2018/7/31 74view

遺産分割協議とは_協議の目的と揉めないための注意ポイント

この記事で分かること
  1. 遺産分割協議は相続人全員の合意が必要
  2. 遺産分割協議がまとまらないと誰も遺産を手にできないし相続税が高くなる
  3. 相続争いを防ぐためには遺言や弁護士の仲裁がおすすめ

複数の相続人で遺産を分け合うためには遺産分割協議が必要になります。遺産分割協議は勝手な分割を防ぐために相続人全員の合意が求められ、遺産分割がまとまるまでは財産が共有関係になります。遺産相続は相続人同士の序列や人間関係、被相続人との関係に起因する相続争いが起きやすいので、可能な限り先手を打ちましょう。いざという時に頼れる弁護士がいると遺産分割協議の負担が大きく減りますよ。

遺産分割協議書は、相続の根拠となります

被相続人が亡くなった後、遺産は相続人のものになります。しかし、相続が開始したからと勝手に財産を持ち出すのはただの泥棒ですね。遺産を公平に分割し相続人の利益を守るためには遺産分割協議が必要になります。

遺産分割協議の結果は遺産分割協議書にまとめられ、相続の事実を問われた場合はこの遺産分割協議書が根拠となります。遺産分割協議書は裁判の証拠としても効力を持ちます。

遺産分割協議が必要なケースを知る

まずは遺産分割協議が必要なケースとそうでないケースを知りましょう。

相続人が複数いる時

遺産分割協議の目的は相続人同士が遺産を分けることにあります。よって相続人が1人しかいない場合は遺産分割協議のしようがないのです。

ただし、相続人が1人の場合でも相続されたことを示すために預金や不動産などの名義変更および相続税の申告は必要です。相続開始後速やかに行いましょう。

他の相続人が相続放棄をした結果として相続人が1人になった場合も遺産分割協議書が必要なくなります。

遺言書がない、または無効である時

遺言がある場合は遺言に基づいた遺産分割が行われ、遺産分割協議書を作成した後に遺言が見つかった場合も協議の結果が覆ります。

よって、遺産分割協議が有効となるのは遺言書が存在しないあるいは遺言書が何らかの理由で無効と判断された場合です。遺言書は相続人の合意なく法的効力を持たせられるためクリアすべき条件が厳しく、よく無効になります。

財産目録の不十分などにより遺産の一部が遺言書から漏れていた場合はさらに厄介で、遺言書に書かれていない遺産に関してのみ遺産分割協議を行います。

遺産分割協議をしないとこんなデメリットが…

遺産分割協議書は余程の事情がない限り作成すべきものですが、実は作成しなくても罰則がありません。ただし、遺産分割協議書を残しておかないと大きなデメリットが待っています。

名義変更ができない

相続した財産は相続人の共有となります。よって不動産や自動車、預金口座などの名義変更ができず。財産を動かす場合も相続人全ての同意が必要です。これは非常に不便で、被相続人に関わる急な出費があった時もお金を引き出しづらくなります。

名義変更をしない=本当の持ち主が守られないくらい重要な問題と捉えましょう。

遺産を勝手に処分される

本来、遺産を勝手に処分することは許されませんが仮に遺産またはそれに値する損害賠償を払ってもらうとしても誰が権利者なのかわからない状況です。つまり、遺産の正当な所有者であることを相続人は証明できないわけです。

合意をひっくり返される

契約は意思表示が大切で口約束でも成り立ちます。遺産の分割も例外ではありませんが”証拠”が無いと相続の事実を証明できません。せっかく合意した遺産分割を蒸し返されても文句が言えないのです。

相続税が高額になるかもしれない

相続税は実際に相続した遺産に合わせて負担します。ところが相続の事実を証明できるのは遺産分割協議書であるため、遺産分割協議書がないと法定相続分をそのまま受け継いだものとして相続税を払わされます。

遺産分割協議には相続人全員の参加および合意が必要です

遺産分割協議は相続人が全て参加し、全員で合意しなければいけません。しかし、全員で合意できない場合もあるのでこのようなポイントに注意しましょう。

相続人の誰かが成年後見制度を利用している場合

成年後見制度を利用している=遺産分割協議に合意できない状態です。よって認知症や知的障害の持つ方が相続人になる場合は、成年後見人等が必要になります。

成年後見人等と成年被後見人等の両方が相続人となった場合は特別代理人を立てる必要があります。いずれも家庭裁判所で申立を行います。

未成年が相続人にいる場合

未成年も一人で遺産分割協議書に合意することができません。だれとも利害関係のない第三者を特別代理人として選んでください。

相続人と連絡がつかない場合

相続人と連絡がつかない場合は戸籍で住所を辿ります。それでも行方が分からない時は失踪宣言をすればその人なしでの相続が可能です。

相続人と連絡がつくが遺産分割協議に応じてくれない場合

遺産分割協議に頑なに応じない相続人がいる場合は裁判所に申し立て、調停という形で遺産分割を行います。遺産を受け取る気が無いのであれば相続放棄をしてもらいましょう。

ワンポイントアドバイス
遺産分割協議は遺産を分ける相手がいない場合や遺言書がある場合、行いません。遺言書がある時は最優先でその有効性をはっきりさせましょう。

遺産分割協議は相続人の利益を守るため有効な判断ができない状態や相続人が欠けている状態では成立しません。遺産分割協議ができないとたくさんのデメリットがありますから念入りに準備をしておきましょう。

遺産分割協議のやり方と相続後に必要な手続き

遺産分割協議は相続人全てが集まった上で行うのがベストですが、仕事が忙しかったり住所が離れていたりで中々スケジュールを合わせられません。そのような場合は電話やメールで連絡を取り合ってOKです。

