閉じる

3,738view

交通事故の過失割合が10対0になるケース

この記事で分かること

  • 歩行者側が青信号時に起きた事故は、10対0で自動車が責任を負う
  • バイク対車の場合、交差点で赤信号を直進または右折した側が10対0の責任を負う
  • 車同士の事故の場合、赤信号で進んだ車が10対0で責任を負う
  • 無過失だと自身の加入する任意保険は利用できない
  • 弁護士に相談することで、①交渉を任せられる、②適切な賠償額が手に入る、③被害者に有利な結果を得られやすくなる
  • 弁護士特約なら、300万円まで弁護士費用がタダになる

赤信号で交差点を直進するなどの明らかな交通違反がある場合、過失割合は10対0になることがあります。この場合、無過失の被害者は自身が加入する任意保険の示談交渉サービスを利用できません。しかし、弁護士特約を利用すれば、タダで弁護士に示談交渉を依頼できる可能性があります。

交通事故で過失割合が10対0になるケース

交通事故は通常どちらにも非があることが多いといわれていますが、中には過失割合が10対0になるケースもあります。まずは、どのようなケースで過失割合が10:0になるのかを確認しておきましょう。ここでは、自動車対歩行者、自動車対二輪車、自動車対自動車の3つのケースをご説明します。

自動車×歩行者の事故の場合

まずは自動車対歩行者の事故を見ていきましょう。原則として、歩行者と車の事故の場合は、歩行者にとっては有利な過失割合となります。自動車と歩行者の事故では、以下が10対0の過失割合となります。

  • 歩行者側が青信号の場合に起きた事故
  • 信号機の設置されていない横断歩道上の事故
  • 車が右折時に歩行者信号が赤に変わってしまった事故

歩行者側が青信号の場合に起きた事故

まず、道路交通法上の基本的なルールを覚えておきましょう。道路交通法上、横断歩道は絶対的に歩行者優先です。そのため、歩行者信号が青の間に起きた事故は車が100%の責任を負います。

信号機の設置されていない横断歩道上の事故

信号機の設置されていない場所での事故に関しても、歩行者優先が適用されます。そのため、車の過失割合が10となります。

車が右折時に歩行者信号が赤に変わってしまった事故

歩行者が青で横断歩道を渡るとき、車が右折してくるケースがあります。このとき、車も青であったとしても、歩行者優先のルールから車の過失割合は10となります。歩行中に信号が赤に変わった場合でも同様です。

自動車×二輪車(バイク・原付)の事故

自動車と二輪車(大型バイクや原付バイクなど)の事故に関しては、基本的に自動車の方が過失割合が高くなります。しかし、赤信号で進行するなど、明らかな道路交通法違反バイクに落ち度がある場合は過失割合が10:0となるケースがあります。具体的には、以下のようなケースです。

  • 交差点で赤信号で直進または右折した場合の事故
  • 対向車両のどちらかがセンターオーバーした事故
  • 駐停車している自動車に二輪車が追突した場合

交差点で赤信号で直進または右折した場合の事故

交差点内で赤信号で直進した自動車または二輪車は過失割合が100%となります。これは、交差点内で赤信号であるのに、右折した場合も同様です。

対向車両のどちらかがセンターオーバーした事故

対向車両のどちらかが中央線をはみ出す事故のことをセンターオーバーといいます。センターオーバーにより事故を起こした場合は、はみ出した車両が10の過失割合を負うことになります。

駐停車している自動車に二輪車が追突した場合

駐停車している自動車にバイクや単車などの二輪車が追突した場合は、二輪車の過失割合も10対0の過失責任です。駐停車禁止の場所でない限り、駐停車中の自動車に過失があるとはいえないためです。

自動車×自動車の事故の場合

自動車同士の事故では、道路交通法違反がある車両の過失割合が高くなります。通常は、どちらにも前方不注意などの違反があるため、過失割合が8:2や6:4などとなることが多いですが、まれに10:0の過失割合となることがあります。過失割合が10:0となるケースとしては、以下が挙げられます。

  • 赤信号で直進・右折した事故
  • 対向車両のどちらかがセンターオーバーした事故
  • 路肩に駐停車した車両に追突した事故

赤信号で直進・右折した事故

信号機がある交差点内の事故は、赤信号で進行した場合は100%責任を負うことになります。つまり、赤信号で進行した車両が過失割合10となります。信号機がない場合は過失割合が10:0となることはありません。

