認知症の家族が契約を!? 解約できるケースと詐欺への対処法を解説!

この記事で分かること
  1. 判断能力がないことを理由に契約解除することは可能
  2. 無条件に契約解除できるクーリングオフ期間内にすみやかに対応を
  3. 認知症と分かればすぐに成年後見制度などによるサポートを受けることも大切

家族に認知症患者がいる場合、その患者が家族も知らないうちに高額な商品やサービスの契約をさせられているケースが後を絶ちません。判断能力が低下した高齢者を詐欺から守るための対策方法がいろいろ用意されています。

認知症患者が結んだ契約を家族が解約できるケースとは

家族に認知症患者がいる場合、家族の知らないうちにその患者一人で高価な商品やサービスを購入する契約を結んでしまうケースが多くあります。認知症患者は判断力が低下しているため、自分でもよくわからないまま契約を結ばされているケースも少なくありません。

高齢者の消費者被害が増加

認知症とまではいかないまでも、判断能力が低下している高齢者は悪徳業者の標的になりやすいと言えます。それを証拠に、消費生活センターには高齢者を家族に持つ人からの消費者被害相談があとを絶ちません。

消費生活センタ―には年間20万件近い相談

消費生活センターに寄せられる契約当事者が70歳以上の相談件数は、年間で20万件近くにのぼります。認知症などの高齢者に関する相談も、2015年度で8,826件と9,000件近い数字です。2013年度の1万件超をピークに減少しているものの、依然として高水準であるのがわかります。

高齢者の孤独感につけ込む悪徳業者

一人暮らしの高齢者の場合、孤独を感じている人は多く、親切に何度も電話や訪問をしてくれる業者にしだいに好意を持つようになります。悪徳業者はそこにつけこんで高額な商品やサービスの契約をさせるのです

認知症患者の家族が契約を解約できるケース

認知症などで判断能力が低下した人が単独で行った契約を、その家族が解約可能な場合があります。解約できるケースは以下の2つです。

意思能力が欠けている場合

自分でしたことの結果の良し悪しが判断できる能力を「意思能力」と言いますが、この意思能力に欠ける認知症の患者が交わした契約は無効であるとされています。そのため、家族が契約を取り消して、商品を返還することで支払った代金の返還を請求できます。

クーリングオフ期間内である場合

クーリングオフ期間なら無条件に解約することが可能となっています。そのため、異変に気づいたら速やかに業者に解約を申し出るか、あるいは最寄りの消費生活センターや法律のプロである弁護士に相談しましょう。商品やサービスの種類によってクーリングオフ期間の日数は異なるので注意が必要です。

ワンポイントアドバイス
万が一、認知症の患者が何かの契約を結ばされたときは、判断能力がないことを主張して契約解除することができます。また、クーリングオフ期間内であれば無条件で契約解除可能なため、期限に間に合うように周りの人が迅速に対応することが求められます。

認知症で契約してしまった!解約したいときの成年後見制度と任意後見制度

認知症の高齢者に限らず、精神疾患などのために判断能力が低下している人を保護するために「成年後見制度」と「任意後見制度」の制度が法律上設けられています。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や知的障害などの精神上の障害があって判断能力が不十分な人が経済的不利益を被らないようにするための制度です。家庭裁判所に申立てをすることで、その人が売買契約などの法律行為を行うときに補佐する人をつけてもらうことができます。

家庭裁判所への申立て

成年後見制度を利用するには、まず申立権者が家庭裁判所に申立てをおこないます。申立権者となれるのは、利用者本人のほかに配偶者、4親等以内の親族、検察官、市町村長があげられます。

成年後見制度のメリット

成年後見制度の利用開始後は、後見人は本人がした契約などの法律行為を無条件に取り消すことができます。そのため、代金支払いを免れたり、支払った代金を取り戻すことも可能です。後見人がキャッシュカードや通帳を保管すれば、振り込め詐欺被害の防止にもつながります。

成年後見制度の注意点

成年後見制度は本人にとって非常にメリットが多いものではありますが、この制度を利用するにあたり注意しておかなければならない点があります。それは何でしょうか?

