自動車 対 歩行者の交通事故の過失割合

この記事で分かること
  1. 「優者危険負担の原則」により、自動車 対 歩行者の交通事故における過失割合は、ほとんどの場合自動車が大きくなります。
  2. 歩行者側の加算要素には「発生時間が夜間」「発生場所が幹線道路」「車の直前直後の横断」「飛び出し」などがあります。
  3. 歩行者の過失が大きくなるケースもあります。

自動車と歩行者間で信号の条件が同じ場合や、信号機がない場合の事故では自動車側の過失が大きくなります。歩行者側の減算要素には「発生場所が住宅・商店街」「歩行者が幼児や・高齢者・身体障害者」「自動車側に著しい過失がある」などがあります。しかし中には歩行者側の過失が大きくなるケースもあり、現実の事故の過失割合はケースごとに異なります。ですから弁護士に依頼するのが得策です。

自動車 対 歩行者の交通事故の過失割合の基本

通常、自動車 対 歩行者の交通事故ではほとんどのケースで自動車側の過失割合が重くなっています。しかし、いかなるケースでも自動車側が悪くなるかと言えば、実はそういうわけでもないのです。

過失割合の基本的に自動車が重い

交通事故にも様々なケースがあります。両当事者にとって重要となるのが、賠償額などに大きく関わる「過失割合」です。

過失割合は読んで字のごとく過失、すなわち不注意の割合を数値化したものです。
交通事故にもいろいろなケースがありますが、自動車 対 歩行者の交通事故ではほとんどのケースで過失割合は“交通弱者”である歩行者側に有利に算定されます。

“優者危険負担の原則”がとられるため

これは、無防備な歩行者の方が、衝突によって受けるダメージが圧倒的に大きいため、自動車は歩行者に対して十分な安全配慮義務を負うからです。

このように当事者間における力量に明らかな差がある場合に力量の大きい方が多くの過失割合を負担する考え方を「優者危険負担の原則」と言います。

例えば信号機のない横断歩道を歩行者が渡っているときには自動車は一時停止しなければなりません。この義務に違反して事故が起こった場合自動車側の過失割合が100となります。横断歩道では歩行者を優先しなければならないのです。

歩行者側に有利に過失割合が算定されるとは限らない

“交通弱者”である歩行者側は基本的に交通事故の過失割合において有利になります。けれども、あらゆる自動車 対 歩行者の交通事故で歩行者側の過失割合が小さく算定されるわけではありません。

ワンポイントアドバイス
一般に交通事故の過失割合は、基本の過失割合に、事故当時の運転状況や道路状況、事故の時間帯などその事故特有の要素を加味し決定されます。この過失割合に影響を与える要素を「修正要素」と言い、一方の当事者にとって過失割合が増える要素を「加算要素」、減る要素を「減算要素」と言います。そして歩行者側に加算要素が認められる場合、歩行者にも過失が認められるケースがあります。

自動車 対 歩行者で歩行者側の過失割合が小さくなるケース

 
自動車 対 歩行者の交通事故における過失割合は、「優者危険負担の原則」により基本的には歩行者有利に算定されます。ここでは歩行者側の過失割合が小さくなるケースを歩行者の減算要素と共に解説します。

歩行者にとっての減算要素は

まずは歩行者の過失割合が減る要素、つまり減算要素について見ていきましょう。

事故の発生場所が「住宅・商店街」である

住宅街は人の居住空間なので、自動車の方により注意する義務があります。また商店街は人通りが多いので、この場合もやはり自動車側に注意深く走行する義務が課せられるのです。

そのためこうした場所での事故では歩行者の過失割合が5%~10%減算されます。住宅や商店街以外の場所でも、通勤ラッシュ時に起こった事故の場合、同様の理由で歩行者側の過失割合は減らされます。

