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交通事故は減っている?減った理由を紹介

この記事で分かること

  • 交通事故の発生件数・死者数は減少傾向にあります。
  • 事故を起こした場合の罰則強化がドライバーの安全運転意識の向上に繋がり、交通事故の減少に繋がったといえます。
  • 自動車安全性能の向上によりヒューマンエラーが減り、交通事故の減少に繋がったといえます。

交通事故が減少しているのは、日本にとってよいことです。交通事故を増やさないためには、慢心が事故を招くことを、ひとり一人がしっかりと自覚して運転するようにすることが大切です。

交通事故の数は減っている

高齢者のアクセルの踏み間違いによる死亡事故や、あおり運転による悲劇などセンセーショナルな交通事故がここ1、2年、立て続けに発生しています。

そうしたことから、交通事故は増えているとの印象を持っている方もいるかもしれませんが、実は交通事故の発生件数自体は近年、減少傾向にあるのです。

交通事故の発生件数は減少傾向にある

2017年の交通事故件数は472,165件で、4年連続の減少となります。交通事故は近年大幅に減少しており、ここ3年間で10万人以上減少しています。

さらに今年2018年に入ってからの交通事故発生件数も3月末時点で105,890件と、前年同時期と比較し10,029件減、割合にして8.7%減少しています。

交通事故発生件数の調査開始以来、交通事故が最も多かったのは、2004年の952,720件です。つまり、現在の交通事故発生件数はその時期から約半数に減少している計算になります。

ワンポイントアドバイス
死者数に至っては1970年代の昭和40年代の“交通戦争”と呼ばれる交通事故が多発した時期と比較すると、約4分の1にまで減少しています。

交通事故が減った理由―自動車安全性能が向上した

車社会の現代日本ですが、自動車の数自体は昔とさほど変わりはありません。では、なぜ交通事故数や死者数は減っているのでしょうか。ここから、その理由を検証していきましょう。

自動車事故の多くはヒューマンエラー

交通事故が起こる原因の実に9割は“ヒューマンエラー”、すなわち人的ミスであるといわれています。例えば「操作ミス」や「わき見運転」、「前方不注意」「ぼーっとしていた」などです。

そして、この事実と昨今の自動車事情を照らし合わせたときに、自動車事故や事故による死者数が減った理由として真っ先に予想されること、それが「自動車安全性能の向上」ではないでしょうか。

自動車安全性能の向上

近年の自動車安全性能の向上には目覚ましいものがありますが、これは交通事故の発生件数・死者数が減った理由に数えていいでしょう。

特にアクセルペダル踏み間違え防止システムや障害物検知センサーなど、自動車安全装置の発達は間違いなく交通事故の減少に一役買っているといえそうです。

事故を防ぐ装置が発達した

ここ数年で各自動車メーカーは競うように自動車安全装置の開発を進めています。例えば、アクセルとブレーキペダルの踏み間違えを防止する誤発進抑制システムです。

アクセルとブレーキペダルの踏み間違え事故が年間7000件も発生している日本において、この装置は追突事故の減少に大きく貢献しているといえます。アクセルペダルの踏み間違え事故と聞くと「高齢者だったのだろう」「自分は大丈夫」などと思ってしまいがちですが、実はそうではないのです。

例えば、車庫入れの時など車を後進させる際、ドライバーは上半身をひねって後方を確認します。

このとき誰にでも起こり得るのが、実際にはアクセルを踏んでいるのにブレーキを踏んでいるつもりになるといった事態です。これは視界と下半身で左右の感覚があべこべになるためにアクセルとブレーキの正しい位置を把握できなくなってしまうことで発生する現象です。ブレーキを踏んだつもりなのにかからないため、パニックになり、さらにペダルを踏みこみ、事故が起こるケースもあります。

また運転中に気がそれるとき、例えば助手席のものを取ろうとするときや携帯電話が鳴ったとき脳の注意力が低下します。その結果、咄嗟に踏み慣れているアクセルペダルの方を誤って踏んでしまうことがあります。

障害物検知センサーは、子供との接触事故の減少に寄与しているといえます。子供は体が小さく運転席からの死角になりがちです。運転席が高い位置にあるトラックなどからはなおのこと。

そのため子供が急に飛び出してきた場合に、ブレーキが間に合わず事故になってしまうわけです。子供が巻き込まれる事故の多くは、ドライバーが直前までその存在に気付かなかったことに原因があると言います。

