2018/11/20 21view

離婚裁判にかかる費用と弁護士に依頼すべき理由

この記事で分かること
  1. 自分で解決する場合の裁判費用は数万円程度。弁護士に依頼する場合の費用とは100万円以上差が出ることも。
  2. 離婚裁判における提出書類の書き方や裁判の進め方は、一般の方にはわかりにくい。費用はかからなくても、自分1人での解決は困難。
  3. 確実に勝訴したいなら、費用を抑えて弁護士に依頼するのが吉。複数の法律事務所を検討し、法テラスの活用も視野に。

離婚裁判を弁護士に依頼する際にかかる費用は、決して安くはありません。そのため依頼を躊躇する方も多いかもしれませんが、弁護士費用は工夫次第で安く抑えられますし、弁護士に任せることで得られるメリットも多くあります。

離婚裁判を弁護士に依頼するときとしないときの費用を比較

まずは、離婚裁判を弁護士に依頼したときと、自分で進めたときにかかる費用を比較してみましょう。

離婚裁判の弁護士費用まとめ

離婚裁判を弁護士に依頼する際にかかる費用は、主に次の4項目に分けられます。

法律相談料

弁護士に法律問題の解決を依頼するときはまず、依頼内容や解決までのプラン、かかる費用などについて相談した後、実際に案件へ着手してもらう流れになります。この際の費用としてかかるのが法律相談料です。

法律事務所によって異なりますが、1時間あたり5,000~1万円が相場となります。また、法律相談料は無料、初回のみ無料、初回1時間のみ無料、などと設定しているところもあります。

着手金

実際に案件へ取りかかってもらうときに支払う費用で、20~30万円ほどが相場です。着手金は離婚裁判の結果にかかわらず前払いで支払うものであり、敗訴した場合も原則として返金してもらえません。また、20~30万円は離婚の合意について争う場合の費用相場であり、慰謝料や財産分与、養育費、親権などについても裁判で争う場合は、それぞれに対して別途着手金が必要になります。

成功報酬

離婚裁判の決着後、依頼者が得られた利益に応じて弁護士へ支払う費用です。「成功報酬」をどのように定義するかは法律事務所によって違いがありますが、本来は名前のとおり、案件を成功に導いた(=依頼者に一部でも利益があった)ことに対する費用なので、万が一敗訴した場合は、費用は発生しません。

離婚するかどうかだけを争う場合、成功報酬は10~30万円程度が相場です。慰謝料や養育費などの経済的利益を得られた場合は、得られた金額の10~20%ほどが相場になります。

ちなみに経済的利益は、金銭を受け取らなくても発生する場合があります。たとえば、離婚慰謝料として600万円を相手に請求し、裁判で実際に認められたのが400万円だった場合、得られた経済的利益は400万円です。反対に、自身が600万円の離婚慰謝料を請求され、実際には400万円の支払いで済んだ場合、差額の200万円が得られた経済的利益となります。

実費

実費は、主に次の3つに分けられます。

旅費交通費

事実関係の調査や証拠収集、裁判所への出廷など、依頼された案件にかかわることで弁護士が交通機関を使って移動する際の交通費全般です。遠方への移動の場合は、宿泊費も含みます。

日当

担当弁護士が自身の法律事務所から離れて活動をする場合の手当のようなものです。相場は1時間あたり1~2万円程度であり、弁護士が丸1日拘束される場合は、1日あたり8~10万円程度と考えるとよいでしょう。なお、日当の計算には、調査や裁判を行っている時間に加えて移動時間も含まれます。

必要経費

離婚裁判を申し立てる際は、訴状に印紙を添付しなければなりません。訴状に貼り付ける印紙代や郵送するための切手代をはじめとして、離婚裁判にかかる諸々のお金が必要経費です。

自分で離婚裁判を進めるときとの費用を比較

このように、離婚裁判を弁護士に依頼するとなると、さまざまな費用がかかってしまいます。一方で、自分で訴状を準備して訴訟を進める場合、裁判にかかる費用は、裁判所へ出頭する際の旅費交通費や必要経費のみで済みます。裁判を提訴する際に最低限必要となる経費は次のとおりです。

戸籍謄本

1通あたり450円

収入印紙代
  • 離婚の合意のみ争う場合:13,000円
  • 離婚の合意+慰謝料請求:160万円までの請求額なら加算額は0円、160万円以上は請求額に応じて加算
  • 離婚の合意+財産分与:1,200円加算
  • 離婚の合意+養育費:1,200円加算
切手代

6,000円前後(地域によって異なる)