対向車両のどちらかがセンターオーバーした事故

対向車両のどちらかがセンターオーバーした場合は、中央線をはみ出した車両の方が過失割合10となります。

路肩に駐停車した車両に追突した事故

路肩に駐停車した自動車に追突した場合、追突した自動車が10の過失割合です。

ワンポイントアドバイス
過失割合が10対0となるのは交通事故では少ないケースであり、少しでも不注意があれば歩行者対自動車の事故でも過失が認定されます。例えば、青信号が点滅しているときに、歩行者が交差点を渡り車と事故にあえば、歩行者は1割の責任を負うのです。不安がある場合は、弁護士に確認してみましょう。

過失割合が10対0の場合、任意保険は使えない

過失割合が10:0の交通事故の被害に遭った場合、被害者はどのように対応すれば良いのでしょうか。過失割合と任意保険の仕組みについてご説明します。

無過失だと自分の保険は利用できない

交通事故が起きた場合、警察や病院に連絡するのはもちろんですが、保険会社にもすぐに連絡するのが通常の流れでしょう。ご自身が加入する任意保険会社を通して相手方との示談交渉をまとめていくのが一般的です。しかし、交通事故後に、ご自身が無過失だと判明した場合、ご自身が加入する任意保険会社はあなたの代理で示談交渉を行ってはくれません。

その理由は、当該事故に関して保険会社が負担を負うことは一切ないためです。任意保険会社は、加入者から事故が起きた場合の保障を行う契約をしていますが、この中に示談交渉支援サービスが含まれています。ただし、これは加入者が事故に対し責任を負う場合、つまり事故に対し損害賠償金を支払わなければいけない場合にのみ対応しているのです。

加入者の過失割合が10:0という場合はもちろん、2:10などの加入者の過失割合が低い場合も任意保険会社は対応します。しかし、被保険者の過失割合が0という場合は、損害賠償などの保障をする余地がないため、示談交渉サービスも行わないという結果になってしまうのです。

この場合被害者としては、ご自身で相手方あるいは相手方の加入する任意保険会社の担当者と直接交渉をしなければいけません。

相手方が過失を主張してくる可能性も

先にご紹介したような事例での事故の場合、過失割合は10対0となるため、被害者であるあなたに責任はありません。しかし、相手方の任意保険会社が「あなたにも過失があった」と主張してくる可能性があります。

相手方の任意保険会社としては、少しでも損害賠償額を低くしたいと考えています。なぜなら、任意保険会社も営利企業であるため、できる限りコストを下げるように努力するためです。例えば、後遺障害が残るような大きな事故であった場合や死亡事故の場合、損害賠償額は数千万円以上となることもあります。損害賠償額の支払いが大きくなることを極力抑えるため、被害者側にも過失があったのではないかと主張するケースがあるのです。

被害者が個人で示談交渉に応じている場合は、情報格差などもあり相手の主張を鵜呑みにしてしまいがちです。過失割合が0の場合は、交渉に負けずにこちらに責任はない、無過失であることを主張し続けることが大切です。

被害者が無過失を証明することは難しい

交通事故の過失割合が10:0であることが明らかだと考えていても、相手方が執拗にこちらの過失を主張してくる可能性はあります。この場合、どのように対応するのがベストなのでしょうか。

この場合は、ご自身でできる範囲で無過失の証拠を提示することが一番です。例えば、自動車にドライブレコーダーがついていた場合は、ドライブレコーダーの内容を確認して自身が無過失であることを証明することができます。これ以外でも、事故時の周囲の目撃証言や実況見分調書、車の破損状況などから無過失を証明することが可能です。

もっとも、法律や交通事故に詳しくない場合、プロである任意保険会社の担当者を説得することはなかなか難しいといえます。なぜなら、無過失の証明は、交通事故や過失割合に関する知識や交渉に関するノウハウなどが必要になってくるためです。通常、一般の被害者はこのような知識やノウハウなどを持ち合わせていないため、1人で有利に交渉を進めていくのはかなり難しいといえます。

このように、過失割合が10:0の場合、交通事故被害者は任意保険会社を頼ることができないという問題が発生します。事故で怪我を負っている場合は、治療を続けながら同時に交渉も進めていかなければいけないという困難な状況に陥ってしまいます。

ワンポイントアドバイス
過失割合は、事故時に警察が教えてくれるものではありません。事故の状況を調査して、あとから保険会社が算定するのが一般的です。交通事故が起きた後は、自身に過失がないと自己判断できる場合でも、念のためご自身が加入する任意保険会社に連絡してみましょう。

