまだまだ義務化が進んでいない地域もありますが、自転車保険は加害者・被害者双方にとって重要なものです。保険料に関しては基本的には月々の費用は数百円で済むので、必ず加入するようにしましょう。

自転車保険に入るには

けれど自転車保険は名称こそ広く認知されているものの、実際の加入方法については知らない人も多いでしょう。自転車保険に入るにはどうしたらよいのか、ポイントと併せて解説します。

補償内容を確認することが大切

加入方法は複数あります。新規に契約する場合は自転車ショップなどで加入できます。またインターネットや大手の携帯キャリアでも申し込み可能です。

ただ、いずれの場合も大切なのは、補償範囲や賠償の上限を確認することです。

お伝えの通り自転車事故でも莫大な賠償金支払い命令が出ているケースもあります。多少保険料は高くなっても上限に余裕のあるものを選ぶのが無難でしょう。

契約している保険に付帯していることも

また実は自転車保険は必ずしも新規に契約する必要はないのです。

と言うのも自転車事故における損害賠償をカバーするには個人賠償責任保険が必要ですが、個人賠償責任特約が自賠責保険や火災保険、傷害保険などに付帯しているケースもあるためです。

ワンポイントアドバイス
子供の自転車事故による賠償責任の対策として有効なのは、自転車保険への加入です。

子供の自転車運転、自転車事故に関して知っておきたいこと

ここまで、子供が自転車事故を起こした場合に発生する責任や過失割合位の考え方、賠償責任への対策を解説してきました。最後に子供の自転車運転や事故に関して知っておきたいことを解説します。

子供に交通ルールを守らせることが大切

前章では子供の自転車事故の対策方法として、自転車保険への加入を挙げました。しかし自転車保険も万能ではなく適用外のケースもありますし、限度額も存在します。

自転車運転で最も重要なのが子供に交通ルールを順守させることです。そうすることで事故加害者となったときに、過失割合が小さくなり結果として賠償も少なく済むわけです。

子供に交通ルールを守るよう言い聞かせる

もちろん自転車事故を起こさないのが一番であることは言うでもありません。けれども、道路上ではさまざまな突発的事象が日常的に起こるもの。ですから事故が起こる可能性をゼロにすることはできないのです。

とすれば事故が起こった場合、どれだけ賠償額を抑えられるかが重要、というのが親の本音ではないでしょうか。賠償額を抑えるには子供の過失割合が小さくなくてはなりません。

そしてそのためには事故の際交通ルールを守っていたことが重要なのです。

親が直接言い聞かせることが重要

子供は往々にして自転車運転のリスクを理解していないものです。例えば長期休暇の前になると学校で必ず教員から生徒に向けて、休暇中の過ごし方の話があります。

そしてその中にだいたい交通ルールを守ることも含まれているのですが、長期休暇を前に浮ついた子供の中には、そうした話を真剣に聞いていない者も少なくないと言えます。

ですから、親が直接子供に実際の事例を引き合いに出すなどして自転車でも凶器になり得ることを言い聞かせ、交通ルールを順守するよう諭すことが大切になってくるわけです。

事故後の対応も重要

また、事故を起こしてしまった場合もその後の対応次第で結末は大きく変わります。事故後の対応も大切なのです。

道路交通法上の義務は必ず果たそう

事故後の対応も大切です。重大事故を起こしてしまった場合大人でも狼狽するでしょう。それが未成年なら尚のこと。

ほぼ確実にパニックに陥り、場合によっては怖くなって逃げてしまうかもしれません。そうすれば“ひき逃げ”になり、重い罪が科せられることになります。

事故加害者には「救護義務」と「報告義務」が生じることが道路交通法で定められていますがひき逃げ行為はこの両方の違反となり、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金刑に処されることがあります。

被害者が死亡した場合危険運転致死罪に問われ1年以上20年以下の懲役が科せられる可能性があります。

被害者の見舞いも必要

また、怪我をさせてしまった場合お見舞いに行くことも大切です。怪我をさせておいて見舞うこともしければ、理不尽な被害に遭った相手方は不快感を覚えるでしょう。

その結果示談交渉がこじれることにもなり兼ねません。ですからなるべく早めにお見舞いに出向き、誠心誠意の謝罪をすることが重要と言えます。

ワンポイントアドバイス
自転車事故を起こした場合に支払う賠償金を抑えるためには、子供に交通ルールを順守させることが重要です。事故後の対応も大切です。

子供が自転車事故を起こしたら弁護士に相談

子供の自転車事故で親が多額の賠償責任を負う事例がしばしば報道されていますが、他人事と思ってのんびりしていてはいけません。明日は我が身です。ですから、日ごろから事故を起こさない、また事故に備える意識を持っておくことが重要です。

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