これらをもとに、離婚裁判を弁護士に依頼した場合と自分で解決した場合にかかる費用を表で比較してみます。

弁護士に依頼 自分で解決
法律相談料 5,000~1万円/1時間
着手金 離婚 20~30万円
親権 20~30万円
慰謝料 5~10万円
養育費 20~30万円
財産分与 5~10万円
成功報酬 離婚 10~30万円
親権 10~30万円
慰謝料 経済的利益の10~20%
養育費 経済的利益の10~20%/1年分
財産分与 経済的利益の10~20%
実費 旅費交通費 案件により異なる
日当 1~2万円/1時間
必要経費 約2万円~

※上記はあくまでも目安です。料金設定やプランについては各法律事務所へ確認してください。

自分で離婚裁判を進める場合、裁判費用はかかっても数万円程度。一方、弁護士に依頼すると、およそ60~70万円、場合によっては100万円を超える費用がかかることもあります。

ワンポイントアドバイス
弁護士に依頼する場合の裁判費用は、法律事務所によって大きく異なるものです。どの項目にいくらの費用がかかるのかをしっかりと把握した上で、依頼するようにしましょう。

それでも離婚裁判を弁護士に依頼すべき4つの理由

ここまで見てきたとおり、離婚裁判を弁護士に依頼したときとそうでないときとでは、かかる費用に最大で100万円以上の差が生まれることもあります。にもかかわらず、「離婚裁判は弁護士に依頼したほうがいい」といえるのはなぜなのでしょうか?4つの理由を解説していきます。

裁判を自分の有利に進められる

離婚裁判を自分の有利に進める、つまり、離婚裁判で勝訴するためには、判決を下す裁判官を納得させることが必要です。裁判官は法律と過去の判例にもとづいて判断するため、裁判官を納得させるには、法律知識にもとづいた客観的かつ論理的な論証が必要なのです。

弁護士は知識と経験を兼ね備えた法律のプロですから、弁護士に任せておけば論点をしっかりと把握し、的確に裁判を進めてくれるでしょう。特に、相手が弁護士に依頼している場合、一般の方が専門家と争うことになれば大変不利な状況に立たされますから、勝訴を勝ち取るためには弁護士に依頼したほうが望ましいといえます。

早く離婚できる

離婚裁判は、決着までの期間が長くなれば長くなるほど、双方の負担は経済的にも精神的にも大きくなるものです。その事実を弁護士も心得ているので、できるだけ早い解決を目指します。そのために、より裁判に有利だといえる確実な証拠を集めたり、状況によって和解を提案したりすることもあります。

したがって一般的には、弁護士に依頼したほうが離婚裁判の期間は短くなるとされています。

時間と労力を浪費せずに済む

裁判が行われるのは、裁判所が開廷している平日の日中です。つまり、離婚裁判に出廷するためには、多くの方が仕事を休まなければなりません。もちろん、裁判所に提出する各種書類の準備も自分で行わなければなりませんし、裁判で勝とうと思うのであれば、法律の勉強をする時間も必要でしょう。

一方で、裁判を弁護士に依頼すれば、代理人として弁護士が裁判所へ出廷してくれますし、必要な手続き・書類の準備もすべてを一任することができます。普段どおり日常生活を送りながら裁判のことはすべて任せられるということも、離婚裁判を弁護士に依頼するメリットのひとつです。

精神的ストレスから解放される

離婚裁判は調停などに比べると決着まで長引く傾向にあり、目安はおよそ1~2年とされています。その間、毎月1回のペースで行われる口頭弁論の準備、裁判への出廷など、慣れない法手続きはすべて自分で行わなければなりません。

それぞれが自分の主張を述べるといっても、裁判で提出する書類の書き方や裁判の進め方や独特ですし、一般の方にはわからないことが多々あります。わからないことをわからないまま進めなければならない不安や心配から解放される、安心感があるということも、弁護士に依頼する大きなメリットといえるでしょう。

ワンポイントアドバイス
裁判を弁護士に依頼する際のデメリットといえば、費用がかかることくらいです。とはいえ、弁護士費用を抑える方法はさまざまあるので、裁判を自分で進めるリスクや負担を考えるならば、弁護士への依頼を検討するほうがよいといえるでしょう。

離婚裁判の弁護士費用を少しでも抑えるには

訴訟を起こすためにかかる費用はかかっても数万円程度ですから、離婚裁判にかかる全体の費用を抑えるには、弁護士費用を抑えるのがもっとも効率的です。

弁護士費用を抑える7つの方法

裁判そのものにかかった費用(印紙代など)は、勝訴すれば相手方に請求することができます。しかし、訴訟の際にかかった弁護士費用まで相手に負担してもらうことはできません。そのため次のような方法で、可能な限り弁護士費用を低く抑えましょう。

