2018/11/16 30view

交通事故の過失割合が10対0になるケース

この記事で分かること
  1. 交通事故では「過失相殺」により、被害者の過失割合に応じて損害賠償金が減額される。
  2. 過失割合10対0の事故でも、修正要素により被害者が過失を負うことがある。
  3. 過失割合10対0の被害者は、保険会社が示談交渉を代行できないことに注意。

交通事故において過失割合が10対0となるケースは、信号無視や駐停車追突などに限られます。これらの基本的なケースと、過失相殺という考え方を押さえましょう。

交通事故における「過失割合」とは

過失割合とは、交通事故が起こった際にお互いにどれくらいの過失があるのかを指すもので、損害賠償の額を決定するときに必要です。まずは、交通事故の損害賠償を決める際の「過失相殺」という考え方を押さえましょう。

「過失相殺」とは

交通事故における過失相殺とは、加害者だけでなく被害者の側にも事故に対して負う責任があった場合、つまり、被害者側にも何らかの不注意があったと判断される場合に、損害賠償から被害者の不注意の分を差し引くという考え方です。

交通事故では、特にどちらの車両も動いているケースなど、どちらかの一方的な過失と判断されるケースはまれです。事故があったときに、その原因として被害者側にも不注意があったとすれば、相手方が加入する保険会社から支払われる損害賠償金は、被害者側の過失の程度に応じて差し引かれることになります。

「過失割合」とは

過失割合とは、わかりやすくいうと、交通事故に対する加害者と被害者それぞれの責任の大きさのことです。たとえば、過失割合が(加害者):(被害者)=8:2となった場合、その事故に対して被害者側にも全体の2割の責任が問われます。

仮に、被害者側にまったく責任がなかったときの損害賠償の全額を1,000万円だったとします。このとき、(加害者):(被害者)=8:2の過失割合では、相手方保険会社から被害者に支払われる損害賠償金額は、満額から被害者自身の過失分の200万円を差し引いた800万円となります。

ワンポイントアドバイス
被害者側にまったく非のない交通事故の場合は、(加害者):(被害者)=10:0の過失割合となり、この場合は被害者側がその事故に対して負うべき責任はなかったものと判断されます。

過失割合が10対0になる交通事故の事例

交通事故の過失割合は、過去の裁判例を基本として、それぞれが加入する保険会社が決定します。そのため、過失割合が10対0となるケース、つまり被害者側にまったく過失のないケースは、次に挙げるようにある程度決まっているといえます。

【1】横断歩道での交通事故

横断歩道での交通事故で過失割合が10対0となる事例はまず、信号機が設置されているかどうかで分けて考えます。

信号機設置ありの横断歩道の場合

以下のようなケースで自動車が横断歩道に進入し、横断中の歩行者と接触して事故を起こした場合の過失割合は(自動車):(歩行者)=10:0となり、歩行者の過失は0となります。

  • 歩行者が青信号のときに横断歩道に進入し、自動車が赤信号にもかかわらず横断歩道を直進
  • 歩行者が青信号のときに横断歩道に進入し、自動車が青信号で右左折のため横断歩道に進入
  • 歩行者の横断途中に赤信号になった(横断開始は青信号のとき)が、自動車が赤信号で横断歩道を直進

信号機設置なしの横断歩道の場合

信号機の設置がない横断歩道の場合でも、歩行者が横断中に車が横断歩道へ進入して事故を起こしたならば、(自動車):(歩行者)=10:0となります。ただし、歩行者が横断歩道の付近を横断したときなど、横断歩道上ではないところでの事故の場合は、歩行者の過失割合は0にはなりません。

ちなみに、自転車はある程度保護の対象であるものの、“軽車両”であるため、交通事故を起こした際には自動車と同じ扱いになります。

【2】信号機のある交差点での交通事故

信号機のある交差点で交通事故を起こした場合、赤信号で交差点に進入した側が一方的に責任を負うため、青信号で交差点に進入した側の車両などの過失割合は0となります。青信号での交差点の進入には、右矢印の青信号による右折も含まれます。

【3】信号機のない交差点での交通事故

信号機の設置されていない交差点では、双方に注意義務があると考えられることから、明らかに一方の過失割合が0となるケースはほとんどありません。ただし、軽車両である自転車が道路を直進しており、その自転車を自動車が後方から追い越して左折した際に自転車を巻き込んだ場合は、(自動車):(自転車)=10:0の過失割合となり、自動車が全面的な責任を負うことになります。

