2018/11/7 25view

遺産分割にも期限あり!相続権の時効に注意

この記事で分かること
  1. 相続権は時効によって消滅しない。たとえ相続人が10年後に現れても遺産分割をやり直す必要あり。
  2. 遺産分割に関わる時効は遺留分請求権と相続回復請求権
  3. 相続放棄や相続税申告のルールは時効ではなく期限

時効とは時が来ることによって権利が変動することです。相続に関わる権利の中でも時効によって消滅するものがあるので注意が必要です、さらに、時効とは関係ない手続きに対しても期限を守らなければ停滞デメリットを被ります。相続は被相続人の死を悼む暇もなく進んでいくので、可能な限り弁護士のサポートを受けてください。

相続権は遺産分割協議が終わった後も時効で消滅しない

借金の返済や損害賠償の請求、所有権の取得など、時効は多くの権利に決められています。時効は権利の行使を促進するとともに権利の上に眠るものを保護せずという思想の現れでもあります。

では、相続はどうでしょう。相続の権利も行使しなければ時効とともに消滅してしまうのでしょうか?

答えはNoです。

遺産分割請求権には時効が定められていないため、たとえ遺産分割協議から10年経って新たな相続人が現れたとしても遺産分割をやり直す必要があります。ただ、実際は処分した財産を買い戻すわけにもいかないのでお金で解決することになります。

時効のない遺産分割、こんな場合に要注意

遺産分割請求権に時効がないのでこのような場合に注意が必要です。

  • 失踪者がいる場合
  • 隠し子が認知された場合

失踪者がいる場合

音信不通者は遺産分割請求権を持ちます。ただ遺産分割協議の場にいないというだけでは相続権を奪えず、そもそも遺産分割協議をまとめるためには全員の同意が必要です。だから戸籍謄本を駆使して音信不通者を探さなくてはいけません。

しかし、戸籍謄本を取り寄せても聞き込みをしても見つからないことがあります。その場合は失踪宣言を申請しましょう。失踪宣言が認められれば失踪した人の同意なしで遺産分割できます。ただし遺産分割請求権は失われないので法定相続分はその人のために分ける必要があります。

失踪者の生存が明らかになった場合はあらかじめ分けていた財産を受け取ります。

隠し子が認知された場合

隠し子が被相続人の死後認知された場合は遺産分割請求権が生まれます。この事実に気づかなかったとしても遺産分割権はずっと残ります。相続財産を処分してしまった場合はそれに相当するお金を分け与えて解決します。

相続税の申告が必要ない場合でも遺産分割協議は行われるのでかならず被相続人の戸籍謄本を取り寄せて隠し子の有無を調べましょう。

ワンポイントアドバイス
遺産分割請求権には時効がありません。ある相続人を仲間外れにすることは論外ですが、失踪者や相続開始後に認知された人のことも忘れてはいけません。遺産分割は全員の合意なくしてまとまらず、新たな相続人が現れるたびに相続をやり直すことになりかねません。
遺産分割の注意点は複雑な家庭ほど弁護士に聞いておきたいものですね。

遺産分割に関わる時効、被相続人が持っていた権利に関わる時効

遺産分割請求権そのものには時効は設定されていないものの遺留分減殺請求権と相続回復請求権には時効が設定されています。とくに遺留分減殺請求権はよく問題となるため注意してください。

遺留分減殺請求権の時効

遺留分とは、相続人が最低限得ることのできる財産の割合です。これは法律で決められているため遺言さえも覆すことができます。

例えば一人の子に全ての遺産を渡すという遺言が遺されていた場合、ほかに兄弟姉妹がいれば不公平が生じます。もし、遺産の全てを渡す相手が相続人でさえない愛人であれば、相続人はその権利を失いかねません。

そこで相続人はそれぞれに割り当てられた遺留分を請求できる遺留分減殺請求権を持っています。この権利を奪うことは誰にもできませんが、時効に注意しましょう。

遺留分減殺請求権の時効はこのように決められています。

  • 相続の開始を知り、かつ遺留分を侵害するような贈与または遺贈が行われた事実を知ってから1年
  • 相続の開始を知らない場合でも相続の開始から10年

意外と短いので、相続の内容に納得いかないならすぐ弁護士へ相談してください。

相続回復請求権の時効

相続回復請求権とは遺産分割に相続人でない人間が参加したことによって失った財産を取り戻す権利です。たとえば虚偽の出生届や虚偽の認知によって子となった人間や無効な養子縁組によって親子関係が偽装された人間に対して相続回復請求権を行使します。