歩行者が「児童・高齢者」「幼児・身体障害者など」である

歩行者が児童や高齢者の場合、車に対する危険を見通し注意したり、機敏な動きで衝突を避ける能力が落ちたりするので過失割合は減ります。身体障害者の場合も同様です。

そして幼児の場合、自動車に対して注意する必要があると認識する力(事理弁識能力)がそもそも備わっていないとみなされるのです。

このような場合、歩行者側の過失割合が5%~20%程度減算されます。
なお幼児とはおおむね6歳未満の者を、高齢者とは65歳以上の者を指します。

歩行者が「集団横断・通行」していた

歩行者が集団で道路を通行・横断していた場合、自動車側から発見しやすいと言えます。そのため歩行者側の過失割合が5%~10%減算されます。

自動車側に「著しい過失・重過失」がある場合

自動車側に著しい過失や重過失が認められる場合、その程度に応じて歩行者側の過失割合は減算されます。

著しい過失とは例えばわき見運転や携帯電話で通話しながらの運転、一般道での時速15㎞以上30㎞未満の速度超過などが該当します。

重過失に該当するのは居眠り運転や無免許運転、一般道での時速30㎞以上の速度超過などです。

自動車側の過失割合が大きくなるケースがほとんど

「優者危険負担の原則」により、自動車 対 歩行者の交通事故における過失割合は、ほとんどの場合自動車が大きくなります。

信号機がある場合

自動車は赤で進入、歩行者も赤で横断歩道を横断開始

共に信号無視をしていた場合、過失割合は歩行者有利に算定され自動車 :歩行者=80:20となります。

自動車は青で進入、歩行者も青で横断歩道を横断開始したが、安全地帯付近で赤に変化

この場合自動車:歩行者=70:30となります。ただし黄信号で横断し事故発生の時点では赤になっていた場合歩行者の過失割合は40%となります。

歩行者と右折車の事故

自動車は黄で進入、歩行者も黄で横断歩道を横断開始

歩行者と自動車、共に黄信号で進入してはいけません。しかし自動車に前方注意義務があるので過失割合は歩行者有利に算定され自動車:歩行者=80:20となります。

自動車は赤で進入、歩行者も赤で横断歩道を横断開始、その後青へ変化

赤信号での横断は禁止されているものの事故発生時点では青信号であったため過失割合は自動車:歩行者=90:10となります。

信号機がない場合

信号機がない交差点や横断歩道における事故

信号機がない交差点や横断歩道を通過する際、自動車には歩行者の通行を妨害してはならないことが定められています。

それにもかかわらず事故が起これば、自動車は歩行者を優先させる義務を怠ったと評価できるので過失割合は自動車:歩行者=100:0となります。ただ、他に駐停車している自動車があり歩行者の発見が遅れた場合には自動車の過失割合は5%~10%減算されます。

横断歩道の直近の事故

横断歩道外の直近(幹線道路においては横断歩道からおおむね10m以内の場所を、それ以外の場所横断歩道からおおむね5メートル以内の場所)の場合、過失割合は自動車:歩行者=70:30となります。

ワンポイントアドバイス
自動車と歩行者間で信号の条件が同じ場合や信号機がない場合の事故など、多くの交通事故では自動車側の過失が大きくなります。歩行者側の減算要素には「発生場所が住宅・商店街」「歩行者が幼児や・高齢者・身体障害者である」「自動車側に著しい過失がある」などがあります。

自動車 対 歩行者の過失割合―歩行者が大きくなるケース

このように自動車 対 歩行者の交通事故における過失割合は、ほとんどの場合自動車側が重くなります。

けれども、交通事故のケースは様々であり、あらゆるケースで歩行者有利の算定をするわけにはいきません。歩行者側の過失が重くなるケースもあるのです。

ここでは歩行者にとっての加算要素を押さえた上でそうしたケースを解説していきます。

歩行者にとっての加算要素は

歩行者側の過失割合を加算すべき事情、つまり加算要素としては、どんなものがあるのでしょうか。

発生の時間帯が夜間であること

まず、事故が夜間に発生したことです。言うまでもなく夜間は暗く、見通しも悪いので自動車の側からは歩行者を発見しにくいです。

逆に自動車は通常ヘッドライトを点灯させて走行しているので歩行者の側から自動車を発見するのは容易で、遠くからでもその存在を認識可能です。そのため夜間の事故については歩行者側に5%過失が加算されることとなるわけです。

ただし夜間であっても昼間のように明るく見通しがよい繁華街などで発生した事故の場合、歩行者側の加算要素とはなりません。

発生場所が幹線道路であること

幹線道路とは、つまり国道などの交通量が多い道路です。幹線道路では自動車の往来が頻繁であるゆえ歩行者は、通行・横断の際には細心の注意を払わなくてはなりません。

そのため幹線道路上で発生した事故については歩行者に加算要素が認めらます。具体的には横断歩道上の事故については5%、横断歩道外の事故については10%加算されることとなります。