ワンポイントアドバイス
自動車安全装置の開発・進歩・技術の向上はハンドルミスによる事故や、うかつな運転による事故を減らしています。

交通事故が減った理由―法の整備が進んだ

交通事故原因のうち「わき見運転」や「ぼーっとしていた」などは、ドライバーの意識の問題です。気を引き締めて運転していればそんな事故にはならないはずです。

では、どうすればドライバーが注意深く運転するようになるのか。ドライバーが注意深く運転する動機、それこそが事故を起こした場合に自分自身に及ぶデメリット、すなわち罰則です。

法の整備が進み厳罰化された

近年の交通事故数の減少の一因に自動車運転に関する法律の整備・厳罰化も挙げられるでしょう。つまり、事故を起こすデメリットたる罰則が強化されたことでドライバーは否が応でも注意深く運転するようになったわけです。

以前は一律業務上過失致死罪で処罰されていた

以前は、交通事故加害者は如何なるケースでも一律で「業務上過失致死罪」によって裁かれていました。

しかし、業務上過失致死罪の量刑は5年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金と、悪質な事故加害者を処罰するにはあまりに軽い量刑です。

平成19年自動車運転過失致死傷罪が制定された

そこで平成19年に「自動車運転過失致死傷罪」が刑法内に定められ、厳罰化されたのです。自動車運転過失致死傷罪の量刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。さらにその後平成26年には「自動車運転処罰法」が制定されます。

自動車運転処罰法では自動車運転過失致死傷罪を『過失運転致死傷罪』として引き継ぐとともに、故意による事件や悪質極まりない事件に対して適用する「危険運転致死傷罪」も定められています。

これにより致傷事故は“危険運転致傷罪“として15年以下の懲役、致死事故は“危険運転致死罪”として1年以上の懲役刑に処せられるようになりました。

危険運転致死傷罪に問われるのは、具体的には以下のような状態で人を致死傷させる自動車事故を起こした場合です。

  • アルコールや薬物の摂取により自動車を正常に制御できない状態にあった場合
  • 制御困難に陥るほどのスピードで自動車運転をしていた場合
  • 人や他人の車の通行を妨害する目的で、危険な速度で接近したり割り込みをしたりしていた場合
  • 危険な速度で赤信号をわざと無視するなどしていた場合
ワンポイントアドバイス
ここ数年で事故を起こした場合の罰則が以前と比較して重くなりました。これは事故を起こした場合、自分自身が被る不利益が大きくなったことを意味します。事故を起こした場合の罰則強化がドライバーの安全運転意識の向上に繋がったと言えます。

交通事故を減らすために知っておきたいこと

交通事故をゼロにすることはできませんが、発生件数が少なくなるよう努力することはできます。
交通事故が減らすため、またできる限り起こさないために知っておきたいことを解説します。

譲り合う心構えが事故を減らす

交通事故ではほとんどの場合、双方に何らかの過失があります。つまり、これはどちらかがより注意深く、また余裕を持って運転をすれば事故が起きる可能性はぐっと下がることを意味します。ですから、互いに譲り合いの精神持つことが重要なのです。

イライラしているときや急いでいるときは特に注意

むしゃくしゃしているとき、焦っているときなどは誰でも運転が荒くなりがちで、見落としや判断の遅れなども起きやすいです。そして、事故に繋がります。

ですから、そんなときこそ意識してゆったりと構え、落ち着いて運転することが重要なのです。

一人一人が交通ルールをきちんとまもる意識が大切

加えて、言わずもがな個人がきちんと交通ルールに則って、常に注意深く運転することが事故を減らすためには大切です。

ベテランドライバーが起こす事故も少なくない

ペーパードライバーや初心者マークを付つけている経験の浅い運転手ほど、事故を起こしやすいと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

ベテランドライバーは「自分は事故を起こさない」とついつい慢心し、省略運転をしてしまいがちです。そして、それが事故に繋がるケースが少なくないのです。

初心を忘れず安全運転を心がけよう

例えば、左折時には“巻き込み確認”、つまり左側方の確認をすることは基本中の基本です。

免許を取得したばかりの頃は教習所で教わったこうしたルールをきちんと守っていても、慣れてくると確認行動を省いてしまいがちです。

慢心が事故を招くことをしっかりと頭に入れ、慣れていても手順を踏んで集中して運転するようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
交通事故を増やさないためには慢心が事故を招くことを各人がしっかりと頭に入れて運転するようにすることが大切です。

交通事故を減らすためには、安全運転を心がけることが大切

結局のところ、個人個人が交通ルールを順守し、常に安全運転を心がけることが大切です。事故を完全になくすことはできませんが、すべてのドライバーが安全運転を心がけることができれば事故は減少するに違いありません。

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