過失割合10対0の交通事故を弁護士に相談すべき理由

過失割合10対0の交通事故被害者は、あまり有利とはいえない状況に追い込まれることがあります。しかし、弁護士に相談すればご自身で交渉することなく、示談交渉を進めていくことが可能です。そこで、過失割合10対0の被害者が弁護士に相談すべき理由3つをご説明します。

示談交渉を任せられるため負担がなくなる

過失割合が10対0の被害者の場合、任意保険会社に示談交渉をお願いすることはできませんが、ご自身で弁護士に示談交渉を任せることは可能です。示談交渉を代行してもらうことにより、被害者にはさまざまなメリットがあります。

まず手続きを全て任せられるため、負担がないということです。被害者が相手方のプロの任意保険担当者交渉を続けていくのは大変です。被害者に対して好意的な任意保険会社であれば、それほど問題なく話が進むことも多いかもしれません。

しかし、相手方が被害者にも過失があったことを主張してくると交渉が長くなってしまい、損害賠償金を受け取る時期も遅くなってしまいます。この点、弁護士に任せれば任意保険会社とのやり取り全てを任せることができるので安心です。知識格差もないため、安心して任せられます。

示談交渉を任せることで、治療や日常生活に専念できるため、事故のストレスも軽減されるでしょう。また、弁護士に任せておけば、交渉下手により損害賠償額が減るという事態も防げます。被害者側の過失を主張してきても、適切に反論し対処することができるため、損害賠償額が減少することを防ぐことができるのです。

適正な損害賠償額を請求できる

任意保険会社の担当者が提示してきた損害賠償額に納得できないというケースもあるでしょう。この場合、弁護士に依頼すれば賠償額を大幅にアップさせることができます。

なぜなら、交通事故の慰謝料については、3つの計算基準が存在するためです。具体的には、自賠責基準、任意保険会社基準、弁護士基準です。

自賠責基準は、自賠責保険会社が規定する基準であり、交通事故の慰謝料額を判断する際のベースのとなる基準です。その次にあるのが、任意保険会社基準です。任意保険会社基準は、慰謝料算定の際に参考にする表であり、任意保険会社が独自定めたものです。

最後に弁護士基準ですが、これは裁判基準とも呼ばれ交通事故の裁判が起きたときに用いられている基準となります。慰謝料額に関しては、自賠責基準、任意保険会社基準、弁護士基準の順に高額となっていきます。

弁護士に依頼した場合、弁護士基準での慰謝料算定となるため、基準が変わり慰謝料を増額することが可能となるのです。任意保険会社が提示する慰謝料額は、任意保険会社基準で算定されたものであるため、本来被害者が受け取るべき適正金額よりも低い額に設定されています。慰謝料を増額したい、適正な金額を受け取りたい、と考えるなら弁護士に依頼すべきです。

過失割合10対0は被害者に有利

過失割合が10対0の場合、被害者にとっては有利な状況といえます。なぜなら、当該事故全ての損害について損害賠償請求をすることができるためです。

例えば8:2や6:4などの過失割合の場合、当該事故全体の損害に対し、被害者にも一定程度の責任があります。この場合、全体の損害賠償額から被害者の過失に相当する額が差し引かれてしまうため、受け取れる損害賠償額は少なくなってしまいます。しかし、過失和割合が10対0の場合は、差し引かれることがないため、全額受け取れるという点で有利なのです。

また過失があるケースの場合、過失割合で相手方と揉めてしまうことも多いといえます。他方、過失割合が10対0の場合は、相手が赤信号で走行してきたなど過失が明らかであるケースが多いため、相手方の保険会社も被害者の弁護士に対し反論しづらい状況があるといえるのです。

このように、過失割合が10対0の場合は、被害者が有利です。弁護士に示談交渉を任せれば、不必要な反論を防ぐこともできるため、弁護士に依頼することには大きなメリットがあります。

ワンポイントアドバイス
相手方の任意保険会社が被害者の過失を主張してきたら、弁護士に相談するべきです。無過失に自信があり、被害者だけでも対応できると考える方が多いですが、示談成立まで時間がかかり心身ともに疲弊してしまう方もいます。交渉が進まない場合は、できるだけ早めに専門家である弁護士に相談するべきです。

弁護士費用特約があれば、費用ゼロの可能性も!