後見開始前の行為については取消が認められない

成年後見開始前に本人が行った法律については、無条件に取消権が認められるわけではありません。しかし、判断能力がなかったことを理由に契約の無効を主張することはできます。後見開始時に近い時期に認知症などの診断を受けた診断書があれば立証がしやすくなるでしょう。

食料品や日用品の買い物などは対象外

食料品や衣料品などの日用品を購入する行為については、成年後見人にも取り消すことができません。何か問題があっても本人への不利益は小さく、また本人の自己決定を尊重することも狙いとしてあるからです。

任意後見制度とは

任意後見制度とは、今はまだ本人が自分で何でも判断できるものの、将来認知症などによって判断能力を失ったときのために、後見人になる人を決めて事前に後見人の契約を結んでおく制度です。

任意後見制度のメリット

自分が選んだ後見人と任意後見契約をあらかじめ結んでおけば、実際に本人が判断能力を失ったときに、任意後見人が家庭裁判所に後見監督人の選任を申し立ててすぐに後見開始することが可能です。また、家庭裁判所が選んだ任意後見監督人が任意後見人の仕事ぶりをチェックする機能を果たします。

任意後見制度のデメリット

任意後見人には、本人がした売買契約などの法律行為の取消権はありません。また、財産管理委任契約に比べて迅速性に劣るのがこの制度のデメリットであると言えます。

ワンポイントアドバイス
認知症などにより判断能力が低下したときには、すみやかに家庭裁判所に成年後見制度の利用を申し立てましょう。ただ、後見開始前になされた契約に関しては解除できないこともあるので注意が必要です。

認知症の家族がいる場合の詐欺への対処法-契約を解約したい

認知症の家族がいる場合、いろいろな手口の詐欺に遭わないかと心配になるでしょう。振り込め詐欺やオレオレ詐欺を中心に、最近ではいろいろ手口が巧妙化してきています。

契約を未然に防ぐ―事前にできること

詐欺被害を未然に防ぐことができれば、それに越したことはありません。普段のちょっとした心がけで、悪徳業者に狙われにくくすることもできます。では、どのような対策をすればよいのでしょうか。

まめに様子をうかがう

認知症の家族が一人暮らしをしている場合は、近距離に住んでいればなるべくまめに訪問するようにしましょう。遠方の場合でも、まめに電話をして様子をうかがうことが大切です。

留守電機能を活用する

電話のセールスによって詐欺被害に遭うケースも多発しています。そのため、電話に出ないことが詐欺被害の防止策になります。電話の留守電機能を使い、必要な場合のみ折り返しするようにします。

一人で留守番をさせない

詐欺をはたらく悪徳業者は、お年寄りが一人で家にいるときを狙っています。出かけるときはヘルパー・デイサービスを利用するなどして、認知症の家族を一人にさせないようにしましょう。近所の方に声をかけ、怪しい人が訪問してきたらすぐ知らせてもらうようにするのも効果的です。

成年後見制度を利用

家族が認知症だとわかったら、早めに成年後見制度を利用して財産管理をしてもらうのが賢明です。申立てから後見開始までおよそ2か月かかるため、申立ては速やかに行いましょう。

契約してしまった!-事後にできること

万が一、認知症の家族が詐欺被害に遭ってしまったら、ただちに警察や金融機関などの関係機関へ連絡を取りましょう。どう対処すればよいのかわからないときは、消費生活センターや弁護士に相談し、判断を仰ぐのもひとつの方法です。

警察へ通報・口座の凍結

詐欺被害に遭ったときは、一番に警察に通報しましょう。また、金融機関へ至急連絡をとり、これ以上お金を引き出されることを防止するために口座の凍結を依頼します。

振り込め詐欺救済法

また、昨今では「振り込め詐欺救済法」による救済措置を利用することもできます。これは、一定の期限内に被害に遭ったことを申請することで、口座に残っているお金を上限として実際の被害金額相当分のお金が返ってくる制度です。

高齢者の詐欺被害を防ぐためには、日ごろから家族や近所とのコミュニケーションがどれだけとれているかがものを言います。家族が詐欺被害に遭いそう、もしくは実際に被害に遭った場合には、最寄りの消費生活センターや弁護士に協力を求めながら対処するようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
認知症の家族が詐欺などの被害に遭わないためには、電話に出させない・一人にさせないなど、事前にできる防止策はすべて打っておきます。万が一被害に遭ったときはすみやかに消費生活センターや弁護士に相談して指示をあおぎましょう。
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