2018/11/16 30view

交通事故の示談交渉を行うタイミング~事故後いつはじめるのがベスト?

この記事で分かること
  1. 物的損害の示談交渉は、修理費が確定または損保会社に全損の時価通知をされた後がベスト
  2. 人的損害の示談交渉は、怪我が治癒(完治)または症状固定した後がベスト
  3. 怪我のため至急お金が必要な場合でも、解決方法があるため示談交渉を焦る必要はない
  4. 交通事故の示談交渉をいつはじめればいいか悩んだら、弁護士に相談を!

交通事故の示談交渉をいつはじめればいいかについては、過度に焦る必要はありません。自分に有利なタイミングが来るまで示談交渉を待つことも大事ですし、怪我のために至急お金が必要な場合でも、慌てて示談せずに済む方法があります。弁護士のアドバイスを受け、納得できる解決を目指しましょう。

交通事故の示談交渉をいつはじめればいいかは、損害の内容によって変わります

交通事故の被害に遭った場合、示談交渉をいつはじめればいいのか悩む方は多いと思います。交通事故の示談交渉は、いったい、いつはじめるのがベストなのでしょうか?

その答えは、交通事故によって受けた損害の内容によって変わります。

交通事故には、

  1. 物的損害(分損の場合)
  2. 物的損害(全損の場合)
  3. 人的損害(後遺障害がない場合)
  4. 人的損害(後遺障害がある場合)

の4種類の損害がありますが、どの損害かによって、示談交渉を行うべきタイミングも変わってくるのです。

本記事では、損害の内容ごとに、交通事故の示談交渉を行うベストなタイミングについて見ていきたいと思います。

物的損害のみの交通事故の示談交渉は、いつはじめればいい?

物的損害とは、事故に遭った車両やその積み荷など、物の損害のことです。

物的損害には、

  • 分損(修理が可能で、修理費がその物の時価額の範囲内に収まる損害)
  • 全損(a.修理が不可能なほど物が壊れてしまった損害、b.修理は可能だが修理費がその物の時価額を上回る損害)

の2つがあります。

分損の場合は、修理費が確定した後

車両や積み荷が修理でき、かつ修理費がその時価額の範囲内に収まる「分損」の場合は、修理費が確定した後に示談交渉をはじめるのがベストです。
修理費が未確定なまま示談してしまうと、示談した金額よりも実際の損害額が大きいとわかったときに、後悔することになりうるからです(一度示談してしまうと、原則的にはそれを覆すことはできません)。

全損の場合は、損保会社に時価通知をされた後

修理が不可能なほど物が壊れてしまったり、修理は可能だが修理費がその物の時価額を上回る場合「全損」の場合には、損保会社に時価通知をされた後に示談交渉を始めるのがベストです。

「全損」では、車両の時価相当額を相手方に請求可能ですが、損保会社が査定した車両の時価額よりも、本来の時価が高額であると立証できる場合もあるため、損保会社から時価額を通知された後に、被害車両の時価を示す資料を揃えて示談交渉に臨むとよいでしょう。

ワンポイントアドバイス
物の損害で相手方ともめるのは、主に全損になった際です。全損において、損保会社は、「オートガイド自動車価格月報」(通称レッドブック)という本をもとに時価額の提示をしてきます。しかし、損害を受けた車両と同一車種・同年式、同程度の車両の流通価格が、損保会社提示の時価額よりも高額であることを立証できれば、その旨を認定される場合もあります。損保会社提示の時価額に納得できない場合は、交通事故を専門とする弁護士に相談するとよいでしょう。

人的損害のある交通事故の示談交渉は、いつはじめればいい?

