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離婚したいと思ったら~夫(妻)へ切り出す前に 決心・準備のポイント

この記事で分かること

  • 自分が離婚したいと思う理由を明確にしよう
  • 離婚した後の経済状況や子どもへの影響をしっかり考える
  • 離婚までの流れを事前にしっかり把握しておく

夫婦で生活を共にする中で、「離婚したい」と思う瞬間は急に訪れることもあれば、小さな不満が降り積もってもう我慢できない、という状況に追い込まれる場合もあります。いずれにせよ、離婚は人生の一大事です。衝動的に離婚を切り出しても、感情的な話し合いになってしまい、思うように話が進まず気力ばかりが奪われるという結果になってしまうかもしれません。今回は、離婚を切り出す前に確認しておきたいことをご紹介していきます。

離婚したいと思ったら理由を整理する

漠然と離婚したいと考えている方や、夫婦喧嘩のなどで衝動的に離婚したいと考える方は非常に多いです。もしかしたら、そういった瞬間がこれまでに一度もなかったというご夫婦の方が珍しいかもしれません。しかし離婚が頭をよぎったとしても多くの夫婦が離婚に進まないのは、婚姻関係を続けるメリットの方が離婚するメリットよりも大きいと判断しているからです。

離婚は、同一生計を営んでいた配偶者との別離を意味します。経済的な不安や子供の問題など、実際に離婚するためには幾重にもあるハードルを一つ一つ越えていかなければなりません。離婚の意思が固い場合でも、冷静になって考えてみると婚姻関係を継続した方が良いと判断できる場合もあります。離婚を切り出してしまうと自分の気持ちとしっかり向き合う時間をなかなか取ることができません。まずは自分の中で離婚したい理由をしっかり見定めて、本当に離婚すべきかどうかを考えましょう。

民法上の離婚事由となる事情がある

あなたが離婚を切り出した際、配偶者の同意を得られなかったとしても、法的に離婚が認められる場合があります。それが、法定離婚事由がある場合です。
日本の離婚方法の9割は、夫婦の話し合いのみで離婚する協議離婚だと言われていますが、協議離婚が成立しない場合には調停離婚、そして調停離婚でも解決しない場合は裁判離婚へと進んでいきます。
裁判離婚にまで進んでしまった場合に、離婚成立の可否をわけるのが、法定離婚事由の有無です。

法定離婚事由とは

法定離婚事由には、下記の5つが該当します。

不貞行為

一般には「不倫」と呼ばれる行為です。法律上では肉体関係が伴ったときにはじめて不倫と認められます。

悪意の遺棄

配偶者に生活費を渡さなかったり、何日も家を出て帰ってこなかったりなどの行為です。

配偶者の生死が3年以上不明

配偶者の生死が3年以上不明で、現在もその状態が続いている場合に該当します。

配偶者が強度の精神病患者で回復の見込みがない

配偶者が強度の精神病患者である場合には、婚姻生活の相互協力や扶助といった義務が果たせません。そのため、離婚請求が可能になります。

その他婚姻を継続しがたい重大な理由

抽象的ですが離婚事由として認定されるもので、それぞれの夫婦の状況によって判断されます。DVやモラハラなどがこれにあたります。

証拠を集めて準備する

法定離婚事由のいずれかに該当する理由で離婚を希望している場合には、離婚を配偶者に切り出す前にその事実を客観的に証明する証拠を集めておきましょう。
例えば配偶者の不倫が疑わしく、離婚したいという場合は多いですが、法律的に不貞行為に該当する不倫というのは、肉体関係があると証明されることが必要となります。
そのため、不貞行為が事実だったとしても、証拠がないことには法的離婚事由とは認められません。
携帯電話やSNSでの通信履歴、写真や領収書など、肉体関係があったことを客観的に証明できる証拠を事前に集めておくことが大切です。