ほかには相続欠格者や相続人廃除をされた者も相続人のふりをする場合があります。相続人として法的にふさわしくない存在のことを不真正相続人と言います。

  • 本人あるいは法定代理人相続権を侵害された事実を知ってから5年
  • 相続開始から20年

ちなみに不真正相続人以外の人が相続財産に関わる財産権を侵害した場合は時効がありません。

被相続人が持っていた債権の消滅時効に要注意

被相続人が持っていた債権については相続の有無に問わず時効が計算されています。例えば誰かにお金を貸していて、その債権を受け継いだ場合は時効が来る前に請求する必要があります。

債権の消滅時効は10年です。

銀行預金も債権ですから忘れずに引き落とすか名義変更をして起きましょう。

ちなみに、被相続人が払いすぎた所得税を還付してもらう権利も債権です。被相続人が亡くなった後はその年の準確定申告をして還付を受け取りましょう。

所得税の還付については時効が5年と定められています。相続税の還付請求も5年です。それぞれ申告期限の日が起算日となっています。

贈与税の時効

生前贈与した財産は相続開始前3年以内に限り相続財産として扱われます。よって贈与税の対象ではなくなります。

したがって相続税の申告をするときにすでに支払った贈与税の還付を受けることが可能ですが、贈与税還付の時効は申告期限より6年です。

取得時効と相続

権利が消えるタイプの時効は消滅時効と呼ばれます。それに対して権利を取得するタイプの時効は取得時効と呼ばれます。

取得時効を援用すれば所有権が移るため、時効取得で得たものも相続財産となるし逆に時効取得によって被相続人が財産を失うこともあります。

不動産は必ず登記をしましょう。ちなみに、相続登記ができていない土地に対して取得時効を利用するケースがあります。所有者不明の土地は非常に多く、我が国は相続登記の義務化を検討しています。

ワンポイントアドバイス
遺産分割に関わる時効として注意すべきは遺留分減殺請求権です。相続回復請求権については行使する場面が少ないため知識として覚えておけば十分でしょう。また、忘れがちですが税金の還付請求にも時効があります。

時効ではないが遺産分割を不利にする期限

相続に関わる手続きにはそれぞれ期限があるので、こちらで紹介するものもよく覚えておきましょう。手続きの期限は権利を変動させるものではないため消滅時効でも取得時効でもありません。

相続放棄と熟慮期間

相続開始の事実を知ってから3ヶ月以内に相続人は単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを決めなくてはいけません。これを熟慮期間といい、熟慮期間のうちに何もしなければ単純承認をしたことになります。

どれだけ負債が多くても単純承認してしまえば相続を避けられません。相続放棄は早めに行いましょう。

一応、相続放棄については負債の存在を知ってから3ヶ月という期限を認めてもらうことも可能です。(過失がない場合に限ります)

相続税の申告期限

相続税の申告期限は相続開始を知った翌日から10ヶ月後です。相続税申告が遅れると延滞税や無申告税を支払うことになります。所得税の修正申告が必要になった場合にはそれに関わる税金も発生します。

相続税の計算は非常に難しいので弁護士に依頼した方が手間の面でもお金の面でも得をするでしょう。

死亡保険金の請求

死亡保険金の請求は被保険者が亡くなった翌日から3年以内です。死亡保険金は相続財産でないため遺産分割の対象にならないため受取人が全て得ることができます。

ちなみに、死亡保険金は公平性の観点から相続税の計算に含まれます。このような性質からみなし相続財産と呼ばれています。

ワンポイントアドバイス
相続に関する手続きの期限で注意すべきはやはり相続放棄でしょう。相続放棄はできるかどうかで相続人の生活が大きく変化します。相続税の申告については追徴税や修正申告の手間を考えればやはり期限内に正しく深刻するのが望ましいですね。

遺産分割は短期間で様々な意思決定を求められる。時効や期限を見逃さないよう弁護士のサポートを受けよう

遺産分割は思いの外短期間で終わらせなければいけず、自分の権利が行使できることさえ知らずに時効が完成してしまうこともよくあります。消滅時効は本来得られるはずだった権利を失わせてしまうので、そうならないように弁護士のサポートを受けましょう。

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