弁護士に依頼するとなると、心配になるのは弁護士費用です。しかし、弁護士特約があれば、弁護士費用が0になるケースもあります。弁護士特約の内容やメリット、適用範囲をご説明します。

弁護士特約なら、弁護士費用を最大300万円まで保障

弁護士特約とは、自動車保険などの任意保険契約に付帯しているオプションであり、被保険者が交通事故に遭った際に、当該事故に関わる弁護士費用等を保障するものです。弁護士特約は、300万円を限度として示談交渉等に関わる着手金、報酬金などの弁護士費用をカバーできます。また、法律相談については、1つの事故につき10万円を限度に相談料を支払ってもらえます。保険会社によって内容が変わることもありますが、多くはご説明した金額が保障されています。

弁護士特約は、過失割合が10対0で被害者が無過失のケースでも利用できるため、弁護士費用を実質0円です。無過失の事故で弁護士に依頼したい場合には、弁護士特約を利用すれば、被害者の負担なく弁護士によるサポートを受けることができます。弁護契約している任意保険の内容を一度確認してみると良いでしょう。

弁護士特約を利用するメリット

弁護士特約を利用するメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

  • 弁護士費用負担がないこと
  • 弁護士は自分で選べる
  • 利用しても保険等級は下がらない

以下、それぞれを詳しく見ていきましょう。

弁護士費用負担がないこと

ご自身で弁護士に依頼するとなると、敷居の高さを感じる方もいらっしゃいます。特に費用面の負担が気になり、弁護士に依頼することで「最終的に受け取れる金額が少なくなるのでは?」と不安になるでしょう。

弁護士特約を利用すればこのような心配は無用です。弁護士費用特約には300万円までという限度額が設定されていますが、ほとんどの交通事故案件ではこの範囲内の費用で収まります。仮にこれ以上かかる場合でも、その場合は必ず弁護士から費用に関する相談をされるので、安心して利用できます。

弁護士は自分で選べる

弁護士特約によって弁護士への相談・依頼は0円でできますが、「弁護士は選べないのでは?」と不安に感じている方も多いでしょう。

実際のところ、弁護士や法律事務所は自分で選ぶことが可能です。ご自身で探した法律事務所や弁護士に相談に行き、そのときに弁護士特約を利用したい旨を告げるだけとなります。保険会社が選んだ弁護士しか利用できないわけではないので、ご自身が信頼できる弁護士に自由に依頼できるのも利点の1つです。

利用しても保険等級は下がらない

弁護士特約を利用するの際に気になるのが、保険の等級です。自動車保険に付帯している特約なので、利用すれば等級が下がってしまうと考えている方は多いのではないでしょうか。

実際のところ、等級は下がりません。そのため、翌年の保険料の心配をする必要もないのです。

親族の事故や歩行中の事故でも利用可能

弁護士特約の適用範囲は契約者本人だけではありません。そのため、家族が保険契約しているというケースでも利用できる場合があります。

具体的には、被保険者、配偶者、同居の親族、別居している未婚の子(大学生で1人くらいしているケースなど)、同乗者、契約車両の所有者などに適用されます。また、自動車に乗っている際の事故だけでなく、歩行中に自動車事故にあったケースや、自転車事故、バスに乗っている際の事故などにも対応しています。

皆さんが「利用できないかも?」と考えているケースでも、実際は利用できるケースがあるため、一度利用できるかわからない場合は保険会社に確認してみるのが良いでしょう。

ワンポイントアドバイス
「弁護士特約なんて付けた記憶がない」という方も、お手持ちの保険証書をぜひ確認してみてください。最近では、自動車の任意保険のプランに自動的に付帯しているケースも非常に多いためです。弁護士特約という名称だけでなく、弁護士費用特約、弁護士費用補償特約、自動車事故弁護士費用特約という名称で記載されていることもあります。

過失割合10対0の交通事故は、弁護士にご相談を

過失割合が10:0の交通事故の場合、任意保険会社が介入してくれないため、被害者は示談交渉などで損をする可能性があります。弁護士に示談交渉を任せてしまえば、被害者は治療に専念できるだけでなく、損害賠償額で損をすることもなく適切な賠償額を受け取ることができます。

過失割合が10対0で示談交渉がなかなか進まないという場合は、早い段階で弁護士に相談しましょう。ご相談の際は、弁護士特約が付帯していないかを先に確認してみることをおすすめします。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
  • 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
  • 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
  • 適正な後遺障害認定を受けたい
  • 交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談