無料の法律相談を活用する

弁護士を検討する際は、複数の法律事務所へ出向いたり電話で問い合わせをしたりして、信頼できる弁護士を探します。法律相談料は1時間あたり5,000~1万円程度ですが、個別具体的に内容を検討していくと、1時間では相談時間が足りないケースも少なくありません。各法律事務所へ相談するたびに法律相談料をとられるのでは、費用もかさんでしまいます。

最近では法律相談料を無料としている法律事務所が多くあるので、依頼を検討している段階では、そういった法律事務所を有効に活用していくのがポイント。ただし、「初回のみ無料」や「何度でも無料」など、各法律事務所の定める条件にも注意してください。

着手金無料の法律事務所に依頼する

近頃は完全成功報酬制で、着手金をとらない法律事務所も増えています。一般的には成功報酬と同額程度の着手金がかかると考えられるため、着手金無料であれば、弁護士費用を大幅に抑えられることに。

ただし、着手金無料としている場合、成功報酬の利率が相場よりも高いケースがあります。着手金がかからないからといって安易に決めず、成功報酬でも比較検討することがポイントです。

成功報酬の割合が低い法律事務所に依頼する

成功報酬の利率が低ければ、トータルの弁護士費用を安く抑えられます。しかしこちらも上記と同様、着手金もあわせて確認することが重要です。

自宅近くの法律事務所に依頼する

離婚裁判は、自分の住所地、または、相手の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。そのため基本的には、提訴する側の住まいに近い裁判所で裁判が行われることになります。

意外にも弁護士費用がかさむ原因となってしまうのが、弁護士に支払う旅費交通費や日当です。この部分で費用を抑えるには、なるだけ自分の住まいに近い法律事務所へ依頼するのがポイント。毎回の出廷の際にかかる宿泊費を節約できるほか、担当弁護士の拘束時間も短くできます。

話し合いで解決できる項目は裁判で争わない

離婚の合意のほか、離婚慰謝料、親権、財産分与、養育費……と、裁判で争う項目が増えれば増えるほど、弁護士に支払う着手金・成功報酬が高額になります。加えて、争う内容が多ければ裁判も長引くため、実費もかさみます。

夫婦間の話し合い、もしくは裁判の前の調停段階で解決できる内容は解決しておき、裁判では、どうしても折り合いがつかない部分だけに争点を絞るようにしましょう。

分割払いに応じてくれる法律事務所に依頼する

弁護士費用は場合によって100万円を超えることもありますが、必ずしもそのすべてを相手から支払われた慰謝料や財産分与などでまかなえるとは限りません。そこで、法律事務所によっては、分割払いに応じてくれるところもあります。経済的に厳しい場合は、弁護士への依頼時に返済プランについても相談してみるとよいでしょう。

法テラスを活用する

「法テラス」とは、主に無料の法律相談と弁護士費用の立て替え業務を行っている、法務省管轄の国の機関です。収入や保有資産が一定額に満たない方が弁護士へ依頼したい場合、条件を満たせば、法テラスに弁護士費用を立て替えてもらうことができます。また、裁判後の返済も月1万円を基本として、無理のない範囲で進めていくことが可能です。

婚姻費用分担請求を忘れずに!

離婚裁判は1~2年と、年単位の長期戦となります。この間、少なくとも日々の生活費は確保しておきたいところ。婚姻費用とは、子どもの養育費を含めた婚姻中の生活費のことです。離婚裁判中でも法律上はまだ夫婦ですから、婚姻費用は夫婦2人で分担する必要があります。

相手のほうの収入が多い場合は婚姻費用として、判決が確定するまでの生活費を相手へ請求することが可能です。手続きは家庭裁判所で行えるので、忘れずに請求を行いましょう。

ワンポイントアドバイス
法テラスへの法律相談はすべて無料ですから、離婚裁判を検討している方はまず、法テラスへ問い合わせを行ってみてもよいでしょう。

法テラス:https://www.houterasu.or.jp/index.html

離婚裁判は弁護士に相談!

「離婚後の生活もあるし、少しでも弁護士費用を抑えたい……」と考える方は多いでしょう。しかし、一般の方が自分で裁判を進めるとなると、時間的な制約や大きなストレスがあるのはもちろんのこと、裁判で勝てる確率も低くなってしまいます。相手に弁護士がついている場合など特に、あなたに著しく不利な条件で和解させられるかもしれません。

今回ご紹介してきたとおり、弁護士費用を安く抑える方法はいろいろとあります。さまざま工夫した上で複数の法律事務所を比較検討し、あなたにぴったりの弁護士を見つけてください。

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