【4】その他の交通事故

その他、過失割合が10:0となる交通事故の事例は次のとおりです。

駐停車車両への追突

駐停車中の車両に対して追突事故を起こした場合は、追突した側が100%の責任を負い、追突された側の過失は0となります。たとえば、路肩に駐停車している車に誤って突っ込んだ場合などがこれにあたります。

その他、前方で赤信号のため止まっている車両に追突した、前方で急ブレーキを踏んだ車両に追突した、などのケースも含まれます。前方車両の急ブレーキが危機回避のためにやむを得ないものであれば、十分な車間距離をとっていなかった後方の車両が100%責任を負うことになってしまうのです。

センターラインオーバー

過失割合が10:0になる交通事故の事例として意外にも多いのが、センターラインを割って対向車線に進入し、対向車に衝突するケースです。この場合、センターラインをオーバーしたほうが事故に対して全面的に責任を負うことになります。

路肩に停車中の車両や乗客が乗降中のバスをよけて進む、バイクや自転車を追い越すなど、運転中にセンターラインを越えてしまう状況は頻繁に起こります。無理な追い越しで対向車にぶつかってしまった場合、加害者の過失は100%になってしまうのですから、常にしっかりと周囲の状況をうかがって、慎重な運転を心掛けなければなりません。

過失割合の「修正要素」について

過失割合を決定する際は過去の裁判例を参考にするため、このように10:0となるケースはある程度決まっています。しかし、事故に至った経緯やそのときの状況などは個々に異なるものですから、それらを考慮しなければ、正しく損害賠償が支払われないことにもなりかねません。

そこで、裁判例に則って基本的な過失割合を算出した後に、修正要素を加味し、それぞれの過失を増やしたり減らしたりすることがあります。修正要素にはたとえば、次のようなものがあります。

  • 夜間の運転
  • 道路の広さ
  • 見通しのよさ
  • 警笛の有無
  • 歩行者の年齢(幼児・児童・老人はより保護されるべきものと判断されます)
  • 運転者の過失の重さ(飲酒・無免許運転、30km以上の速度違反などは、重過失として過失割合の加算対象です)

など

修正要素による加算・減算の割合は5~20%であり、修正要素を加味することにより、上記のケースに当てはまっても過失割合が10:0とならない場合もあります。

ワンポイントアドバイス
どのようなケースで過失割合が10:0になるかは一概にはいえず、個々の状況により判断されるといえます。そのため、相手方保険会社の提示する過失割合に納得が行かない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

過失割合が10対0(無過失)となる交通事故の注意点

過失割合が10対0になるということはつまり、被害者側には負うべき責任がないということです。この場合、損害賠償として満額を受け取れることになるため、被害者側にはメリットになるように思えるかもしれません。しかし、一方が無過失の交通事故においては、被害者側は以下の点に注意する必要があります。

無過失側は自分で示談交渉を行わなければならない

交通事故では、被害者側にも何らかの過失があるケースが多いものです。この場合は、加害者側と被害者側のそれぞれが加入する保険会社の担当員が交渉を行うため、過失割合の決定に際して、加害者自身・被害者自身が直接示談に関わる必要はありません。

しかし、被害者側の過失が0だった場合は、被害者の加入する保険から損害を補てんする必要がないため、被害者側の保険会社は代わりに示談交渉を行ってくれません。つまり、無過失の交通事故では、被害者自身が、加害者側が加入する保険会社の担当員と示談交渉を行わなければならないのです。

相手方保険会社の担当員は、少しでも損害賠償金の支払いを少なくするため、被害者の過失を主張してくることがあります。相手方保険会社の担当員は実績を積んだプロの交渉人ですから、法律の知識を持たない一般の方では、不利な条件で示談に納得せざるを得ない状況に追い込まれるケースが少なくないのです。

ワンポイントアドバイス
一度示談書にサインをしてしまうと、納得がいかないからといって後から決定を覆すことは、法律のプロである弁護士でも難しいといわざるを得ません。困ったときには、示談書にサインする前に弁護士へ相談してください。

過失割合が10対0の交通事故は弁護士へ依頼

無過失の交通事故の場合、本来ならばしっかりと守られるべき立場の被害者こそ窮地に立たされることがあります。「明らかに相手が100%悪いのに、自身の過失を主張された」「相手方保険会社の提示する賠償額に納得ができない」というときは、たとえ相手が示談を急いでいても、応じる必要はありません。示談書にサインする前に、交通事故を専門に取り扱う弁護士などへご相談ください。

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