人的損害とは、事故に遭ったことで人に発生した損害のことです。怪我の治療費や慰謝料、休業損害などが代表的です。

この人的損害のある交通事故の示談交渉は、後遺障害がない場合とある場合とで異なります。

後遺障害がない場合は、怪我が治癒(完治)した後

まず、後遺障害がない人的損害の場合は、怪我が治癒(完治)した後に示談交渉をするのがベストです。その理由は、怪我が治癒(完治)しないうちに示談してしまうと、示談した金額よりも実際の損害額が大きくなってしまう場合が多いからです。

怪我の治癒(完治)前に示談してしまうと、治療費や入通院慰謝料を充分にもらえない

怪我の治癒(完治前)に示談してしまうと、その後にやはり具合が悪くて入通院が必要となった場合でも、追加の治療費はもらえません。

また、事故の相手方に損害賠償請求できるものとして、怪我の慰謝料に当たる入通院慰謝料というものがありますが、これは治療期間に基づいて算出されるため、怪我が治癒(完治)せず通院しているような状態で示談してしまうと、この入通院慰謝料が充分にもらえないのです。

後遺障害がある場合は、症状固定した後

次に、後遺障害がある人的損害の場合は、後遺障害が症状固定した後に示談交渉をするのがベストです。

症状固定とは、事故によって負った怪我が、治療を受けてもこれ以上の回復が見込めない状態になることを言います(自分の怪我が今後も治療継続すべき状態なのか、それとも症状固定の状態にあるのかは、治療に当たった医師に確認するのがよいです)。

症状固定するまでは、上で述べた治療費と入通院慰謝料がもらえます。しかし、症状固定する前に示談してしまうと、その後に発生した治療費や本来もらえるはずの入通院慰謝料がもらえなくなってしまいます。

ワンポイントアドバイス
怪我は、治癒(完治)するか症状固定するまでじっくり治療しましょう。ただし、不必要に治療期間を長引かせてしまうと、損保会社との示談交渉や裁判などで、治療期間の全ては認めてもらえないこともあります。治療に当たった医師や交通事故に詳しい弁護士に相談しながら、治療を打ち切るタイミングについて慎重に見定めましょう。

怪我のため至急お金が必要な場合、交通事故の示談交渉はいつはじめればいい?

怪我が治癒(完治)または症状固定した後

これまで、交通事故の物的損害と人的損害で、示談交渉を行うベストなタイミングについて見てきましたが、それまで待てない、怪我のため至急お金が必要…という場合、交通事故の示談交渉はいつはじめるべきでしょうか?前述のタイミングよりも急いだほうがいいのでしょうか?

結論から言うと、前述のタイミングと同じで、怪我が治癒(完治)または症状固定した後で問題ありません。人的損害の場合には、示談締結よりも前にお金を用立てる方法があるため、慌てて示談する必要はないからです。

具体的には、損保会社に内払いをしてもらいます。それを請求するタイミングは、お金が必要で内払いを受けたいと思ったときです。手続きは簡単で、損保会社の担当者に口頭で申し入れます(書面でも可)。

内払い制度とは

内払いとは、怪我を伴う事故で治療が長引き、お金が必要な被害者のために、損保会社が示談締結に先立ってお金を支払ってくれる制度のことです。

内払いは、あくまで損保会社の任意の判断なので強制はできませんが、傷害(怪我)の損害額が自賠責保険でカバーされる120万円の範囲内であれば、比較的認められやすいです。

内容的には、

  • 治療費を医療機関に直接支払ってもらう(被害者が指定する口座にお金を支払ってもらう場合もあります)
  • もともとあった収入が事故により減少した場合の休業損害について、被害者が指定する口座にお金を支払ってもらう

ことなどができます。

休業損害の内払いは、就労形態によっては支払ってもらいにくい

休業損害は、休業損害証明書という所定の書類に、事故前3ヶ月分の給与を記載して請求します。

会社員の場合、毎月の収入が安定していて休業損害の支払い基準となる日額が算出しやすく、休業したことも会社が証明してくれるため、損保会社から内払いしてもらいやすいです。

しかし、自営業者の場合、毎月の収入が不安定なことが多く、休業損害の支払い基準となる日額を算出しにくいことや、会社員のように休業したことを証明してくれる会社がないことなどから、損保会社から内払いをしてもらいにくいことがあります。