DVやモラハラの事実は確実に

また、法的離婚事由の4つ目にあげた「その他婚姻を継続し難い重大な理由」には家庭内暴力(DV)やモラハラが含まれるのですが、その場合でも、裁判では証拠が必要になります。
実際にそういった行為があったということを証明するために、スマホやボイスレコーダーで録音を行い、暴力による怪我などがあった場合には病院で診断書を出してもらうようにしましょう。

法的離婚事由があったということの証明は、もちろん離婚裁判で重要な証拠となりますが、それだけではなく、有利な離婚の条件などを引き出すためにも非常に重要です。

決定的な理由はない場合

上に挙げた法定離婚事由がない場合には、配偶者がどれだけ強く離婚を希望していたとしても、配偶者が離婚を拒否し続ける限り離婚することはできません。
法的離婚事由というのは、客観的に見て婚姻を継続し難い事由として認められると判断されるものです。それがないのになぜ離婚したいとそれほど強く思うのか、一度冷静になって整理してみましょう。

離婚理由の中で最も多くあげられるのが、性格の不一致です。
性格の不一致はお互いの性格が合わないこと全般を指す、かなり幅広い概念です。程度の差こそあれ、自分以外の人間と性格が完全に一致することなどありえないことを考えると、夫婦の間で性格の不一致が見られること自体は普通です。お互いに妥協できる範囲内であれば、話し合いなどによって妥協点を見いだすことができますが、日常生活が苦痛になるほど性格や価値観が合わないと感じる場合には、離婚を検討することになるでしょう。

性格の不一致の代表的な例

性格の不一致の代表的なものは、子どもが産まれた後に教育方針などが食い違ったり、性に対する考え方や、金銭感覚の違いなどがあげられます。
いずれも結婚した当時には気づかなかった、あるいは気にならなかった程度だったものでも、生活を共にするうちに不満やストレスが膨れ上がった結果として、耐え難い性格の不一致を感じるようになります。
配偶者にこれまで自分の気持ちを伝えてこなかった場合には、素直にこれまでの不満を伝えると、改善への道筋が開けるかもしれませんので、その場合は勇気を出して本音を話してみましょう。
しかしこれまでに何度もそのことについて話し合い、それでも一向に完全が見られなかった場合には、一緒にいるのも苦痛になるほど思い詰めるようになってしまうかもしれません。そうなると、もはや修復はかなり困難な段階と言わざるを得ません。

ワンポイントアドバイス
離婚は、配偶者と自分の人生を大きく変えてしまう重大な選択です。自分が離婚したい理由と冷静に向き合ってみて、歩み寄りがむずかしいかどうかじっくり判断しましょう。

離婚したいと思ったら後の生活について考える

配偶者が離婚に納得し、互いに別の道を歩むことになった場合、その後にはどんな生活が待ち受けているでしょうか。離婚した後に、やはり離婚すべきでなかったと後悔しても遅いです。離婚後の生活についても事前にしっかり考えておく必要があります。

経済状況

離婚した後の生活にもっとも大きな影響を与えるもの、それはお金です。
特に主な収入を配偶者に頼っていた場合には、離婚後の生活費をどうやってまかなうのかについては事前にしっかり計画を練っておかねばなりません。
不貞行為があった場合などは、配偶者から慰謝料をもらうことができるので、疑わしい場合は経済的な観点からもしっかりと証拠を集めてから離婚を切り出すのが良いでしょう。
また逆に、あなた自身が不貞行為の事実を隠して離婚を切り出していた場合なども、事実が明るみになると慰謝料を請求されるということを肝に銘じておいてください。もちろん、正直に不倫が原因で離婚したいと伝えて相手に受け入れられた場合も同様です。

社会的信用

離婚理由によっては、社会的信用を失うケースもあります。
その代表が、不倫が理由となるケースです。職場などで信頼をなくし、場合によっては退職に追い込まれることもありえます。
もちろん全ての職場でそうなるわけではありませんが、リスクとしては考えておくべきです。