車の直前直後を横断したこと

車の直前直後を横断することは禁止されています。また、斜め横断をしたり横断中に立ち止まったり、後戻りした場合も歩行者にとっての加算要素となります。

急な飛び出し

加えて急な飛び出し行為も歩行者にとっての加算要素となります。

歩行者側の過失が大きくなるケースもある

自動車 対 歩行者の交通事故における過失割合は自動車側が重くなることが圧倒的に多いですが、歩行者側の過失割合が大きくなったり50:50になるケースもあります。さらには過失がすべて歩行者の側にあるとみなされるケースもあるのです。

信号機がある場合

自動車は青で進入、歩行者が赤で横断歩道を横断開始

横断歩道のある交差点での事故場合、自動車の側には「前方不注意」などの過失があるのが通常ですが、このケースでは歩行者側にも赤信号横断の交通違反があります。

そのため自動車:歩行者=30:70となります。

そして歩行者側に急な飛び出し行為があった場合“歩行者の過失割合が100”になることもあります。

横断歩道外で自動車は赤で進入、歩行者も赤で横断開始

この場合双方とも赤信号無視の交通違反がありますが、歩行者は横断歩道を横断すべきであり、自動車も歩行者が横断歩道外を渡るとは予期していません。よって過失割合は自動車:歩行者=25:75となります。

横断歩道外で自動車は青で進入、歩行者は赤で横断開始

この場合、歩行者側に交通違反があります。よって上記ケースよりも歩行者側の過失が大きくなり自動車:歩行者=30:70となります。

なお、信号機が設置されていない場合は、交差点の有無や横断歩道上・外にかかわらず基本的に歩行者側の過失が大きくなることはありません。

ワンポイントアドバイス
中には歩行者側の過失が大きくなるケースもあります。歩行者側の加算要素には「発生時間が夜間」「発生場所が幹線道路」「車の直前直後の横断」「飛び出し」などがあります。

交通事故の過失割合で押さえておきたいこと

ここまでをまとめると、“自動車 対 歩行者の交通事故の過失割合は基本的には自動車側が重くなるが例外もある”となります。最後に自動車 対 歩行者の交通事故の過失割合について押さえておくべき点を解説します。

過失割合はケースごとに異なる

ここまで、自動車 対 歩行者の交通事故の過失割合の考え方やケースごとの過失割合について解説してきました。しかしこれらはあくまでも基準であり、実際には解説の通りの算定に行かないことも多いです。

実際の修正要素にはいろんなものがある

交通事故における修正要素には、紹介した以外にも実に様々なものがあります。例えば天候や道路の幅、道路の凍結の有無など、その事故特有の要素を勘案して過失割合は決定されるのです。

過失割合は一筋縄ではいかない

過失割合の考え方は非常に複雑です。一見したところ今回解説したケースと同じようでも現実の交通事故では状況はすべて違います。そのため類似のケースでも異なる過失割合が算定されることは少なくありません。

弁護士に依頼するのが得策

そしてこうした事情すべてを法的知識に乏しい素人が把握し、主張することは困難です。
従って弁護士に依頼するのが得策です。

賠償金を最大限まで引き上げられる

交通事故では慰謝料は発生することがありますが、保険金を支払うのは相手方の保険会社です。

保険会社は当然支払う額を抑えたいので、被害者側の過失を主張してきます。しかし知識に乏しい素人が正当な過失を立証することは困難です。

その点弁護士に依頼すれば正当な過失割合を立証でき賠償金も最大限に引き上げることができます。

交渉も任せられるので精神的負担も軽減される

事故被害者となれば、普通心身ともに疲弊します。その状態で示談交渉をするとなれば大変です。しかし弁護士に依頼すれば示談交渉も一任できるのです。

ワンポイントアドバイス
事故被害者となれば、普通心身ともに疲弊します。その状態で示談交渉をするとなれば大変です。また、現実の事故の過失割合はケースごとに異なります。交通事故を起こしたら、弁護士を依頼するのが得策です。

自動車 対 歩行者の過失割合については弁護士に相談!

どのような交通事故でも死者が出る可能性があります。特に、歩行者と自動車の交通事故は、自動車同士のケースと比較しても、歩行者の側の死亡率が格段に高くなります。交通ルールを守ることに加えて、例えば道路を横断するときは青信号であっても左右確認するなど、自らの身を守る意識が必要です。
自動車と歩行者との過失割合でもめることがないように、交通事故を起こしたらできるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
保険会社が治療打ち切りを通告してきた
適正な後遺障害認定を受けたい
交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談