その場合、最終手段としては、裁判所に対し「仮払仮処分の申立て」を行うことができます。内払いが損保会社の任意の判断によるのに対し、「仮払仮処分」が裁判所に認められれば、損保会社に強制的に休業損害を支払わせることができます。ただしこれは要件も厳しく、非常に高度なテクニックを必要とする手続きため、弁護士に相談することをオススメします。

内払いが難しいときには、自賠責の仮渡金制度を使うという方法も

内払いは、損保会社の担当者に口頭で申し入れするだけで対応してもらえる場合が多いため、至急お金が必要な場合にも、煩雑な手続きなく請求できます。

しかし、上述したケースのように何らかの理由で内払いをしてもらえない場合、自賠責保険における仮渡金制度を使うという方法もあります。

仮渡金制度とは

仮渡金制度とは、被害者が加害者の自賠責保険に対し直接に支払い請求をする、「被害者請求」と呼ばれる手続きの一つです。

手続きには、仮渡金支払請求書のほか事故発生状況報告書など複数の書類が必要です。

書類提出後、通常は1週間前後で、加害者の自賠責保険から仮渡金の支払いを受けることができ、死亡事故では290万円、怪我のみの傷害事故では、その程度に応じて40万円、20万円、5万円が支払われます。

ワンポイントアドバイス
至急お金が必要な場合、損保会社に内払い請求を交渉してみましょう。ただし、これは損保会社の担当者の自由裁量なため、被害者だからと言って過度に高圧的な態度に出ては、担当者の心証を悪くしてしまいます。したがって、その点は留意すべきでしょう。また、内払い交渉が難航したり、裁判所に仮払仮処分の申立てをする際には、交通事故を専門にする弁護士に相談するとスムーズに行きます。

まとめ:交通事故の示談交渉をいつはじめるかについては、過度に焦る必要なし

これまで、交通事故の示談交渉を行うベストなタイミングについて見てきましたが、もう一度整理してみましょう。

交通事故の示談交渉を行うベストなタイミングは、損害の内容によって異なり、

  • 物的損害(分損の場合)…修理費が確定した後
  • 物的損害(全損の場合)…損保会社に時価通知をされた後
  • 人的損害(後遺障害がない場合)…怪我が治癒(完治)した後
  • 人的損害(後遺障害がある場合)…症状固定した後

となります。

怪我のため至急お金が必要な場合でも、示談交渉を慌てる必要はありません。損保会社には任意の内払い制度というものがあり、被害者が内払いを受けたいと思ったときに請求をすれば、通常はお金を支払ってもらえるからです。
また、内払い制度のほかにも、仮払仮処分の申立てや、仮渡金制度など他の方法もあります。

いずれにせよ、交通事故の示談交渉をいつはじめるかについては、過度に焦る必要はないのです。

交通事故の示談交渉をいつはじめればいいか悩んだら、弁護士に相談を!

交通事故の示談交渉をいつはじめればいいかお悩みの方のなかには、損保会社から治療費の支払いを打ち切られそうだったり、「そろそろ示談交渉したい」などと言われ、焦っている方も多いかもしれません。

しかし損保会社は、言ってしまえば相手方の代理人、被害者とは利益を異にする立場ですから、自社に有利な交渉をしてくるのはある意味で当たり前です。

このような百戦錬磨の損保会社と戦うためには、交通事故に詳しい弁護士に相談してみましょう。

弁護士は交通事故の専門家

弁護士は、交通事故の専門家です。
交通事故を専門としている弁護士は、本記事で述べた全損時の時価額や症状固定、内払い制度、仮払仮処分、仮渡金制度にも精通しています。

したがって、相談者が焦らずに示談交渉に臨めるよう適切なアドバイスをしてくれます。

交通事故に関しては、初回相談料を無料にしている弁護士も多いですので、気構えずに弁護士に相談することをオススメします。なお、交通事故の示談交渉のタイミングは焦る必要はありませんが、弁護士への相談は早めに行うべきです。事態が進んで手遅れになってからでは、せっかくの相談も価値がなくなってしまうからです。

早いうちに弁護士のアドバイスを得て、ぜひ納得のいく解決を目指しましょう!

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
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保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
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上記に当てはまるなら弁護士に相談