子どものこと

子供がいる場合には、離婚の影響はさらに大きなものとなります。親権を得られなかった場合には、子どもとの生活を失うことになってしまいます。
親権を得られた場合でも、片親になることは間違いありませんし、引越しが必要になれば子どもは転校を余儀なくされたりと、生活が激変することは間違いありません。相手に子どもが懐いている場合には特に、辛い状況になってしまいします。
また、子供がいる場合教育費などがかかりますので、養育費などを得られなかった場合には経済的な問題もあります。

ワンポイントアドバイス
当然ですが、離婚後もあなたの人生は続いていきます。衝動的な判断で、離婚を後悔しないためにも、離婚をした後の生活設計をしっかり練って、離婚を切り出すタイミングや、慰謝料などを請求できそうな事由がある場合にはその証拠集めなど、離婚を切り出す前にできることはやっておきましょう。

離婚までの具体的な流れを把握しておく

離婚を切り出す前に、離婚に至る具体的な流れを知っておくことも大切です。子どもがいる場合には、子どもへの心理的・社会的影響をできるだけ少なくするためにも、離婚までの流れややるべきことを事前に頭に入れておきましょう。

まずは話し合ってみる

離婚したいと相手に伝えて、納得してもらうことが一番円満な方法です。
離婚を切り出された相手は冷静さを失って感情的な反論をするかもしれませんが、自分が離婚したい理由や離婚後のお互いの生活などについて、事前に考えていたことを冷静に伝えましょう。
離婚に同意してもらえたら、財産分与や親権、養育費、慰謝料などの条件を二人で話し合って決めます。この条件についても、事前に金額などをある程度自分で決めておきましょう。

また、話し合いの中で離婚したいというあなたの意思が固いことを知ると、あなたが離婚したい理由として挙げた原因を治すという提案もあるかもしれません。それを受け入れるかどうかはあなた次第ですが、相手の真剣さが伝わってきた場合には、とりあえず離婚は保留するという判断もあり得るでしょう。

話し合いでの解決が難しい場合は

基本的には夫婦二人の話し合いでの解決を目指すべきですが、それが難しい場合もあります。その場合には、離婚調停や裁判に進むことになります。

離婚調停

離婚調停は、離婚したい側が結論として離婚することを目的に開き、慰謝料や財産分与、親権、養育費などを決定します。
調停委員という第三者を間に挟んでお互いに話し合いをするため、あなたの主張を冷静に話して調停委員の理解を得ましょう。

裁判

離婚調停が不成立に終わってしまった場合には、もう残る道は裁判しかありません。
しかし離婚裁判は調停以上に準備や対応が大変なものですので、実際に裁判へ進むかそうでないかを迷われる方も多いです。
また、裁判で離婚を認められるためには、法的離婚事由が認められる必要がありますので、それらに該当しない場合にはそもそも訴えを提起することができないことも覚えておきましょう。

離婚届の提出

相手が離婚に同意して、条件が定まったら離婚届を提出します。これにより離婚が成立するわけですが、離婚届を提出するタイミングには注意が必要です。離婚条件がしっかり定まる前に離婚届を提出してしまうと、離婚条件の話し合いの場を設けることが難しくなったり、そもそも話し合いすらまともにできなくなるという危険性があるからです。
離婚届は、離婚条件を離婚公正証書などの書面で記録した後に、提出するようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
調停まで至るケースでは、多くの場合夫婦関係がすでに顔を突き合わせて話せないくらいにこじれてしまっているため、スムーズな離婚に至ることは難しくなります。離婚調停や裁判はあくまでも最終手段で、基本的には夫婦の話し合いで解決するように努力してください。

離婚したいと思ったら弁護士に相談しよう

離婚したいという気持ちが強くなると、その気持ちを相手にぶつけたくなってしまいますが、まずは自分の中で譲れないものや離婚の条件などを冷静になって分析すべきです。感情的な話し合いで、スムーズに離婚できることはまずないでしょう。まずは自分の中で離婚したい理由や条件などをはっきりさせることが大切です。
しかし具体的な離婚条件や子どものことなど考えることが多く、何から手をつけていいのか途方にくれてしまうかもしれません。そんなときは、離婚問題のエキスパートである弁護士に相談してみると良いでしょう。

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