こちらでは遺産分割協議のやり方と相続後に必要な手続きを紹介します。

遺産分割協議のやり方

  1. 財産目録を作る
  2. 法定相続人を探す
  3. 遺産の分割を話し合う
  4. 遺産分割協議書を作成する

⒈財産目録を作る

相続財産を把握するために財産目録を作ります。相続財産に当たるものは多岐にわたり、被相続人の持っているものは基本的にチェックする形が望ましいです。

⒉法定相続人を探す

相続人の資格を持つものは民法によって決められています。法定相続人は被相続人の戸籍謄本から割り出せます。法定相続人の存在が分かったら住所が明らかになっている役所からその人の戸籍謄本を取り寄せます。

養子や全配偶者の子も相続人になるので注意しましょう。

⒊遺産の分割を話し合う

法定相続人と財産が明らかになったら遺産の分割について話し合います。次章で詳しく解説しますが仲の良い家族であっても財産が少なくても相続争いは起きやすいです。

⒋遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議の内容を遺産分割協議書にまとめます。財産ごとにその結果を書いていくため遺産の分け方が複雑になる程、遺産分割協議書が長くなります。遺産分割協議書は相続人の署名捺印が必要なので忘れずにおこなってください。

偽造防止のため、見開きに契印を押します。

遺産分割協議後に必要な手続き

遺産分割協議が終わったらこれらの手続きが必要になります。

相続財産の名義変更

相続財産の名義変更は速やかに行ってください。とくに不動産は登記が最も信頼できる証拠となるためいざという時のトラブルに巻き込まれやすくなります。

相続税の申告

相続税の申告は相続開始から10ヶ月以内に行いますがどうしても遺産分割協議がまとまらない時はその旨を申告して3年まで待ってもらえます。一旦、法定相続分で分けた体で相続税申告を行うのも一つの手です。

ワンポイントアドバイス
遺産分割協議は新たな財産が見つかったり新たな相続人が見つかったりするたびにやり直さなければいけません。このような事態に陥らないようきちんと調査してください。

遺産分割協議が終わった後も気を抜かず相続税の申告と財産の名義変更を速やかに行いましょう。

遺産分割協議で注意すべき相続争いを避けることはできる?

遺産分割協議で問題となるのは手続きの難しさよりも相続人同士の揉め事です。遺産分割協議が相続人の合意によって決着するということは相続人が合意できないと遺産分割がうまくいかないことを意味します。

相続争いは遺産の額に問わず発生しており、相続についての調停申立が増えていることからもその問題性が伺えます。

こちらでは遺産分割協議をする上で注意すべきポイントを紹介します。

遺産分割協議がまとまらないと調停や訴訟になる

相続争いに対して「合意がまとまらない時は法定相続分に従う」と勘違いしている方が少なくありません。残念ながら法定相続分とは裁判や調停で参考になる分け方に過ぎず、法定相続分で解決するような家族なら相続争いは起きません。

遺産分割協議がまとまらないと調停や訴訟に発展し大きなコストを費やします。このデメリットを知っておくことであらぬ揉め事を避けやすくなります。

可能な限り財産をお金に替えておく

相続争いの原因となりやすいのが不動産です。不動産は大きな価値を持つため時には相続財産の半分以上を占めることさえあります。しかし、不動産を分けることは難しいため不動産を相続した人が一方的に得をする。あるいは不動産を相続したせいで遺留分減殺請求をされ現金を失ってしまうデメリットがあります。

できる限り財産は分けやすい現金に換えておきましょう。相続開始後であっても相続人の相違があれば不動産を換金できます。

財産の規模よりも人間関係が引き金になる

相続争いといえば資産家や上流階級の家庭で起きるイメージです。しかし、実際は中流家庭でも相続財産が数100万円程度であっても相続争いになります。

争いには様々原因があれ、突き詰めると全て人間の感情に行き着きます。相続争いはまさにその典型で「いくら相続できたか」よりも「他の相続人に比べて納得のいくものか」「相続人としての権利が守られているか」などが問題になります。

長い付き合いの家族ほど、昔の遺恨が相続争いの原因となりやすくどのきっかけで「あの人ばかり、ずるい」が爆発するかわかりません。そうである以上「合理的な遺産分割」などほとんどあり得ないのです。

揉め事を防ぐなら遺言を作ること

遺産分割協議で起こる揉め事を防ぐなら遺言を作ることです。遺言は被相続人の意思だけで法的拘束力が発生するので相続争いのしようがありません。遺留分の権利が発生するとしても相続争いが泥沼化するよりはずっと良いです。

遺言を書かないとしても被相続人が生きているうちから相続人同士が話し合っておくことも重要です。

ワンポイントアドバイス
相続争いの原因は相続人の不満ですが、それは遺産分割協議そのものが原因とは限りません。時には数10年規模の恨みつらみが相続人の態度を頑なにすることもあります。

相続人同士の心のわだかまりは相続開始前に解決しておきましょう。ただ、感情は扱いづらいもので最悪の場合は第三者の仲裁が必要になります。

遺産分割協議は知られざる家族と向き合う場。いざという時のために弁護士と相談しておこう

「あんなに仲の良かった家族が相続争いをするなんて…」というケースはよくあります。家族として暮らしていれば、不公平に思ったことや我慢せざるを得なかったことの一つは絶対にあり、それが相続時の不満につながります。

遺産分割協議は家族の秘めていた感情が明らかになる場です。感情は本人の気がすむまで解決しないので速やかな相続を望むなら弁護士が間を取り持つ形がベターです。

相続人同士では負けた気がする譲歩も弁護士と話し合うのであれば感情的に受け入れやすくなるでしょう。繰り返しますが相続問題の本質が金額でなく感情にあるとご理解ください。

遺産相続は弁護士に相談を
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